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大掃除 四日目

ウィスカ(水曜日)

 授業終了後、私は再び何時間もかけて、寮までの道のりを歩いた。体力はないから、くたくたになって、汗まみれ。

 ……また洗濯しなくちゃなあ。

 それと、何か汗を拭くものくらいは欲しいかも。だが、それには手持ちの金がない。

 ごみしかない部屋を思い出して、ため息をついた。


「あら、テリセンちゃん。今日も大掃除?」

「……は、はい。今日もゴミ袋を頂けますか?」

「まだ足りなかったの? すごいわねぇ。はい、今日は30袋渡しておきましょうか」

「……あ、ありがとうございます」

「がんばって~」


 手を振って応援してくれた事務のナタリアさんに会釈をした。

 ナタリアさんは、清楚な雰囲気が漂う老婦人だ。

 昔はさぞかしおモテになっただろうと思う。なんか凄く綺麗だもん。

 初めは私に対して警戒心バリバリだったが、少しずつ話していくうちにここまで打ち解けてくれた。

 以前の私も知っているので説明としては「頭を打って性格が変わりました」と言っている。

 Sクラスの人のおかげで……と言ってもいいのだが、助けてもらってすぐに暴言を吐いているので、もう頭打って性格180度変わりました、と言った方がSクラスの人たちも信じやすいかな、と思った。

 ……嘘です。Sクラスのひとのおかげで!と言ったら、なんか後々Sクラスの人と会わないといけないかもしれないのが嫌だったのが本音です。

 Sクラス・Aクラスは、エリートクラス。魔術や勉強、武術などで優れた者達の集まりだ。

 と、ナタリアさんやパンフレットさんに教えてもらった。……物凄く有名人らしい二つのクラスの情報が(私の頭の中には)一切ないって、どういうことなんだろうか。

 とにかく、そんな凄い人物達の前に私が出て行くのはごめん被りたい。いや、あの暴言は謝りたいし、助けてもらった事にお礼もいいたいが……しかし、もう一度あのきつそうな美少女に会うのは現在の私にはちょっと辛いものがある。


(そんなことより……30袋って。初日の二倍じゃない。私、何してるの……いくら払えばいいの、ゴミ袋って)


 後でナタリアさんに聞いておこう、と頭にメモして、部屋へと向かった。少しだけ、暗黒霧(※)がなくなっているのを嬉しく思う。


 部屋へ入り、制服を置くためだけに雑巾がけをした場所へと脱ぎ、殆ど裸の状態でゴミ袋を持って立ち上がった。ゴミ袋の数は三桁を越している。服や下着はほとんどが使えなくなっていたので全て捨てている。そのため、元々着ていた物といくつかギリギリ着れそうな下着以外、私の服は制服のみだ。だから、掃除をする際はこれ以上汚れ物を出さない為に裸同然の姿で過ごす事にした。


「よし!」


 もし覗かれても、デブで豚な女?(であるかも曖昧)が肉をぶるぶるさせて汗を掻いている姿が見られるだけだ。恥ずかしくなんて全くない。

 それでも一応最初は恥ずかしがっていたのだが、なんか段々羞恥心がなくなった。どうせ、こんな身体だし。誰かのオカズになることなんて絶対にありえないし。

 そう、お相撲の力士さん達を見ても特に恥かしくないように。……例えが、ちょっと違うかもしれない。それに、世界に存在する一部の方達は興奮するかもしれないけれど。


 今日も今日とて、延々、ごみをゴミ袋へ放り込み続ける。

 もう今じゃ、鼠の死骸も素手で掴める様になった。何かの卵もどんどん入れる。凄く血なまぐさい匂いのする布とかも発見した。虫が集っていて気持ち悪い。魔法の授業があったら、まず浄化魔法を覚えたい。絶対だ。切実に! 部屋へ浄化魔法をかけて綺麗にするの。あと、火の魔法も覚えたい。そうして、いっそ、この部屋を燃やして建て直したい。


 そして―――私の部屋の方のベランダが開けられるように、なった。

 星の明かりが部屋に入ってくる。部屋の明かりは、魔道具で現代と同じくらいに明るい。スイッチを見つけて押したら一気に―――明るくならなかった時は絶望した。ごみが邪魔して、あかりが明かりの役目を果たせなかったのだ。今は、ちゃんと共同スペースと同室の子の部屋は機能している。


 今までで、共同スペース、同室の子の部屋、私の部屋、共同ベランダが綺麗になった。つまり、部屋全体の半分以上が綺麗になったということだ。

 ちなみに、私の部屋からは机が発見された。

 物凄く可愛いアンティーク調の机だった。本当におしゃれ。お姉様が入学前に買って下さったものだ。

 これをクソ豚が使うと思うと鼻で笑ってしまう。こういうものは、清楚なお嬢様が使うべきだ。

 伯爵令嬢はお嬢様だろ、って? 私はクソ豚をお嬢様だとは認めない。つまりは、私をお嬢様だなんて絶対に認めない。この姿でお嬢様とか世界の裏切りだ。

 同じように物凄く可愛いカーペットも発見された。色は汚すぎて判別できない。これらをごみに塗れさせていたなんて、マジで過去に戻ってスパイシーなものが沢山かかったパイを投げつけてやりたい。この豚面に。


 カーペットは虫やら鼠やらの巣になってあちこち齧られまくって、捨てるしかなかった。机のほうは何かの魔法がかかっていたのだろう。ごみや埃、鼠などで汚くなっても齧られてもなくて、綺麗なままだった。何でだ。魔法か? ……魔法って素晴らしい。


 今日は時間が時間なので、ここまでにする。明日は魔法の授業がある。

 今日は、文章を書いたり、計算をしたり。計算は問題なかったけれど、文字を書くのはモノがなかったので何も出来なかった。……今日も見つからなかった教科書とノートよ。明日こそ、絶対に見つけてみせる。


 そしてゴミ袋、範囲は狭かったのに色々大きなものがあったせいで、22袋使ってしまった。


 ……明日もナタリアさんに貰いに行かなければならない。

※幻覚です


続々と皆様のぼっち体験が送られてきて、いろんな意味で心が痛いです……(*´•ω•*)シューン

でも、嬉しい╰( 灬´︶`灬)╯ですっ!

しかも、何時の間にやらお気に入り500超え達成してるっ!?Σ(*゜Д゜*)

慌てて、ランキング確認してみたら週間ジャンル別で三位!?((((;゜Д゜)))))))うわぁぁぁぁ!!!!

---ありがとうございまあああああすぅぅぅぅうううう!!!


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