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辺境でのんびり契約親子ライフ  作者: ユキノリク(元キタノソラ)


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20/24

20.『いつもの朝』と『証拠隠滅』

お読みいただき、有難うございます。

ブクマ、評価、リアクション、感謝ですm(_ _)m

感想? も、有難うございます!


二十一話を書くのが楽しくなっちゃってw つい更新するの忘れてたm(_ _;)mスマヌ...


今回は約五千字です



 朝、ぐえっと言う声を上げて目が覚めた。

 抱き枕代わりに、自分と同じ大きさの“クマのぬいぐるみ”を抱っこして眠る私を抱きしめて寝る辺境伯のせいだ。己れ、ゴリラめ……!


 目覚めて最初にしたのは、クマのぬいぐるみを【空間収納】に【収納】する(しまう)こと。

 だってそうしないと、私が見てない隙に“ぽーい”とかやりそうなんだもん。

 実際に捨てはしないだろうけど……でも、なんか何処かに隠しそうだなぁ……って。

 寝る前の辺境伯の声が、ちょっと恨みがましそうだったんだよね……。気のせいかもしれないけど。


 だから【収納】する。

 大事な物は隠し(しまっ)とこーねー。はい、【収納】【収納】っと。


 クマが居なくなった分、余裕ができて圧迫感も少なくなり、ほっとする――のも束の間。またぎゅーって、される。

 辺境伯は密着するのが好きなのか?


 ……まあ、いいや。


 そのまま、いつも通りに二度寝する。すやぁ……





 頭を撫でられるような、髪を()かれるような……くすぐったい感覚に意識が浮上する。


 うぎぎぎーっと、声を出しながら布団の中で伸び。手足をぐーっと伸ばす。


「起きたか」

「うむぅ? ……おはよぉ……?」


 ぅん?

 回らない、寝起きの頭の中が疑問符だらけだ。


 なんで私の頭を、横向きに寝た辺境伯が優しい顔で撫でてるんだろ……? なんで――――あぁ、そうだ。辺境伯、昨日、帰って来たんだ。忘れてた。



 布団を(まく)って起き上がり、目を擦る。

 ふわぁ……と欠伸をして伸び。ぐぎぎー。

 ふぅ……と息を吐いて腕を下ろす、と。


 むむ? クマ……?


 クマのぬいぐるみが無いことに気づき、辺りをキョロキョロ見回し――――あ。そうだった。


「? どーした?」

「んーんー、なんでもなーい。かいけつしたー」


 ふぁ……と、もう一回欠伸をして、もぞもぞと“後ろ向きハイハイ”でベッドから下りる。


 クマは二度寝前に【収納】した(しまった)んだった。そういえば。

 ……うっかり、辺境伯を疑うところだった。


 私が床に着地したのを見た辺境伯もベッドを出る。



 チリンチリ~ンと、辺境伯がベッドサイドに置いてあったベルを鳴らし――お着替えでーす。



 朝食を終え、日本で()うところの居間のような部屋へ移動し、まったりティータイム――辺境伯はコーヒー派みたいだからコーヒーブレイク、か。


 私は辺境伯に抱っこされ、膝の上でオレンジジュースを飲みながら足をぷらぷらさせる。


 ……まったりしてる場合ですかね……?



「パパ、しごとは?」


 ……「パパ、しごとは?」って、これ――何回言ってるかなぁ……。


 上を向いて、後ろにいる辺境伯に言えば、項垂れるように辺境伯が私の右肩に頭を乗せる。……ちょっと重い。

 首に辺境伯の髪が当たって、もぞもぞする。


「最重要かつ優先事項は、昨日のうちに終わらせた」


 終わった、じゃない辺りがホントっぽい。


「ふむ?」

「ギルドへの書簡は昨日の内に書いて今朝、送った」

「ほー」

「イースハルトには、帰ってくる前にイースハルトの騎士に持たせた」

「うん」

「……丁度、イースハルトのガキが居たからな。『そっちでも調べとけ』()っといた」

「おー」



 『イースハルト』とは、国境を覆うように広がる魔獣が棲む森――『魔の森』で『ハルバード辺境伯領』と繋がっている隣国の辺境伯家の名前だ。


 どうやらタイミング悪く、隣国(イースハルト)から巡回で来ていたみたい――いや、タイミングが良かった、と言うべきか。

 来てなかったらハルバード辺境伯家(こっち)から書簡を持って、イースハルト辺境伯領へ行かないといけなかった。それだと被害が出ていたかもしれないし……うん、ナイスタイミング!


