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姉弟初めてのVRMMO  作者: 神白
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第102話 一時の修羅場

獣人の国、エルフ、魔族の国…いろんなところでイベントをしてきた私ですが。今日は始まりの街におります。このゲームも誰かの活躍が動画にアップされてからというもの…人気が急上昇。貢献したのだから何かくれと言いたいくらいです。

そして、売り切れが続いていたソフトも増量して販売をした結果……


第二陣とやらが来るそうです。


「……さて、お仕事行きますか。」


噴水広場が少しずつ賑わう。彼らはこの世界で何を起こしていくのだろう。彼らだけの物語はどのように進むのだろう。そんなことは特に気にしてない。だけど、この世界を傷つけるということは、私を怒らせるということ。とりあえず教育は必要だと思うのだよ。



問題が起きたらすぐに向かうように言われたクエストを見ながらため息ついて、コールが来るまで屋根の上で待機。


「……呼び出しは5回までって伝えてるけど大丈夫かなー?」


他の家族もラウとイナンナだけが別行動している。だから数日召喚はできない。この世界の管理をするものとして見回ってるからだ。


当分癒し成分が減少した状態だ。


「日向ぼっこ飽きた。買い物いこ。」


そして彼女は初期装備で街に紛れ込む。

変なやつらを探しながら、仕事で疲れて帰って来るだろう家族の帰りをたくさんのご飯を作っておく為に買い物もしながら。




まずは見回り兼ねて、噴水広場、市場、冒険者ギルド、東西南北の門をめぐる。


顔見知りを感知したらすぐに隠蔽で私を隠す。彼らは私がこれやってるの知らないはずだからね。面倒ごとは避けるのだ。


まずはマリンダさんの所にたどり着く。

周囲に誰もいないことを確認して挨拶。


「順調?マリンダさん。」

「おや、ユウキ。見回りかい?」

「そーそ。見たことのない異世界人達がいっぱい来てるでしょ?問題は起きないのが一番だからね。」

「ユウキならすぐに対処できるからだね。その装備も懐かしいねぇ。さて、商売だ。何か買うかい?」

「うん。えっとー…」


買い物終わって気づいたけど初心者装備で爆買いしてたらおかしいよね…目をつけられてなきゃいいんだけど。


次に近くの本屋に向かうけれど、結構繁盛してるみたいなので、大丈夫かな?

空いた頃にまた戻ってこよう。

シャールのところも忙しそう。順番守ってる奴らばかりなので大丈夫だね。


案外、問題って起きないのかな?今日はいい日になりそうだ。


そう思い頭上に浮かんだ今まで見たことないものを発見。そういえば今日だけ、このゲームの第2弾PVというものを作ったようでそれを流しつつ注意事項とかも一緒に紹介してるそうだ。


じーっと見上げてると顔は伏してあるが、銀髪の女の人が楽しそうに……いや、愉しそうに大きな魔物?達を奢っていく映像が流れ、すぐにギンにチャットで呼び出す。


死刑。

それだけを送ると“急に?!”と返してきたので、PV→確認→死刑

と打ち直してチャットを閉じた。


私を使っていいと誰が言った!!許可取りなさい!!怒りをなんとか抑え、何をしてやろうかと頭を巡らせる。報酬何か貰わないと気が済まない…いや、お仕置きは必要だと思う。


