表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/123

第35話 俺の疑念は、あっかんべ〜で破壊された

「もしかして、聖……お前」


教室へと続く廊下のど真ん中。

俺は足を止め、小さく、けれど確かにそう呟いた。


胸の奥がざわついていた。嫌な予感……じゃない。どこか、期待にも似た、妙な直感。


(……いやいやいや、ないないない。絶対ない)


だって、昨日。

ケーキ屋で見かけた“あのお姉さん”は、

背筋がすっと伸びてて、大人びた雰囲気で、横顔がもう女優レベルに綺麗で……


(でもな……顔……似てた。いや、っていうかほぼ聖だったろ、あれ)


俺の思考はぐるぐると渦を巻く。

そんなわけない。でも、もしも……?


「聖、お前さ――」


と、そこまで言いかけたところで。


「……あっかんべ〜♪」


ぺろっ、と舌を出す聖。

目尻を下げて、人差し指でまぶたをぐいっと引っ張るその姿は――


まるで幼稚園児の悪ふざけ。

完全に、ガキ。


「……なんだこいつ」


思わず素で呟いて、俺は自分の妄想を脳内で火葬した。


(いやいや、あるわけないだろ。こんなガキっぽい奴が、あんな色気バチバチのお姉さんと同一人物なわけ――)


その時だった。

先に教室に入ったはずの聖が、くるりと振り返る。


「ゆういちー! ホームルーム始まっちゃうよー?ほらほら、置いてっちゃうぞ〜?」


(――危なかった。今バレてたら……もう、ゆういちの隣には、いられなくなるところだった)


無邪気な声。無垢な笑顔。

なんだよその笑顔、ずるいだろ。


(……やっぱ、気のせいだ。つーか、可愛すぎたろ)


俺はそう自分に言い聞かせて、逃げるようにその背中を追いかけた。


……この時の俺は、まだ知らなかった。

あの“お姉さん”が誰だったのか、本当の答えに辿り着く日が来るなんて――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