 “イースハルトのガキ”ってのは……イースハルト辺境伯家のご子息、ってことかな?

 辺境伯がガキ(・・)っていうぐらいだから……確か――みんな辺境伯より年下だったはず。誰だろ?

 有力なのは次男さんかな?

 前に砦に行った時、私は会わなかったけど、次男さん、巡回でこっちに来てたみたいなんだよね。

 それに、砦の騎士さんたちの口振りから、よく巡回で来るみたいだし――――ま、そーゆうことにしとこ。



 「仕事は終わった。今日ぐらいゆっくりさせろ」と私を抱きしめる手に力を入れた辺境伯が、私の首の辺りで頭をグリグリする。駄々っ子か。

 辺境伯の髪が首を擦れて、くすぐったい。

 手で口を抑えるが、くふくふ笑い声が出ちゃう。



 強行軍で帰って来たようなもんだしねぇ。


 多分、『冒険者ギルド』からの返事次第では、明日(あす)にでも砦に戻ることになるのだろう。


 ……今回は私もついてくぞ――『雷帝』で。



「……あれ? でも、くににもほーこく、しないとダメじゃなかった?」


 『バジリスク』は『災害級』『準災害級』に指定されているから、発生、討伐の報告は国にしないといけない。


「……ギルド経由で出した」

「なぁに? その『ぎり(義理)()たした』てきな、いーよーは」

「……辺境伯領(ここ)から王都の距離を考えてみろよ」

「…………あー……ふつーにいったら、ひとつきは、かかっちゃうねぇ……」


 そうだった、めっちゃ遠かった。



『魔の森』にバジリスクの生息(発生?)を確認(討伐済み)

→報告する ※今ココ


『魔の森』に調査に行く ※これから

→バジリスクが残ってたら殲滅(せんめつ)

→討伐の報告をする


 ……お城に第一報が届く頃には討伐が完了してそうだし、お城から返信くる前に、調査結果の報告を出しそうだし……。

 そうなると、“事後報告でよくね?”ってなるかぁ……。


「……じごほーこくがあたりまえ?」

「時間に余裕があって、数が必要な時は事前報告だな」

「なるほど。じごほーこくがあたりまえ、と」


 物理的に距離があるから仕方がないか。


 人、国が相手なら許可が必要だけど、魔獣が相手だしねぇ……。

 魔獣(こっち)に関しては、辺境貴族と冒険者に分があるわけだし――仕方ないね。



 ……まあ、一日ぐらいゆっくりしてもバチは――


 コンコンと戸を叩く音がし、次いでガチャっと扉の開く音がした。

 入ってきたのは辺境伯の側近だと思ってた黒髪の人。実は家令さん!


 辺境伯が居ない間、辺境伯じゃなくても大丈夫なお仕事をこなしていた功労者である。

 お疲れ様~ご苦労様~ありがとー!!


「失礼します、旦那様――冒険者ギルドへ遣いに出ていた者と共に、ギルドから使者の方がお見えです」




「あ゛……?」


 顔を上げ、私の肩に顎を乗せた辺境伯がドスの効いた声を出す。ひょえ……


 間近で聞く、ドスの効いた辺境伯の声……こわ。



 ゆっくり出来ないようですね……。ブルブル。



 ギルドから来た使者さんが『雷帝』にも用があるらしく、私も使者さんに会うことになった。


「なんで、雷帝が辺境伯邸(ウチ)に居るって、知ってんだよ」

「それはね? 『らいてー』が、まじゅーとーばつで、『まのもり』にいったからだよ?」


 「俺が居ない間に雷帝で街に出たのか?」と言いたそうな辺境伯に睨まれたけど、『雷帝』が『魔の森』で魔獣討伐に参加したのは街でも有名になっている。

 それを言えば「あ。忘れてた……」というような顔をされた。おい。



 まあ、辺境伯が居ない間に街へ行ってましたけどぉ――あれ? そのこと、使者さんからバラされる可能性……?


