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姉弟初めてのVRMMO  作者: 神白
45/106

第43話 家族

ログアウトした後、ヘッドバンドを外そうと手を動かすが、左手に違和感。


「ん?」


目を左手に向けると、龍夜が手を握り、眠っていた。


「なんで、龍夜がここにいるんだろうか。あ、ご飯とかちゃんと食べたかな?こんなところで寝たら、風邪ひくな。ベッドに連れて行かないと。」


右手で、ヘッドバンドを外し、起き上がる。起こさないようにそっと抱き上げようと動かすと


「うぅーん。・・・?だれ?」


「あ、起こしちゃった?おはよう、龍夜。」


「・・・?おねえちゃん?あれ?ログアウトできたの?」


「うん。できるようになったからすぐにログアウトしてきた。夕ご飯食べた?ごめんね?これからはないようにするから。クエストより、龍夜が大事だし。」


「っ!・・・むう。怒ろうと思ったのに。まあいいや。ご飯は食べたよ。お昼の残りがあったから、それを食べたよ。・・・それでね?お姉ちゃん、クエスト受けまくって先に行くから僕寂しくて、やっぱりお姉ちゃんとパーティ組みたいな?」


「そうだねぇー。私も黒龍と一緒にやりたくなってきたよ。初めてこういうゲームやってるけど、黒龍はどんな感じ?」


「どんな感じって?」


「なんかね。もう1つの世界に本当に入り込んじゃった感じがするんだ。ゲームの世界観に呑まれてるともいうね。」


「んー。僕も、ゆうき姉ちゃんのプレイの影響か僕自身の力なのかわからないけどね?あの世界の人たちと結構仲良くなったんだ。好感度システムみたらはじまりの国、75%になってたよ!」


「おおー!すごいすごい!もうすぐで追いついちゃうね。」


「お姉ちゃんはどのくらいなの?80%?」


「ん?90%だったよ最後に見たのは。」


「・・・あと少しだね?」


「あはは、後は王様だけだしね。」


「ふぁー。」

眠そうにあくびをする龍夜。


「ふふっ。もう寝ようか。また明日ゲームの話をしよ?」


「ぅん。・・・ねえ?ここで寝ていい?」


「え〜?もう中学生でしょう?甘えん坊さんになった?」


「うぅ。だめ?」

可愛くあくびした後で潤目になった顔でおねだりされた。


ズッキューン!!


「うっ。・・・・・・まあ。今夜だけだよ?」


「やったー!」


布団の中に入ってくる龍夜。何年ぶりだろうか。一緒に寝るのは・・・。


「えへへ。おやすみ、お姉ちゃん♪大好きだよ!」

はにかみながら笑顔で挨拶する龍夜。


「うん。おやすみ、龍夜。私もだよ。」


ゆうきはゲームをして疲れていたのかすぐに眠る。

その様子を寝入るまで見つめていた龍夜。ゆうきの頭を撫でて、完全に寝たのを確認して呟く。


「ゲームの世界にのまれた・・・か。僕はお姉ちゃんが望むならそっちが現実でもいいよ?お姉ちゃんと一緒に居られるなら。どっちが現実でもいい。でもね?」


冷めた雰囲気を纏い、愛おしい目でユウキを見つめ、

「あっちの世界の人間がお姉ちゃんに特別な好意を示したら僕はそいつを殺すかもしれない。それでも、好きでいてね?お姉ちゃん♪」


その呟きは静かに闇の中に消える。

龍夜も、目を瞑り、寝息を立て始めた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜次の日〜


「ふぁー、んんー!!」

欠伸をして、背伸びをしたゆうき。


隣にはまだ寝ている龍夜がいる。

可愛い寝顔だなぁー。・・・あぁ。龍夜もいつか好きな人が現れたら、行ってしまうのだろうか。あの親たちのように。


私たちの親は、それぞれ、好きな人ができ、私たちを置いて出て行ってしまった。出て行ったのは、3年前。私が高3、龍夜が小4の時だ。もう、こんなに成長したよ。もう、あの人たちは帰ってこないだろう。・・・龍夜も。いつか・・・。