嗚呼、ロシアンルーレットにしよう。

何を作ろう。うふふふふ。



「……怪しく笑うな。怖えよ。」

「あれ、いつの間にギルドに来てたんだろ?」

「大丈夫か?」

「だいじょぶ」

「それにしても、お前がその装備だと…気持ち悪いな。」

「ひど。ギルマスの顔ほどではありませんー。」

「俺の顔のネタをお披露目せんでいいわ!ったく。で?今暇か?」

「暇といえば暇だね。なーんも起きないからさー。」

「それなら掲示板とかみて時間つぶしたらどうだ?」

「……なぜ、掲示板を勧めて来た。」

「……秘密だ。」

「「……」」


誰かに吹き込まれたか。

勧めるならそれほど見る価値があるのだろう。ため息をついて掲示板を開く。

たくさんのスレがあった中で目がついたのは。


要注意人物スレ

あの人は今…スレ

第2陣は絶対に読めスレ


私関連のことが書いてあるわあるわ。


不意をついて、後ろを振り返ると慌ててあらゆる方向を向くたくさんの人々。


「よし。戦争だ。戦争しよう。」

「物騒なことに発展してないか…」


そんなことは無視して、私関連のことをひどい扱いをしている先ほどのスレの投稿者は脅しを入れる。


“私のみてないところでよくもこんなこと書いてくれたね?魔王が君らを死刑に行きます♪殆どがクラメンってどういうことだろうね?とりあえず、メリーさんとミリア以外全員二回殺しに行きます。黒龍も許さないからね♪さて、狩を始めようかな?”


「ユウキ、危ない顔してるぞ。」

「危ない顔って何さ。お仕置きしに行くだけだよ?」


もう私が見回りをしていることがバレているなら、初期装備は必要ない。魔王の装備に切り替えるとどよめきが起きる。


「さあて?狩に行ってこよっ」

「犠牲者に黙祷を捧げておいてやろう。」


ギルドを出ても視線は増える一方。

まったく、余計なことをしてくれた。


目をつぶり、魔力感知を広げ、目標を見つけ次第威圧を付け加える。


全員……



みーつけたっ♪



「……死んだから!もう2回死んだから許して!!」


「ぎゃぁぁぁああ」


「ごめんなさいごめんなさいふざけ過ぎましたぁ!ゆ、ゆるしっ!!いやぁぁぁあ」


「くちのながッ!じぬっ!なにごれっ?!」


「死んでも口の中に違和感があるよ?!お姉ちゃん!!気持ち悪いよ!?まだ口の中にあるよ!!絶対!!」


「クルード頼む!頼むから落とさないやぁぁぁ!!!」



拷問シリーズ解放しました。

電気椅子からロシアンルーレットまで全部今までやったやつ。


クラメン以外の容疑者数名も同じ扱いをしました。


ロシアンルーレットはずっと考えててやる機会がなかったから公開したよ!


まず普通のロシアンルーレットって言うのはハズレが多い中での当りがあるものだけれど。今回はハズレしか用意してませんっ。黒龍が訴えかけてきたとしても私も味わったことあるからね。その気持ちわかるけどお仕置きにはちょうどいいと思うのです。

ネルマ様の料理は私に役に立ってますよ!ここで減ったからまた補充しに行かねばなりませんなっ。


こんなことになるなら見回りも、お仕事もする必要なかったではないか。まあ、イナンナとラウがお仕事でいないから何か手伝えることあったら言ってと言うのが発端だけれど。注意喚起も行き届いているし…何も起きないなら普通に、冒険したかったぞー。


第二陣が来たことでアップデートされたのだけど。その内容に私はソワソワしている。

今まで行けなかった海の街が解放されたこと。アップデート待ちですと先に進めなかった場所。それらが追加され、新たな種族の公開…ワクワクが止まらないです。

黒龍もレベル上げを頑張り、北のボスをパーティ組んで倒したとの話を聞いたので、龍人の国にようやく行けるとの言葉をいただきました。


お仕置きが落ち着いたら、龍人の国に行きたいかな。

それとイベントについてのお知らせが来ていた。定期的に、防衛戦が起きるそうな。大量の魔物が国に押し寄せてくるのでそれを守ると言う形のようです。すぐにやると言うわけではないらしいので、おそらく第二陣のメンバーのレベルが上がってきたらではないかと思ってるところ。


「うぅ…お姉ちゃん…口の中どうやったら治る〜?」

「反省した?」

「しましたっ!!」

「…それならコレ飲んでみて。」


口直しに渡したのはポーション、解毒効果もありつつ、すっきりする味わいのモンの実と海の街が解放され、輸入品が増えた結果、ハーブが追加されたのでそれを組み合わせて作ったものだから口の中をさっぱりさせたい時にいい飲み物となりました。




「治ったぁ〜」


「がね”払うがら!お恵みくださいいい!!」

ロシアンルーレットを味わった奴らが群がってきてどこかに行こうにも動けないので、タダで配ることに。その間、愚痴を呟く。


「もー、ラウとイナンナが仕事で頑張ってるから手伝ってたのに…邪魔して!」


「いやいや…邪魔っていうか協力をしたつもり…」


「それがなんで私が危険だと知らしめることなの!」

怒らせたらヤバいやつリスト一位とかやめてくれます?!


