23.『オムレツ』と『帰還』
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お待たせしましたー!(お久しぶりです)
文字数(空白・改行含まない)約四千六百……。やっぱ、ちょっと多いかな?
各々、好き勝手に別れ、夕食の準備に取りかかる。
かくいう私もその一人だ。
【空間収納】からレンガを出し、風避けを作りつつ、焚き火をする場所を整える。
集めておいた小枝を、【乾燥】をかけた草や葉など、燃えやすくした物の上に隙間を作りながら並べる。
そして、指パッチンで【着火】!
魔法は確実に着火するから問題ないけど、着き難い時は白樺や松、杉の樹皮が良い着火材になる。
松ぼっくりや杉の葉でもいい。
その辺に落ちてるから、見つけた時は【収納】している――“備えあれば、憂い無し”だ。
たまーに、無性に火起こししたくなるんだよね~。原始的なあの火起こし。
無心になるんだよね……。
火が着いたら、小枝から少しづつ太めの枝にしていき、【送風】(微弱)で風を送りながら火を大きくしていく。
細めの木を入れ、火が安定してきたら【送風】を止め、ご飯の準備。
側で、私のやることなすことを見ていた辺境伯に火を見ててもらう。
“働かざる者、食うべからず”だ。
「おい、それ……」
「あぁ、ダイジョブ。これ、ちゃんとコカトリスの卵だから」
「……どこで獲ったんだよ……」
「ハルバード側の『魔の森』出入口付近」
「……あぁ、あそこ……」
【空間収納】からコカトリスの卵を取り出すと、辺境伯が少し焦った声を出す。
安心してください、ちゃんとコカトリスですよー。
先の尖った金槌のような道具も取り出し、卵の底に穴を開ける。
コカトリスの卵の底には、殻と黄身を守る膜の間に空気がある――普通の卵にもある、“気室”。
穴を開けて空気を逃す――これをしないで殻を割ると、衝撃で中身が飛び出すこともあるのだ。
……実は三敗。
次はうまくやる! ってやって、やらかすんだよね……。
殻が硬いから、強めに叩いちゃって――――やっちゃうんだよねぇ……。
底から二センチ程の場所にも穴を開けて一周し、衝撃を与え、殻を割って外す。
【空間収納】からナイフを取り出し、膜に切り込みを入れる。
中身が溢れないよう、ゆっくり破り、ゆっくり剥がす。
【洗浄】と【浄化】をしたナイフと、金槌(擬き)を【空間収納】にしまい、細い泡立て器を出して、そのまま卵をかき混ぜ、塩胡椒少々……。
辺境伯に卵を混ぜていてもらい――
「丁寧に扱ってね? 晩ご飯だから」
「……」
辺境伯の握力は伊達じゃないからね?
火加減、よろし!
フライパンを【空間収納】から取り出し――あ、ナイフ、まだ使うんだった!
トーストやパンケーキに乗せるぐらいの大きさにバターを切り、フライパンに二~三切れ入れて、火にかける。
本当は、卵に牛乳を入れたいところなんだけど……無いからねぇ……。
バターが溶けたら、フライパンに溶き卵を流し入れ、木ベラで手早くかき混ぜる。
半熟状になったら火から外し、フライパンの片側に寄せ、形を整え――【空間収納】から出した大きめの皿にパカッと。
「完成!」
あとは、邸を出る時にもらったパンをアミに乗せて温めて――
「……なんでフライパン、持ってんだよ、お前……」
「え……? メシ作るのに……?」
「……」
パンとアミを【空間収納】から取り出そうとしたら辺境伯の呆れ声が聞こえ、それに答えたら黙られた。
そんなに変?
フライパン以外の使用済み調理道具を【洗浄】するのに【結界】の中に入れていると、「コカトリスのオムレツ?」「コカトリスのオムレツ?!」と、ハルバードの騎士たちが集まってきた。
その中の一人が「オムレツ、作ってください!」と片膝をつき、コカトリスの卵を恭しく、頭上へ突き出す。
「あ! おま!」
「いつの間に?!」
「あ、俺もお願いしまーす」
「はぁ!?」
「ずっるッ!」
……緊張感の欠片もない。
これでいいのか? ハルバード辺境伯騎士団。
「……卵と交換な」
そう言って卵を受け取り、オムレツが乗った皿を渡す。
「おっしゃ! オムレツ~」
「おれも食う!」
「分けろ!!」
わちゃわちゃして去っていった――嵐か。
「……食いたい奴は卵、溶いて持ってこいよー」と言うと「卵、割る!」「卵、割れ!」と、各々、行動を起こしだした。
イースハルト側の人間が、不思議そうにしてたのは、言うまでもない。
「……お人好しめ」
「えぇ? ――こーでもしないと、いつまで経ってもメシ、食えないじゃん」
筋肉集団に「オームレツ!」「オームレツ!」って詰め寄られるんだぞ? ――嫌じゃない?