・・・もし・・・もしできるのならば、居なくならないで、ずっと一緒に居てくれないかな。こんなにも愛おしい子を私は見ず知らずの人間に渡すなんてできない。あー。過保護だと言われるよな。でも、


私はずっとあなたと共に生きていたいよ。龍夜。


そっと龍夜のおでこにキスを落とす。


「ぅん?・・・ふぁー。おはよ、ゆうき姉ちゃん。」


はっとすぐに顔を離すゆうき。


「あ、ぁあ。おはようっ!き、今日もいい天気だよっ?!」


挙動不審なゆうきを見つめ、首をかしげる龍夜。


「どうしたの?お姉ちゃん。顔赤いよ?」


「な、な、なんでもないよ?!あ、ご飯!ご飯作らないとね!」

隠しきれてない動揺を見せないように部屋を出た、ゆうき。


「・・・。」

呆然と出て行ったのを見送り、そっとおでこに手を当てる龍夜。


「・・・もぅ。こういうのは僕がやりたかったのに。それに、おでこじゃなくて・・・に欲しかったな。」


とジッと寝顔を見つめられているのに途中から気づいて起きていた龍夜が小さく呟く。


「まあ、今度は僕がやるけどね♪場所はもちろん♪ふふっ、楽しみだなぁ♪」

俄然やる気を出す龍夜であった。


龍夜も、階段を降り、ゆうきと合流する。そして、ゲームの話をして、どこで、いつ、合流するか決める話になった。


「今日、帰ってくる予定なんだよね?」


「んー。それがねー王妃様と王女様の了承取れたらウインディとヒカルの背に乗せて一瞬で帰れるんだけど。1人ゴミがいるからなー。」


「ゴミ?」


「あ、大丈夫!龍夜と一緒に冒険する時までにあのゴミとの縁切っとくから!」


「・・・ねえ?そのゴミってのは・・・男?」


「うん。鬱陶しいんだよね!ストーカーじみたことするからゴミ扱いでいいよあんな奴!あっちの世界のもう1つの家族たちをアレ扱いだよ?!もう!頭にくる!!」


「・・・ヘェ〜。ねえ?もし、そいつ振り切れずにお姉ちゃんの邪魔してきたら教えて?退治する!あっちの世界の人間ってリスポーンするんでしょ?そいつが所属する国に。はじまりの国の西門で待ってるから、そいつがもしいたら僕が倒していい?」


「いいよいいよ!私が殺るから。龍夜の手を煩わせるわけにはいかないし。・・・でも、ありがとね?私のこと心配してくれて。」

遠慮気味に断りを入れ感謝の気持ちを伝える。


「僕のお姉ちゃんを困らせる奴なんか居なくなればいいんだよ!」


「ふふっ。龍夜、ラウと一緒のこと言ってる。」


「え?」


「本当にありがとね。でも!大丈夫!自分が起こした問題は自分が片付けないとね!もし、片付けられてなかったら、てつだってくれる?」


「もちろん!」


そして、それぞれがログインするため、部屋に戻る。


さあ!早く龍夜と合流するために、頑張りますか!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ログインしました!


「おはようございまーす!ノエリアさん、レミリア!」


「あら、ユウキ。おはよう。昨日なにやったの?本当に誰もこなかったわよ?」

苦笑いながら聞いてきた。


「あのね!あのね!いつもは起こされるかうるさいのにね!静かに寝れたし起こされなかったの!!」

レミリアが聞いて聞いてとはしゃいでいる。


「レミリアの眠りを妨げるやつは来ないようにしてあげるからねー。私がいるときは。」


「私の場合、大丈夫だったか?!っと同業者に心配されたんですが。その後、瀕死だったところをあなたの契約獣に助けられたと伝えたら引きつられました。」

カルマが同業者について語った。


「別に瀕死だったゴミみたいになりたくないなら来るなと言っただけだよ?まあ、あのときはゴミのせいでイラついてたから、次は手加減なしで殺しに行くから。とも言ったけど。」