「でも、ルール守らない馬鹿の相手なんかしたくないでしょ?お姉ちゃん。」


「でも、少し…お仕置き1号に期待してたのに。」


「ドSがいる…」


「まあ、みんなが見本になってくれたってことで締めくくるか。」


「身を挺して貢献するつもりはなかったんだけどね…」


にしても、本当にルールを守る奴らばかりの世界とは思えないので、ここで中断するわけにもいかない。黒龍達は終わった感じ醸し出してるけど…一日だけはまだ様子見を終えられないな。

龍人の国はまた明日かな。


「お姉ちゃん、暇になったよね!どこに行く?」


「ん?んー…ギルドかな。ギルマスに絡もうかな」


「え?でも、もう仕事は…」


「まあ、念には念をね。一応今日はこの街は出ないよ。」


「むー…なら一緒にいる!」


「いいよ。」


黒龍だけなら大歓迎だよ。


冒険者ギルドの隅っこでギルドを見守ることにした。初心者装備の人が多くいる中に魔王装備は目立つので、狼さん装備に変更済みである。



…それにしても。


側から見るとこの世界って本当にリアルだ。アップデートされてさらにそう思う。アップデート重ねるごとに、世界は完成へと近づいていくのだろう。完成ってあるのかな。


ま、ゲーム世界の人々の好感度MAXにするっていうのは続けるだけだから細かいことは気にしなくていいか。


今まで目立つことを気にしていたけど、人気者目指してるんだから目立たなきゃいけないわけだ。魔王なんて呼ばれることにもならないとなぁ。


「あんたが魔王か」


そうそうこんなふうに……ん?


ぼーっと考え事してたら、目の前に片手剣を背負った男のプレイヤーが立っていた。


「宣戦布告に来た」


なんと…魔王にライバルが出現しましたよ?!

私を狙うプレイヤー…さほど珍しくもないか。

現在隣にいて、微笑ましい顔になっている黒龍も狙ってる人だし、家族にすら狙われる私ですから…


「へー」

軽く流してみた。


「…本来なら俺がそこに立つべきなんだ」

何やら野心が芽生えているようです。


「魔王になりたいのか」

「違う!トッププレイヤー!」


トッププレイヤー…なりたくてなってるつもりではないのだけど…


「ソフト入手ができず、時間経過であんたが今はトップだろうが。プロゲーマーとして、負けるわけにはいかない。アプデで、増えた要素もこれからは俺がどんどん見つけてやる」


やる気が漲っているようです。

プロゲーマーさんなのですか。


「トッププレイヤーの座が欲しいと」

「そうだ!」

「勝手にどうぞ。」

「は?」

「え?」


まさか、私が維持したいとでも思ってるというのか。


「これからさらに人が増えて、自分だけのこの世界の物語が始まる。やりたいようにやればいいさ。トッププレイヤー目指すなら、強くならないとね。クエスト頑張って?」


「…あ、あんた!一位を維持したいんじゃないのか!」


「え?特に?てか…一位ってなんかランキングあったっけ?」


イベントとかでのランキングだろうか?

そもそもこの世界にランキングってそんなになかった気がするんだけど…


「あ、防衛戦始まるって聞いたし、それのランキングは増えるかも」


「嗚呼、それがあったか。でもまだやったことないしなぁ」


「防衛戦でお姉ちゃんが負けるのってほぼない気がする」


「ふっ…鍛えられてますから。…まあ、とにかく、攻略してやるって気持ちはわかったから。レベルがまだまだ低いんだし、頑張って鍛えるんだよ〜。ペットイベも数日後にあるらしいからさ〜」


「え?!そうなの!!初耳」

「ふふふ、お得情報を報酬として要求したのだよ。…でも、私は生産に勤しんでおけって参加禁止受けたけど。」

「もう一体、僕も探そうかな〜」

「バルガス以外…何になることやら」

「人型がいいなー。」


クィナとシエルが羨ましかったのかね?

