第39話 エルフの国
ラウは右肩。クルードは左肩。私はウインディの上。ウインディは疾風使って全力疾走中。ヒカルは左側で電光石火とウインドシールドを発動させながら追走中。アテナは右側で浮遊しながら追走中。
これを何も知らない人達が見たらどうなると思います?もちろん真正面からです♪
こうなります☆
「止まれ!何者だ!エルフの国に何の用だ!!」
門兵らしき人が、10人くらい。剣や槍といった武器を構えて警戒してます。
私たちのどこが変なのだ!急ぎの用で走ってここに来ただけではないか!むう。
『ユウキ様ー。どうします?これじゃあ、入れないです。』
『マスターに剣を向けるなんていい度胸だね〜。吹っ飛ばしていい?』
「アテナはいつからヤンデレになったの?やめなさい。事情話してくるから待ってて。」
私は、ウインディたちに待つように言って門兵の近くに行く。
門兵は警戒を高める。
「えっとー、依頼でこの国に来たのではいりたいんですが。」
「そいつらはお前の契約獣か!」
「あ、はい。そうです。5匹とも私の契約獣です。はじまりの国のギルドマスターに王妃様と王女様の迎えを頼まれた護衛の者です。急いで行けと言われたので、急いで来たのですが、何か問題でもありましたか?」
「はじまりの国からの護衛の方?も、申し訳ない。来たらすぐ連れてくるよう仰せつかってます。・・・申し訳ありませんが、国に入るなら、契約獣は還してくれませんか。」
「エルフの国だって決まりぐらいあるでしょうから問題ないです。ちょっと待っててください。」
「あ、いや、あの。」
「ん?なんですか?」
「やはりなんでもないです。」
ふーん。まあいい。私はみんなの側に駆け寄る。
「みんな、私の知らない国だから、警戒のために側にラウとクルードを残して、あとは帰ってもらっていい?ごめんね。ウインディとヒカルは大きいからまた、帰るときに呼ぶから我慢してくれる?アテナ私以外から姿を隠すのは可能?」
『ユウキ様、いい判断です。残してくれるなら、お守り致します!』
『マスター。姿を隠すのは可能よ。マスターに会う前までずっとそうしてたし。』
ヒカルとウインディは悲しそうにシュンとしたが、帰りは一緒だということで我慢してくれるみたいだ。
クルードは単体でも接近戦でも強くなってもらいたいから。側にいてもらいたいんだど。クルードは側にいてもいいと聞いて機嫌良さそうだ。まだ生まれたばかりだしね。
というわけで、ウインディとヒカルを送還する。アテナも消えたかのように見せて、私の側にいてくれた。ラウとクルードは肩の上のまま。そのまま、門兵に声をかける。
「大きい子たちは返したけど、この子たちは側にいさせていい?来たことのない国だから、少し心細いんだよね。」
「ああ、構わない。それと、一応、冒険者カードを見せてくれるか。これは決まりなんだ。」
「冒険者カードね。はい。」
もらっといてよかった。こんなこともあるのか。あれ、このカードって普通最初から持ってるものなのかな。あとで、黒龍やみんなに聞いてみよ。
「っ!赤!?Aランク冒険者?!しかもこれは異界の冒険者カード?!」
私とカードを交互に見つめる兵士たち。
最初に私に声をかけてきた兵士が引きつった顔になる。
「も、申し訳なかった。返却しよう。」
「?あのさ、この国の冒険者ギルドってどこにある?」
「ここから入っていくと、大きな剣と槍を交差させたものを看板として飾ってある場所だ。すぐわかる。」
「うん。わかったー。じゃあねー。」
ユウキは門兵と別れエルフの国へ歩みを進めた。
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【エルフの門兵Aの視点】
私は、今戦争地帯にでもいるのだろうか。目の前に強そうな魔獣を連れた若者が猛スピードでこちらに突っ込んできた!エルフの国を攻撃しに来たのかもしれないと止めにかかる。
「止まれ!何者だ!エルフの国に何の用だ!」
私は他の門兵を連れて隊列を組み、その若者に話しかける。もちろん、警戒は解かない。今エルフの国には他国からの視察できているお客人がいるのだ。守らなければ!
あちらは、私の声を聞き、歩みを止めた。若者が魔獣の背から降り、両肩に魔獣を乗せたまま近寄ってくる。
「えっとー、依頼でこの国に来たのではいりたいんですが。」
依頼?攻め滅ぼす気か!?
「そいつらはお前の契約獣か!」
「あ、はい。そうです。5匹とも私の契約獣です。はじまりの国のギルドマスターに王妃様と王女様の迎えを頼まれた護衛の者です。急いで行けと言われたので、急いで来たのですが、何か問題でもありましたか?」
はじまりの国からの護衛だと!そういえば話しがあったな。本物か?聞いた内容とは同じだが・・・
「はじまりの国からの護衛の方?も、申し訳ない。来たらすぐ連れてくるよう仰せつかってます。・・・申し訳ありませんが、国に入るなら、契約獣は還してくれませんか。」
契約獣は本来なら通ってもいいが、ヤバイのがいるから遠慮してもらいたい。
「エルフの国だって決まりぐらいあるでしょうから問題ないです。ちょっと待っててください。」
「あ、いや、あの。」
あ、決まりではないと言わないと!