そして私は暫く、オムレツ製造機械になったのだった――どんまい、私。
◆
オムレツを作りまくり――ちゃっかりA級冒険者が一人、混ざってたのは笑った。おい、お前もか!
B級冒険者パーティーは、一緒に作ったけど。
「おかわりは無しだ!」と突っぱね、ホントの私の夕食の準備を始めた頃、イースハルトからフクロウが飛んできた。
多分、昼間に飛ばした、鷹だか鷲だかの足にくくりつけた、手紙の返信を持ってきたんだと思う。
フクロウに餌やりをさせてもらいながら、イースハルトの騎士たちが「確保、確保ー!」と騒ぐのを見ていた。
何が書いてあったのか……。
フクロウは可愛かった!
寝る準備や、明日の準備、思い思いに過ごす面々を見ながら【空間収納】からアミと小型の鍋を出す。
火の番、トップバッターで、ヒマなんで。
アミを火にかけ、水を入れた鍋を真ん中に置く。
【空間収納】からマグカップとインスタントコーヒーを取り出し、お湯が沸くのを待つ。
何故か異世界に“インスタントコーヒー”が存在する。
なんでも、とある錬金術師が「ちんたら豆挽いて、ドリップなんてしてられっか! ササッとコーヒーが飲みたいんだよ!」と作ったそうで――――転生者かな?
旅人や冒険者には、わりとウケてるらしい。
私も「コーヒーは飲みたいけど、豆からのコーヒーは苦手で……」って人間だから、インスタントコーヒーの存在を知った時は「コーヒーが飲める!」と正直、喜んだ。
……あの酸味と苦味がどうも……。お子様舌なもので――――実際、五歳児だしな。
閑話休題。
ティースプーンでインスタントコーヒーを一匙、カップに入れ、お水をちょっと入れて練り練り……。前世のクセだ、意味は無い。
辺境伯が騎士たちから離れ、近寄ってきた。
カップを覗き、すんっと、においを嗅ぐ。
「……コーヒー?」
「飲む?」
「要らん」
そう言って隣に座る。
どうやらインスタントは、お気に召さないようだ。
「休めば?」
「問題ない」
「……休める時に休もうか?」
「なら、お前も休めよ」
「いや、私、火の番だし」
「……」
「…………はいはいはい、お好きにどーぞ」
「フン」
……ちょっと思ったんだけど……辺境伯、『雷帝』に当たり、強くないかい??
お子様な私に対するより、素っ気ない、っていうか……。
――私の距離感がバグってきた?
う~ん……子供と『雷帝』で対応を変えてる? ――――子供の姿で視えるのに?
……うん?
少し不思議になり首を傾げる。
思考を巡らそうとしたら、ゴボゴボと鍋から水が沸騰する音がしてきて、中断する。
鍋を火から外し、カップにお湯を注ぐ。
ふわ……と、コーヒーの匂いが香る。
スプーンでカップの中身をかちゃかちゃかき回し――
「あ」
カップを取り上げられた。
横を見ると、私のマグカップを持つ辺境伯――嫌がらせか……?
「寝れなくなるだろ」
「……私、火の番。しばらく寝ない」
さっきも言ったはずですが?? ここは子供扱い?
「か え せ」と手を出すが、辺境伯はカップを返してくれない。
……なんなん?
辺境伯は基本、意地悪なの?
しばし、マグカップを巡り、無言の攻防。
〈……団長、またぼ――雷帝にちょっかいだして~〉
〈いじめっこか?〉
〈かまってちゃんでしょ〉
〈……【稲妻】の落とし合いにならないよな……?〉
〈〈……〉〉
〈……無言、やめろ〉
〈さすがに魔法の打ち合いは無いだろ〉
〈〈〈……〉〉〉
〈無言、やめよ?〉
……なんか、ハルバード側の騎士たちがちょっと、ざわついているが……無視でいいかな?
