17.『手紙』と『魔法書』①
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今回は三千ちょい。みじか……平均?
『回復薬』を届ける第三陣(他の物もあるよ!)が出立した次の日である今日の夕方――夕食時に、昨日の昼に出た第二陣が遅れて戻ってきた。辺境伯からの手紙を持って。
手紙っていうか、走り書き?
辺境伯邸に戻る第二陣に持たせるのに急いで書いたのかな?
因みに。第一陣は、第三陣と入れ違いで昨日の夕方に戻ってきている。
「うむむぅ……」
「坊ちゃま、どうなさいました?」
「これ……」
辺境伯からの手紙(走り書き)を読んで唸る私に老執事が声をかけてきたので、手紙? を渡す。
[回復薬は今のところ、十分に足りている。必要ない。だから危ないことはするな。]
「やること、なくなっちゃったー」
回復薬は必要ないって言うし、魔力を込めることが辺境伯の言う“危ないこと”なら、回復薬に魔力を込めることが出来なくなる。
「危険はないか、坊ちゃんも心配なのでしょう」
「わかるけどねー……ヒマ、なっちゃうよ~」
……まあ、作るけどね。『雷帝』で上手く出来るか、試したかったし。
鬼の居ぬ間、鬼の居ぬ間。
[手紙、ありがとう]
……これは……辺境伯が書いた、のか……?
ありがとう? ありがとう……?!
「ほんとーに、パパがかいた……?」
「……坊ちゃんの字で間違いはないようですが?」
「……ですよねー」
ありがとう?!
……ふむ。手紙を魔法で蝶々や鳥に変えて、やり取りする異世界モノがあるけど――――この世界にも、そういう魔法ってあるのかな? できるかな……?
う~ん……無いとしても、伝書鳩的なのが居る……?
猛禽類系が多いよね、異世界モノ――速いから?
ちょーっと明日、『魔法書』? を探して、試してみーよおっと!
魔力を消費するからモリモリ食べて、明日に備える。
――『愛し子』の魔力を混めた『魔力回復薬』を試す時、か……?
◆
辺境伯がいない三度目の夜。
子供部屋で寝ようと思ったけど、なんか落ち着かなくって……。変更することなく、辺境伯の寝室で寝ることにした。
寝る準備に、寝る前のルーティンを終えてさ、一人になった私は【色変魔法】を解いて、赤髪金眼に戻ってから『姿を変える腕輪』に魔力を流す――【色変魔法】を解かないと、魔力の廻りが悪くなるからね。
『雷帝』になって、市販の『体力回復薬(小)』に魔力を込めてみることにした。どうかなぁ……。
*
*
……。…………。なんてこった……。これ、【鑑定】しなくても判る。
回復薬の中身が、今までに作った(魔力を込めた)やつと同じようにキラキラしている。
それに色も、市販の体力回復薬(小)と変わらないから、『小』のままだと思う――――一発かよ。五歳児な私の苦労はなんだったんだ……?
『姿を変える腕輪』に再び魔力を流して、五歳児に戻る――【色変魔法】で黒髪、灰青色の目に戻す。
なんか……どっと疲れた。一発かよ、瞬殺かよぉ……。
魔力を込めた体力回復薬(小)を【空間収納】に入れ、ベッドによじ登ると、ベッドの真ん中で大の字になる。
『雷帝』だから? 大人だから、魔力のコントロールが安定していたのかな……? ――中身は同じ、五歳児なんですけど??
……器の違いで、魔力の安定が違う……? 気の持ちよう……?
……むむ、ねむ……。目を擦る。
かんがえるのは、あしたにしよ……。
布団の中にもぞもぞ入っていく。おやすみぃ……。
◆
おっはよーございまーす! 無駄にテンション上げてる私です。
辺境伯がいない三回目の朝です。
巨大地図を描いた初日以降、枕を抱っこして寝るクセがついたようで、今日も抱っこしてた。何故だ……。
寝る前に頭を占めていた魔力コントロールについて。
寝て起きて、思ったのは
医者でも魔術師でも、ましてや研究者でもない、ただの五歳児()に魔力コントロールの安定について……とかなんて、わっかんないもんねー!!(やけくそ)
――である。分からんもんは、分からんのだ。
『魔力判定』までは魔力が安定しないから(魔法を)使わせない方がいい、って話だからね――――おもいっきり使ってるけどなッ!