ま、家も最高段階まで増築しちゃったからね…


「…」


名乗りもせずに、彼はクエストボードの方に歩いていった。


「ライバル宣言されちゃったね」

「されちゃったね」

「プロゲーマーかー…誰かな?」

「プロゲーマー界の有名人なのかな??」

「名前名乗りもしないからわかんないね」

「そうだねー」

「お姉ちゃんを倒す方向で来るのかな?」

「それは楽しみだなぁ」


「あ!そうだお姉ちゃんっ!」

「んー?」

「僕飛べるようになったんだよ!!」


…ふぁ?!


「魔族の国にいったからね!教えてもらったの。」


今一番攻略に力入れてるのって私じゃない気がするのは私だけかな。目の前にいる黒龍こそ、現段階では強敵だと思うのだけど…。いつの間にか追い抜いていくんだよね。黒龍は。


「いーなー…龍人の国行きたいなー」

「それでね、ハーフだからってこともあって、僕の場合、魔族と龍人のハーフなんだけど。ハーフの場合、2つの種族が翼を持ってたら2つ出して飛ぶこともできるんだって!さらに!本来の姿っていう感じで初期ステータス決める時に決めた姿になるクエストも受けられるようになるらしいんだ!!」


「ほー…私の場合天界に行かねばならないからなぁ。」


まだ先になりそうだ。


「今回は僕が一番乗りだね!」

「むむ、すぐ追いつくもん」

「お姉ちゃんならすぐ追いつくだろうね。だから、今のうちに追いつかないくらいに鍛えるんだ!」

「ふふ、あっという間に追いつくからね」

「負けない!…それで、龍人の国にはさ…」


「あの」


んー?今度は女の子だ。それもかなり小さい。

プレイヤーであるのは確かだけど…こんなに背を小さくできるとは…アプデでそこも幅広くなってたりするのかな?あ、種族が増えたとか?ランダムって小人は含むのだろうか…


「ユウキさんというのはあなたのことでしょうかっ」


「はい、そうですよー?」


「…今のレベル…いくつでしょうかっ」

「んー…聞いてどうするのー?」

「目標にしますっ」


目標…こんな小さな体になってもこの子は心に戦闘種族でも飼っているのか…。


「まあ、レベルくらいはいいか。もうすぐメインが30でサブが40だよ」

「ええ?!聞いてないよ!お姉ちゃん!!」


衝撃的な情報だったのか聞き耳立ててた奴らもどよめく。


「アプデ前にあげたの。」

「それにしてもだよ!」

「まあまあ、生産にハマって作ってたら上がっただけだって。材料求めて戦ったのもあるけど。基本的に生産」

「生産…何を作っているのですか?」

「基本的に料理作りまくってるけど…あと、ポーションとか補助アイテムかな。」

「…私、サモナーになりました。なので!あなたに負けないパーティーを作ります!だから、いつかPvPをお願いします!!」

「おっ、サモナー仲間?いいよー。やろー」

「そして…もし、勝ったら。お願い一つ聞いてください!」


お願い…なんだろう?