「それは、当然、来ないでしょうね。あれを見て恐怖しない奴はただの馬鹿よ?」

とノエリア。


「あの〜さっきから私のことゴミ扱いしてる件はつっこまないのでしょうか。王妃様。」

とカルマは肝心なところを突っ込んで欲しそうに聞く。


「なぜ?あなたは元からゴミでしょう?ユウキの家族を馬鹿にした罰よ。しかもストーカーですしね。」

当然のことをいってくれるノエリア。


「・・・。」

黙るカルマ。


「それで、ノエリアさん。」


「ユウキ、私のことも呼び捨てで呼びなさい。怒ってた時自然に呼んでたでしょう?その時みたいな感じで呼んでほしいわ。」


「うぐ。気づかれてたか。じゃあ、ノエリアで。いい?」


「もちろんよ。貴女とはもっと仲良くなりたいわ♪」


「本当に?昨日のやつで怖がらせたかと思ったんだけど。大丈夫?」


「大丈夫。安心しなさい。」

ホッとするような感じで話すノエリア。


「ふふっ。なんか、レミリアが羨ましいなぁ。こんなお母さんがいて、私のお母さんもう居なくて、私が弟の保護者代わりだから。本当に羨ましい。」

ぼーっとノエリアとレミリアを微笑ましく見つめるユウキ。


「っ?!・・・ユウキのお母様はお亡くなりに?」


「あ、いや。生きてると思いますよ?多分。私たちを置いて出て行ったのだけですから。」


「「・・・。」」

カルマとノエリアは絶句していた。


家族にこだわるユウキの本当の家族について聞いて2人はなぜこの世界で家族に夢中になっているか、わかった気がした。


「ユウキ、寂しい?」

と気遣うように聞いてくるレミリア。


「ん?いや?大好きな弟を置いていってくれだけ、あの親たちには感謝してるよ。大好きな弟がいるから寂しくないしね?」


「よかったね〜。」


「うん、心配してくれてありがと!レミリア。」


「えへへ。」


「・・・。それで、さっきなに聞きたかったの?」


「ああ、ゴミはエルフ国内だけの護衛だよね?だからその後ってついてこないよね?って聞きたかったの。」


「え?ついて行っちゃったらダメなんですか?!」

焦るカルマ。


「うん。来ないで。その方が早く帰れる。はじまりの国の西門で、弟が待ってるから、早く帰りたいの。3人だけで。」


「そうなの?ならすぐに帰りましょう!弟君に会ってみたいの!」

とノエリアが席を立つ。


「早く帰るってどうするの〜?馬車借りるの〜?私馬車嫌い〜。おしり痛くなるもの!」

と馬車嫌いについて語ったレミリア。


「レミリア、その心配はないよ!なんと、昨日の一夜を共にできなかったヒカルとウインディに乗れちゃうのです!」


「!本当!?」

とキラキラした目で机を乗り出す。


「あらあら、落ち着いてレミリア。」

諭すノエリア。


「ごめんなさーい。」


「ウインディとヒカルには2人ずつ乗れるんだけど、どっちに乗りたい?」


「2匹に乗りたいなぁ〜。」


「どのくらいの時間がかかるの?1日なら半日ずつ交代で乗ればいいけど。」


「え?1日もかからないですよ?2人乗せて走る場合は2人のことも考えて、1、2時間程度じゃないですかね?1人の時は30分ぐらいできましたし。」


「「「え?」」」

その場にいた、ユウキ以外全員が驚く。


「ん?どしたの?」


「そんなに早いと風圧とか耐えられないでしょう!」

とカルマ


「そこは、ウインドシールドを張ればいいんだよ。私と、ウインディとヒカルは3人とも使えるからね。」


「走りながら維持するの難しくないの?」

とノエリアが聞く。


「ヒカルはできるよ。維持できたおかげで二刀流スキル手に入ったし。ヒカルには私に向けてかけてもらって、私が2人に向けてかけるよシールド。」


「ユウキ、すごーい!!!!」

無邪気に褒めるレミリア。


「ありがと!」


「確かにこれでは私いなくても守れそうですね。盗賊とか襲う暇もなさそうですし。」

と意気消沈させたカルマが言う。


「うん。いらない。師匠になったという事実もなくなったことだし、ついてきたらストーカーとしてはじまりの国の騎士たちに捕まえさせるように手配するよ?そういう伝持ってるんだから絶対についてこないでね。絶対に。」