はぁ……とため息を吐いて、【空間収納】からまたマグカップとティースプーンを取り出す。
もう……諦めよ——って、結局飲むんかーい! 「……まっず」じゃねーんだわぁ……。じゃぁ飲むなよ、返せよ……まったく……。
……口つけたカップを返されても困るけど。
……。
もう一回お湯、沸かすかぁ……はぁ。
◆
『魔の森』で野営をし、翌朝、片付けを終えた私たちは、ハルバード辺境伯領側の『魔の森』出入り口へ向かう。
イースハルト辺境伯領から来た冒険者と騎士たちとは『魔の森』で別れることになる。
冒険者たちは『冒険者ギルド』へ報告しなくてはならないから、イースハルトへ。
そして冒険者たちと行動を共にしていたイースハルトの騎士たちは、そのままいつも通りの巡回をし、ハルバード辺境伯領――『魔の森』近くの砦へ。
また後で会うかも?
砦に到着した私たちは、砦でも一泊することになった。
辺境伯邸がある街に帰るのは、明日らしい。
まあ、過去の記録とか調べたりしたいし、一泊ぐらい、いいか。
……バジリスクの死骸って残ってるかな……?
【鑑定】――『愛し子』スキル:全てを見透す『神の目』を使えば何か判明するかもしれない。
けど、十日以上経ってるからなぁ……。もう処理しているかも……。
そうなると色々不明で、謎だけが残ることになる。う~ん……。
そ、素材だけで何か判るかな……? が、頑張れ、【鑑定】!
……やっぱりバジリスクの死骸は残ってなかった。
ギルドに全てを頼んだ後だったらしい。
『災害級』『準災害級』じゃないにしろ、バジリスク自体が珍しいから仕方がない。
……素材も、ギルドに残ってなさそうだなぁ……。
お風呂でスッキリさっぱりした後は、調べ物である。
野営中は【洗浄】と【浄化】でキレイにはしていたが、やはり、“お湯に浸かる”というのは別物らしい。
スッキリさっぱり出来るのは勿論、ゆっくりお湯に浸かって温まれるのも、リラックスできるのもイイ……!
『魔の森』は湿度でジメッとしていたからか、いくら【洗浄】と【浄化】を使っていても、次の日には不快な空気が肌にまとわりついてきて、気持ち悪かった。
スッキリ、しゃっきり、サッパリ! できたおかげで、調べ物が捗る。
――が。ここ十年の日報や報告書などに、めぼしい物は無かった。
“ちょっと春になるのが遅い”とか、“寒さが長引いている”とか。
季節の訪れが遅れていたようで、夏も涼しい――冷夏だったようだし。
蒸し暑いのは今年だけのようだ。
それで、辺境伯に十年以上前の日報や報告書の保管場所を訊ねると――「地下……か?」と。なんか、すっごく嫌そうな顔をした。
これは「どんだけ調べるつもりだよ」とか「いやだー!」という顔だな?
……溜め込まなきゃいいのに……。いや、片付けが面倒だから溜め込まさったのか。
一年毎に必要か否かの確認をし、必要な部分だけ残して処分すれば溜まらなかったのでは……?
……それをするのも大変か。
これから調べるのも大変だけど、邸に戻るから、書類仕事が得意な人、数人に探してもらえば良いと思う。
そうすれば、探す手間が省け、調べるだけでいい。
……量が量だから、時間かけてもらって……。
辺境伯邸に戻っても【瞬間移動】で砦と行き来できるし。
あとは確認して処分――ってすれば、片付くのでは?
――って辺境伯に話したら、すっごく嫌そうな顔をされた。
……そんなんだと、いつまで経っても終わらんぞ?
◆
気がついたら辺境伯邸の、辺境伯の部屋で目が覚めた。
……どゆこと??
緊急クエスト終了〜!
お子様ライフに戻ります(ㆁωㆁ)ゞ
お待たせしました〜!(待ってない)
後半(ホント最後の方)が中々進まなくって……orz
あと、スマホ、機種変したから入力慣れぬ……(。ŏ﹏ŏ)
顔文字かわいいのが増えたw
今月は、あと一回は更新したいですね……。