「んー…それはどういう感じのお願いかな」

「ど、どういうかんじ…?」

「リアル?それともこの世界?」

「……それは言えません」

「なら無理」

「…ぅ…」

「君、名前は?」

「…え?」

「目標になるのはいいんだけど、さっきの人見たく名前なのってもらわないと覚えられないからさ。」

「…私の名前は、ランと言います。」

「ランちゃんね」

「はい……植物の花の蘭と書いてランです。」


いや本名を聞いたわけじゃないと言う前に、じっと見上げてきたその視線が誰かと被った。


「……ラン、ていうんだ。蘭…ね。」

「お姉ちゃん?」

「…黒龍、ちょっとこの子と話するのに外出てくるね。」

「え?あ、ちょっと?」


有無を言わさず、小人の子の服を掴んで移動。


「何企んでいる」

「…わ、私は…仲良くしたいの」

「私情を持ち込むのならこの世界を楽しむことを考えてないなら、今すぐログアウトしろ」

「私は、姉とは違う。あなたたちを助けたいの。拓くんだって…」

「黙れ!」

「っ」

「今更なんだ…。今更…名乗り出てくるな!」

「わ、わた…」


威圧をかけ、短剣を首筋に当てる

ヒヤリとした刃物の感触と耐え切れない圧迫感で固定された彼女は恐慌状態に陥った。


「…」

「2度と目の前に現れるな。もし声をかけたり、弟に接触してみろ。消し飛ばす。」


そう言い残し、黒龍の元に戻る。


「…お姉ちゃん?知り合い?」

「…うん、嫌いな人」


しばらくしてまた1人、男の人が息を切らせて周りを見渡しながらギルドに入ってきた。


「銀髪赤目…銀髪赤…っ!お前か!」

「はい?」


今度は顔のいじりもしないデフォルトだったのですぐに理解。容赦なく威圧をかける。


「…」

声をかけてきた時の勢いはどこにいったか、言葉を失って微動だにしない。微かに震えているだけで黙っている。


「なにか?」

「…」

「…お姉ちゃん?……威圧かけてる?」

「さあ、どうだろうね」


しかしこのままでは拉致が開かない。


「黒龍、先にクランハウス帰っててすぐに私も帰るよ。」

「…やだ」

「黒龍?」

「僕も話聞く」

「……それはダメ」

「なんでさ!さっきの人と関係あるの?さっきの人はどうしたの?ねぇ!何隠してるの!」

「……黒…」

「僕に隠し事しないって言った!」

「っ」


しかし、ここで話す話ではないことは確かなので移動するしかない。でもこの状態の黒龍は話すと言うまで動きもしないだろう。


「ごめん」

「お姉ちゃん、僕は話を聞くからね」

「…ごめん」

「だからっ!」

「<道具作成>発動」

「ヅ?!」


電気椅子を作り座らせ、気絶させる。本当にごめんね。龍夜、話を聞かせられるわけではないんだ。話すか話さないかはもう少し…まとまってからにさせて?


電気椅子がなくなって、気絶した黒龍を肩に担いで状況について来れない人に声をかける。


「話をしたいならついてきなさい。場所を変えます。」

「…」

「先程のプレイヤーも呼ぶなら勝手にするといい。」

「…わかった…」


その様子を見ていたガヤの方に軽く威圧を使い、足止めをして、その場を去る。


「…アイツ大丈夫か…?」

「触れてはいけないナニカに触れた馬鹿ですか」

「…セルフィー、落ち着くまでそっとしておくぞ」

「…わかってます」


「……」



クランハウスに部外者を入れるには許可をしないといけないのか。名前がわからない。

振り向くとビクビク震えるプレイヤーが2人に増えて居たので男の方にだけ視線を送り、聞く。

「プレイヤーネームは」


「あ…あぁ、ヒイロだ」


サクッと一度だけ入れるよう許可をして中に入らせる。肩に担いだ黒龍の体がぴくりと反応したのは見逃さず、声をかけずに、そのままにしておく。


とりあえず、私の部屋に移動して、ベットに寝かせる。目を瞑ったままの黒龍に視線を向けるが、寝たふりを続けるようだ。これは話を聞くという意地だろうか。癒し要素がいないと爆発しそうなので、トーカを呼ぶ。


『ユウ姉!なになにー?』

「ごめんね、戦闘でもないのだけど。ちょっと…そばにいるだけを頼んでいいかな。」

『……。いいよ!しずかーにしておいたほうがいいー?』

「うん、ありがと」

本来ならラウか、イナンナがいいんだけど。ウィンディ達は威嚇するかもしれないし、癒しポジのトーカが今は適任な気がする。


黒龍を寝かせたベットを背にして、部屋に鍵をかけ、椅子に座るように勧める。


「この世界の中まで、なんの御用でしょうか」

『…』


「…私達と家族にならないかと言っているんだ。この前も話しただろう?」

「……わ、わたし、たち…いえ、貴女達の産み親の加奈子。わたしの姉…にあたるというのは以前話しましたよね。姉のしでかしたことは許されることではありません。子供を2人置いて家を出て行ったのですから」