「・・・じゃあ、師匠としてではなく弟子として・・・」

と言い募るカルマ


「キモい来るな。」


「・・・・・・orz」


「キモいわね、確かに。こんなのを護衛としておいていたのね。」


「お、王妃様まで?!」


「ユウキから離れないとリオンお兄ちゃんに言っちゃうぞ!」

と知らない名前を出すレミリア。


「王子に報告だけはしないでください!!!わかりました!もうつきまとわないですから!お願いします!レミリア様!」

急に冷や汗を垂らし必死に弁解するカルマ。


「リオン?王子?」


「呼びましたか?異界の冒険者殿。」

3人しかいないはずの部屋に声が混じる。


「え?」


「リオン様??!!な、なぜこちらに?!」

カルマが一気に怯えた顔になる。


そんなに凄いのだろうかこのエルフのお兄さんは。


「僕の妹的存在のレミリアにあげたネックレスは、通話ができるようになっていてね。魔力を流せば簡単にお話しできるんだけど。レミリアが私を呼ぶということをカルマ、お前に言い放った時、魔力を流していたんだよ。それで、何かお前が、面倒をかけているということとして理解してね。テレポーターで駆けつけたのさ。で?何か異論は?」


「・・・。」

だらだらと汗を流し蒼白な顔で黙るカルマ。


「まったく・・・黙りだとわからないじゃないか。・・・失礼したねうちの執事が。何かご迷惑をかけたかな?」

黙ったカルマから私に視線を向けて説明を求めてきたので、


「執事だったんだ。見えないな。まあ、簡単に言うとエルフの国内までの護衛なのに、私についてこようとしていて、面倒くさかったぐらいです。」


「ほう?僕の執事のくせに仕事をさぼって、女の子について行こうとした、と?いい度胸だね?仕事の量が足りないのかな?もっと増やしてあげようか?」


「こ、これ以上は勘弁してください!彼女達にも今つきまとわないと言ったところですし!ね?ね?」

みんなに視線を向けて必死にアイコンタクトを飛ばすカルマ。


「すごく気持ち悪いです。」

おっと、本音が危うく口に出すところだった。・・・あれ?


「有望な異界の冒険者殿に悪い印象を与えたみたいだね?カルマ?」


「・・・っ!」

この世の終わりのような顔をするカルマ。


「今日貴女方は帰るご予定でしたね、もうこのダメな執事を連れ帰ってもよろしいでしょうか?ちゃんと教育し直しておきますので。ですので、またエルフの国に来てくださいますか?」


「あ、エルフの国にはまた来ますよ。探索しきれてないので、今度は弟と一緒に来る予定です!でも、そいつには2度と会いたくないので今すぐ消してくださると嬉しいです!」

笑顔で伝えるユウキ。


「この国に来てもらえるのは嬉しい。だがこいつも育てればまだ育つはずだから消すことはできない。すまない。」

頭をさげる王子さん。


「あの、ドS王子が謝った?!」

と驚くカルマ。


おいおい、失礼じゃないかな。自分の主人でしょうが。しかも、ドSって。まあ、それっぽいけどさ。


「カルマって残念なやつなの?かばってくれる人に向かってその言い方はないと思うよ?」


「まあ、そこから厳しくやっていくから許してもらえないだろうか。」


「別に私は弟と合流できればどうでもいいし。あ、ノエリアには頼みたいことあるけど。」


「私に?今言えること?」

とノエリア。


「んー。今は嫌かな。」

他の国にまで知らせたくないし。


「そう、じゃあ帰ったら聞くわね。さあ!帰りましょう♪リオン王子また来ますね?」


「はい、お待ちしております。ノエリア王妃。」

深々と頭をさげるエルフのリオン王子。



さて、ようやく帰れるなー。

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[気になる点] 大好きな弟を置いていってくれだけ、 くれただけ では? [一言] お疲れ様です これからも頑張ってください
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