「ん?なんですか?」
「やはりなんでもないです。」
なんで言わなかったんだ私は!あとで怒られるな。
その若者は契約獣の側に行き、 話しかけている。大丈夫か?頭。契約獣が言葉を理解するわけがないだろう。5匹のうちの3匹は消え、残りの小さな契約獣は肩に乗ったままだった。その状態でまた近づいてくる。
「大きい子たちは返したけど、この子たちは側にいさせていい?来たことのない国だから、少し心細いんだよね。」
まあそりゃあそうか。来たことのない国だ。警戒するのは当たり前だろう。ヤバイのが還ったからいいや。
「ああ、構わない。それと、一応、冒険者カードを見せてくれるか。これは決まりなんだ。」
冒険者カードの確認は恒例だ。どの国から来たかその証明になるからな。
「冒険者カードね。はい。」
手渡されたのはあるはずの国の紋章がない赤いカードだった。紋章がないということは・・・
「っ!赤!?Aランク冒険者?!しかもこれは異界の冒険者カード?!」
異界の冒険者だと?!まだこちらに来て間もないはずだなんで、Aランクのカードを所持してるんだ!
「も、申し訳なかった。返却しよう。」
「?あのさ、この国の冒険者ギルドってどこにある?」
急に焦ったことを不思議に感じていたようだが、冒険者ギルドの場所について聞いてきた。
「ここから入っていくと、大きな剣と槍を交差させたものを看板として飾ってある場所だ。すぐわかる。」
今度は普通に対応できたはずだ。
そのあと別れ、入っていったのを確認すると。どっと疲れがきた。おかしい。なぜこんなに疲れてるんだ?なぜかはわからんが、あの若者は怒らせてはいけない気がする。契約獣がいるからではない。あの若者が1番危険だ。他の者たちにも伝えておこう。
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ようやく入れたーエルフの国!見渡す限りエルフです!当たり前だけど店員さん全員エルフだ!耳長い。みんな金髪かと思ったけど違うんだね!でも、美人とか美形とかいるんではないだろうか。友達である、ミリアとメリーさんもエルフだったね。ふむ。美人さんだよなぁ。さてさて、冒険者ギルドに行きますか。
〜冒険者ギルド〜
内装はあっちとそんなに変わんないな。受付はみんなエルフのお姉さんだけど。美人が並んでいる。壮観だ。
私がぼーっとしていると。
「おい、ガキ!こんなとこ突っ立ってるとぶっ飛ばすぞ!」
「うっさいなぁ!エルフの美人なお姉さん眺めてんだから邪魔すんな!」
「・・・んあ?」
あれ?後ろを振り向くが誰もいない。
「あれ?誰かにこえかけられたと思ったんだけど気のせい?」
「気のせいじゃねえ!助けろ!」
「ん?」
上から声がする。見上げると見えない何かで逆さにぶら下がった男がいた。
ふむ。これは〜・・・
「ラウ。降ろしてあげて。」
私は右肩にいるラウに話しかける。
『嫌です。』
「はあ。お兄さん。嫌だって。」
「お前!蜘蛛の言葉わかんのか?!」
「この子は念話が使えるんだよ。だから意思疎通できるの。ラウ?あとでお菓子作ってあげるから降ろしてあげて。」
『むう。しょうがないですね。』
ガン!!!
逆さま状態から落とされた男は気絶したようだ。まあ、ゆっくり下ろしてなんか言ってないし、まあ、いいか。
『ユウキ様をガキ扱いした罰です!!』
なんだろう。私の契約獣がヤンデレ化している気がする。気のせいだろうか。気のせいだということにしよう。
「さて、男はほっといて、お姉さんにお話ししに行こうか。」
『はい!そんなゴミ置いときましょう!』
ごみって、ひどいな。
「改めまして、こんにちは!お姉さん、依頼でね、ある人たち護衛のためにここ来たんだけど、どこいったらいいと思う?」
「こ、こんにちは!それでは冒険者カードをお見せください。そちらの情報を引き出しますので。」
「そんなことできたんだ!はい、どうぞ!」
普通に、レッドカードをだす。
なんも書かれてないから、ただのレッドカードなんだよね。
「・・・・・・ぇ?」
ざわ!!!!
「ん?どうしたの?」
周りに座っていた人たちも一瞬で静かになる。
「あ、あの!失礼ですが、異界の冒険者様ですか?」
「うん。そうだけど?」
なんだろう。さっきの門兵といい、この反応意味わからん。
「そ、そうでしたか。異界の・・・」
ふむ。どうしよう。お姉さん固まっちゃった。私急いでるんだけど。
「ねえねえ、おーい。」
全然動かない。バグ?
はあ。隣のお姉さんとこ行こう。カードを奪って、受付を移る。
「お姉さんは動いてる?」
「ええ、私は動くわよ。ごめんなさいねぇ。あの子は新人だったから出来が悪いのよ。さて、カードを見せてもらえるかしら?」
「ん。」
「はいはい。えっとー?ああ、貴女だったのね!はじまりの国からのお迎えは。あの方々はギルドマスターの部屋でお待ちよ。ついてきて!」
今度はスムーズに進んだようだ。よかった。
私はお姉さんについていき、ある扉の前で止まった。
コンコンコン!
「セルビス!はじまりの国からのお迎えの人連れてきたわよ!」
「おお!きたか!入ってくれ!」
ようやく、お姫様達と合流。長かった気がするよ。本当に。




