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二つの刻の中で…  作者: 白い黒猫
三章

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不思議な男

 男はゆっくり私の動線へと近づいてくる。

「やあ、君が新しいルーパーだね。

 見つかってよかった」


 その言葉に答えようとすると、男は人差し指を自分の唇の立ててスマホを取り出し、耳に当てた。


「俺は君の時間の人には見えていないんだ。

 だから、俺に反応すると、独り言をしているみたいで変に思われてしまう」


 戸惑っているうちに、近づいてきて私の隣で一緒に歩き出す。

 私はそこで改めて、現れた男の異様さに気がつく。

 男は規制線のロープも、たむろっている人もすり抜けている。

 まるで、そこに何もないかのように。


「俺と君はいる時代が違うんだ。

 だから君のいる時代のモノには干渉できないし、干渉されない。

 ただ君に見えているだけ」


 私は案内の人に断り、電話がかかってきているかのようにスマホを手に取り、同じように耳に当てる。


「お電話ありがとうございます。

 あの……お名前の方、伺ってもよろしいでしょうか?」


 案内の人に不自然ではないであろう形で問いかける。


土岐野(トキノ)(メグル)。2019年のルーパーだ」


 時雨結の小説『11:11:11〜廻る世界〜』の主人公のモデルとされる人物だ。


「本、読ませていただきました」


 私の言葉に、土岐野は少し照れたように笑う。


「時雨さんの本だね。

 俺が頼んで書いてもらったんだけど、改めて自分が主人公の小説って、照れくさいものだよね……。

 君の名前、教えてくれる?」


「十和一絵と申します。

 数字の十に和風の和、それに一枚の絵で、十和一絵です」


 土岐野は楽しそうに話を聞いている。


「トワで十一の絵……。そうきたか。

 素敵な名前だね」


 少しカッコいい男性からそう言われると、ちょっと嬉しい。


「仕事、上がるの何時くらい?」


 なんか彼氏の会話みたいだ。


「今日は四時すぎでしたら」


「了解。その頃、本館の玄関のところで待ってるね。

 君と色々話したいことがあるから」


 ニッコリ笑って手を振って、土岐野は去っていった。

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