「……!!!」


後ろで、龍夜が微かに動揺し、それを隠すように寝方を変え、身を抱える。


聞かせる内容ではないとはわかっている。ログアウトさせるのがわたしの役目だろう。でも、いつかは話さないといけないのは確かだ。


「家族は必要ありません。もう、私は社会人となり、弟1人を養える力を持っている。」

「君は、弟君を守るために中退しているはずだ。学校には行くべきで…」

「どこで仕入れた情報かわかりませんが。それはガセネタですね。卒業してます。」

「…何?…学費はどうやって…」

「お爺ちゃんに支払っていただきました。ただいま返済中です。」

「…義父さんが?」

「……でも、こちらにも非があるのは確かです。支援だけでも…」

「必要ありません。前回も言ったはずです。」


キッパリ断ったのにも関わらず、私に近づいてくると言うことはどういう魂胆なのか疑うしかないのですけどね。


「あなた方の望みはだいたい予想がつきます。」

「望みだなんて…」

「お爺ちゃんとお婆ちゃんの遺産相続が気になるんでしょう」

「「…」」

目がギラつく。呆れた。隠す気もないようだ。


「……そんなことはない。」

少し遅れて取り繕う顔となる。現実の方がポーカーフェイスは得意そうですね。


「まだ生きている2人に向けてそんなこと考えるなんて考えられませんね。」

「…何か聞いてないのかな?」

「…蘭」

「もう疑われて、バレてるもの隠してもしょうがないわ。」

「…少しなら聞きました。しかしそれは私から聞いたのではなく、お婆ちゃんが普通に話しかけてきたことです。“自分たちの娘、息子達には遺産相続をする気はない。遺書にもそう残している。”とね」

「「そんなはずは無い!!何かの間違いだろう!!」」


目の前の2人が突然怒鳴り上げたことにより、びくりと龍夜が怯えた。トーカも驚いたように飛び上がる。その様子に容赦する気がなくなった。


「遺書を確認したければ本人に聞きに行ってください。私からそう聞いたといえばいい。」

「じゃあ!!アイツらの貯めた金はどうなる!!寄付金にでもなるってか!」


アイツら…


「さあ、そこまで詳しくは聞けませんでした。だから、自分たちで確認してください。こちらからも連絡はしておきましょう。」

「チッ、なら用件はもう無い。戻るぞ」


ログアウトする2人に約束だけをさせないといけない。


「もう金輪際、関わって来ないと誓ってください。」

「さあ、それはどうかな。貴女の言葉が事実じゃなかったらまた伺うわ」

「誓って、近づかないと」

「だから…」


「誓えと言ってるんだよ」



「…っ…ゲームの中だからって粋がるんじゃ…!!」

「誓え」

「…誓ったところで、あんたに何が…」

「…ここで、何百と死を体験してみる?貴女達は、私の親と同じ血を流し、お爺ちゃん達の血を受け継いでいる。なのに、お爺ちゃん達を敬うこともしない態度、そんな奴らが、あの人たちを酷い言い方していいわけない!今すぐに誓え!私たちに近づかないと!この世界でも、現実でも!あの人たちを傷つけようものなら私は容赦しない!!」

「…誓えばいいんでしょ!誓ってやるわよ!あんな年寄りの何がいいってい」


容赦なく、短剣を突き刺した。


「…こんなところでPK堕ちになる気か?」

「誓った後に侮辱するからだ。それにしてもあなた達って何も考えずに来たんだね。痛覚設定もデフォルトできてる」

「…は?何が…」

「い、たい…痛い!何よこれ!!」


「普通はいじるものだよ。これだから世界を舐めた人は困る。…死を体験させてあげるよ。」


軽く振るうだけで、レベル1の彼らは粒子に変わり、目の前から消え失せる。


PK堕ちというのはこの世界にはないけれど、怒りに身を任せて倒したのは初めてだったので、しばらく粒子が消えた場所を見つめていた。


重く冷たい空気に飲まれそうになった時、私の背中に何かが擦り寄る。


「……龍夜?」

「……」


顔を埋めてすり寄ってくる。

頭を優しく撫でて、気を抜くと頭の上に何かが乗った


『僕も撫でて〜』

「ふふ、ありがと。トーカ。」

『さっきの奴ら悪い奴らなんだねっ!今度見かけたら倒すのっ!』

「もう会うことはないよ。」

『そーなのー?』

「ブラックリストに登録したから」

「そっち?!」


龍夜が復活したかな?


「大丈夫」

「……本当に?」

「うん」

「…ん。」


「明日は龍人族の国、行こうか」

「…!うん!!」




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