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大掃除 三日目

 大掃除三日目。

 衝撃的な汚物(=クズわたしの私物)部屋だったのだが、ごみを片付ける事によって色々な事が発覚した。

 共同スペースはある種の廊下のような役割を果たしていた。共同スペースを中心として両側に扉がある。現代でいうなら、韓国ドラマでみる部屋のタイプだ。右手が同室の子の部屋だったはずの場所、そのむかいが私の部屋だ。部屋にはベランダがあった。一日目と二日目に開けた窓は……部屋の窓ではなく、外、つまり廊下の窓だ。そう、私はついに部屋の窓を発掘したのだ。というか、『ガラス』というものがないのにどうやって窓をつけているのかと思ったのだが、考えるのは後にしておく。……建築技術が異世界王道ファンタジー小説と違って随分高いようだ。


 同室の子の部屋を見るに寮の部屋は結構広い。森に面して共同スペースで発見されていたベランダの部分ともう一つ謎の部屋がある。一部屋に二部屋あるのだ。まだそっちの方は片付けていない。もし私の部屋も同じような造りなら私の部屋までのベランダを使って家庭菜園が出来るかもしれない。嬉しい。この馬鹿な頭で覚えている野菜たち(野菜を嫌っていた)を思い出す限り、地球と同じっぽい作物があるようなので本当に嬉しい。出来れば米を食べたいものだ。米って他の食べ物達と合わせる際にカバー力が幅広いから。


 午前中の半分で同室の子のベランダっぽい場所のごみをゴミ袋へ放り込み終わった。


(……さあ……魔の巣窟に、とりかかるわよ……)


 体力の減り方がありえないくらいだし、疲れてるし、筋肉痛(ごみをゴミ袋に放り込んだだけなのに!)も酷いが、それよりこのごみ屋敷をどうにかしたい。現在、根性だけで私は動いている。


「フフフフフ……!」


 変なテンションになっているが気にしてはならない。キッと親の敵を睨みつけるような憎憎しげな視線を向けて、ゴミ袋を片手に猛然と取り掛かった。最重要であるはずの同室の子のもう一つの部屋を掃除しないのは、今私が必要としているものが『教科書』や『ノート』であるからだ。ノートは異世界のため、あまり期待していないが、教科書はあったはずだ。その記憶が私にはうっすらとあるのだ。だからどうにかして見つけ出したい。どう考えても、一番それがありそうな場所が私の部屋だったのだ。……この部屋、ごみ屋敷の中でも特別酷い臭いと黒い霧(※)が視える。


 ドリルにでもなったような気分で、恐ろしい勢いで私はごみを掻き分けた。掴んだごみは即効でゴミ袋行きだ。一瞬で、いるか、いらないかを区別できるようになった。そのおかげで一日目、二日目……とスピードがだんだん速くなっている。……こんな能力はいらない!

 午前中が午後に変わるくらいで……半分より少ないくらいをゴミ袋に詰めた。なんてことだ。スピードアップした私でもこれだけしか片付けれていないなんてどんだけごみがあるんだ、この部屋。ふざけんな、クソ豚。過去に戻って殴り倒したい。


 未だに教科書らしきものは全く見つからない。最悪だ。記憶を何度掘り返しても教科書がどんな姿だったのかさえ思い出せなかった。探しにくい事この上ない。


 このペースなら、午後を使ってやっと半分弱いくかいかないかくらいしか、掃除出来ないかもしれない。そんなの許せない。明日は生まれ変わって始めての授業とクラスメイト対面の日なのだ。まだ謝ってないのに……いっそ謝ってこようかな、どうしよう。いや、でもこの部屋に精神面に多大なる被害を被ってから戻ってくるのは嫌だ。やっぱり片付けてからにする。うん。


「やってやるわ……!」


 よし、と気合をいれて私は再びごみ屋敷に取り掛かった。もう無心でごみをゴミ袋へ放り込み続ける。どこだ、どこにある教科書。出て来い。出て来い!



 ―――私の願いも虚しく、教科書は出てこなかった。



 ごみの方は、なんとかベランダが見えるくらいまでになった。今日だけでゴミ袋を25袋使った。さすがに使いすぎなので、あとでお金は払うつもりだ。踏み倒す気はない。


 ……明日から学校かあ……


※幻覚です


ベランダはローズの部屋・共同スペース・同室の子の部屋で繋がってる。イメージはマンションの部屋構造。分からなくてもベランダがあるんだあ、くらいにスルーしてください。物語はフィーリングで読むことが大切です。あれ、これおかしいよね?矛盾してる!なんて思っていたら、その内、禿げますから!




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