 ハッ!


 辺境伯にコップを渡して握らせると、膝からぴょいっと下りる。


「『らいてー』きがえてくる!」

「は? おい、ちょ……!」


 バッと挙手するように右手を上げて言うと、辺境伯の返事を聞く前に、家令さんの横をすり抜け、ぴゃーっと走って部屋を出て行く!


 『雷帝』、剣を持った冒険者スタイルのままだった! 気づけて良かったー。危ない、危ない。



 『姿を変える腕輪』は、なりたい姿に姿を変えれる『魔道具』だが、常にそう(・・)とは限らない。

 私がこれから『姿を変える腕輪』を使った場合、“魔道具を解除する前”の姿に変わる。


 ゲームで云う、“セーブした場所から始める”みたいな。

 あれって、HPもMPも減った状態でセーブをしたら、そのままの(減った)状態で始まるでしょ? そんな感じで、最後に魔道具を(・・・・・・・)使った時の姿(・・・・・・)で記憶されるのだ。


 だから今、冒険者スタイルの『雷帝』状態なんだよね……。うっかり忘れてた。



 どうも辺境伯は、私が剣を持つのを嫌がる節がある。

 戦力としても雇われているんだけどなぁ……。


 辺境伯の前で、冒険者スタイル(剣帯してる状態)の『雷帝』になんてなったら、何を言われるか……。使者さんに会った後にネチネチ言われるかも?

 そう思って、脱兎の如く逃げ――証拠隠滅に向かうのだ!



 部屋の前で待機してた護衛さんがついてくる気配……! チラッと後ろを見ると、私を抜かない速度でついてくる。護衛だから仕方ないね。ご苦労様でーす。

 すまんね、遅くて。これでも結構、マジで走ってるんだよッ!



 子供部屋に到着し、部屋の前で膝に手をつき、はーはー息をする。

 ちょっと……速度、落とせばよかった……。うぇ、ジュースでそ……。


 すー……はー……と息を整え、「『らいてー』きがえるから!」と、護衛さんに一言告げて部屋に入る。

 扉を閉め、戸に耳を当て――――護衛さんの動く音。辺境伯が来た気配、なし! よし!


 扉に【施錠(ロック)】をかけ、侵入防止だ!

 辺境伯、ノック無く入ってくるから……。お着替え中に入ってこられたくないもんねー。



 タタタっとベッドに近寄り【空間収納】から『雷帝』用の服を取り出すと、【色変(いろかえ)魔法】を解いて――“黒髪”を()、“灰青色(アッシュブルー)の目”を黄金色(・・・)に戻す。

 そして、左手首にフィットした『姿を変える腕輪』に右手を添えて魔力を流――そうとして一時停止。


 うーん……【変身魔法】でも良かったかな? いや、カジュアル過ぎず――かといって、フォーマル過ぎない格好とか、大人のお出迎えスタイルとか見たこと無いから想像できない……。

 想像力が足りなかった……残念。


 それに、魔法を解除した後の五歳児な私が『雷帝』の服に埋もれる未来が――――やっぱ『姿を変える腕輪(魔道具)』の方がいいね、うん。


 なんで分かるかって? すでに数回【変身魔法】でやらかしてるからだよ!


 どういう原理か分からないけど……【変身魔法】だと着替えた服が。『姿を変える腕輪』だと着替える前の服が残る。

 ホント、どーなってるんだか……。



 『姿を変える腕輪』に魔力を流す。

 『雷帝』になると、直ぐに腰の剣帯と共に剣を【空間収納】へ。

 剣を【収納】したら、腕、足、胸、肩の防具も外して【空間収納】にポイ。

 あ、手のグローブも忘れるとこだった……ポイっと。


 ベッドに出した服を物色する。

 ……まともなのが白いシャツぐらいとか、終わってんなー。着る物に頓着しなさすぎー……。

 あ、黒の七分丈のシャツ。これ、中に着よ。


 上を脱いで――――そう言えば……『雷帝』で最後に風呂に入ったのいつだ……?

 いや、【浄化(クリーン)】使ってるけど! 一応、キレイにしてますけど!


 …………『魔の森』が最後……? 説得力がなさすぎる。



 着ていた服に【洗浄(ウォッシュ)】【乾燥(ドライ)】【浄化(クリーン)】をかけて【空間収納】へ――後で、防具も手入れして【浄化(クリーン)】かけよ。


 自身にも【洗浄(ウォッシュ)】【温風冷風(ドライヤー)】を使い、仕上げに【浄化(クリーン)】をかけ、まずは黒の七分丈のシャツを着る。

 次いで白のシャツを羽織りボタンをしめ、裾はズボンに入れる。白シャツの袖は腕捲り……っと。


 ……。


 姿見に写る『雷帝(自分)』を見て『黒の腰エプロンしたら、どっかのウエーターだな……』と頭を過った。

 オシャレとか気にしなさすぎた弊害か、これ。


 ……五歳児な私も与えられた服しか着てないしなぁ……と、ちょっと遠い目になる。


 因みにズボンは黒。靴も黒の編み上げブーツである――――(汚れ)が目立たない色を選んだばかりに……。ガクッ。



 自分のセンスの無さに凹みつつ、扉にかけた【施錠(ロック)】を解除。戸を開けるためにノブを握ると、回る感触がした。

 外からも開けようとしていたようで、外開きの扉に引っ張られる。


 ノブを離せばよかったのだが、咄嗟のことに動けず、そのままの勢いで、前に居た人物に飛び込むようにぶつかった。


「おわっ、と……すまん」

「……なにやってんだ、お前」


 私を抱き止めたのは辺境伯で。顔を上げた私を、辺境伯は怪訝な顔で見ていた。


 『雷帝()』がぶつかったぐらいじゃ、びくともしない――――やっぱ、筋肉……。



「……なんでもありません……」


 踏ん張れず、引っ張られたとは言えず――そろりと目を反らし、そっと辺境伯から離れる。






体格の違いと筋肉量に――ちょっと羨ましい、とか。


いつもより近い距離と大人の余裕に、ちょっとドキッとしたり。




何よりも、腕力(パワー)に――圧倒的な差を感じさせられた。






 これでも一応、最上級冒険者なんですけどねぇ? 自信、失くすわー。


あらすじに書いているとはいえ、ぐだぐだですねー(白目)



最後の方の説明、という名の言い訳。

(BなLに勘違われたくないのでぇ……)

ちょっと長いよ。


◆ちょっと羨ましい◆

辺境伯の体格と筋肉が主人公の理想で憧れだから「羨ましー!」ってなってる。

筋肉、筋肉言ってるのはそのせいですw


◆いつもより近い距離◆

五歳児115cmぐらい、雷帝180〜185cmぐらい、辺境伯190オーバー……物理的に近いんですよ。

75cm差と5〜10cm差ですからねぇ……。


◆大人の余裕◆

主人公には、余裕があるように(そう)見えた。

自分も「何でもないですよー」的な感じに対応できるようになりたいな〜と思った。これも憧れですね。

*辺境伯的には多分、余裕ないです。ぶつかった瞬間、内心「ぐふっ(吐きそう)」ってなってると思うw


◆ちょっとドキッ◆

(物理的に)いつもより近い上に、“前世の推し”に似てるので……。前世の思考がひょっこりw「別人、別人! 推しは大人ですぅー」

あと「これが包容力か……!」とか思ってるw


◆何よりも、腕力(パワー)に――圧倒的な差を感じさせられた◆

劣等感とか。「やはり筋肉か……!」になってるw


……BなLのタグって付いてた方がいいですかね……?

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