だから魔力コントロール云々は忘れることにした。どうにもなんないし、どうにもできない。仕方ないね。
回復薬に魔力を込めるのは『雷帝』で! 魔力コントロールが安定してるし、適材適所だよ、うん。
着替えて、朝食を済ませ、お茶をしばいて一服。お腹が落ち着いたら、中庭に出てお散歩だ。
昨日、一昨日と部屋に籠って回復薬に魔力を込めていたから、今日は太陽光を浴びなくては……!
あと、少し体を動かさないと、お腹が減らないからご飯が入らないんだよね……。入眠も悪いし。
健康維持のためにも日光浴とウォーキング! できれば、水遊びも……。
水遊びをした日は、爆睡だったからね!
不健康そうだったら、帰ってきた辺境伯が過保護になりかねん……。運動、大事! 運動、大事!
◆
お散歩を終えて水分補給をし、その足で書庫へ向かう――魔法書の有無については、事前に確認済みである。
何冊かあるらしいので、手紙魔法? 伝書魔法? があるか、調べてみようと思います! ――無かったら開発か……?
辺境伯邸にある魔法書を読んでみたけど――――手紙魔法も伝書魔法も無かった。有ったのは『黒魔法』と『付与魔法』と『支援魔法』の三種類の魔法書だ。
『黒魔法』とは、【火球】や【氷柱】【稲妻】のような攻撃魔法のことだ。それが全属性あった――すごっ。
『黒魔法』……『属性魔法』の攻撃は当たるとデカいからね。あると便利! 必要だね。
『付与魔法』……武器や防具に【属性付与】をすると、属性の付いた攻撃が出来るし、属性攻撃(物理)や魔法のダメージを軽減することが出来る。必要だね。
『支援魔法』……【強化】や【弱体化】、【減速】といったサポートが入ると戦闘が楽! 必要だね。
納得のラインナップである。
――ってな訳で、一から考えなくてはならなくなった……! まいったなぁ……。
手紙を蝶々や鳥にする――変化? いや、蝶々や鳥を創って、それに音声を吹き込んで文章化する……? う~ん?
‘’魔法はイメージが大事!”っていうけど……イメージでどうにかなるもの??
…………魔術師さんに訊いてみるかぁ……。
その前に、『無属性』の魔法書を調べてみないと……。
『無属性』にも【重力】や【隕石】なんて云う攻撃魔法があるから、魔法書があったけど――この魔法書に攻撃魔法以外のも載ってるかな……?
『無属性魔法』とは、どの『魔法属性』にも属さない魔法のことだ。
『魔法属性』とは、生まれ持った魔法の属性のことで、私は『雷属性』だから『雷魔法』が使える。
本来は『魔力判定』を行う七歳になるまで『魔法属性』は判別出来ない――まあ、私は【変身魔法】でやらかしたから判るんんだけど、基本、子の『魔法属性』は親か祖父母の誰かと同じになる、らしい。
『神の子』『神の愛し子』と呼ばれる黄金色の目を持つ王族は、『加護』を与えた神様と同じ『魔法属性』になるから、親兄弟、祖父母とは違う属性になることが多い。
――ご先祖様の誰かとは、同じになる可能性はあるけど……。
それはさておき。
『付与魔法』と『支援魔法』は『補助魔法』に分類され、その『補助魔法』も『無属性』の一種になる。
基本の四属性(火、水、風、土)や、上位属性(炎、氷、雷、光、闇、聖)じゃないからだ。
『生活魔法』と『時空間魔法』、私が常に使用している【色変魔法】、最近使用していない【変身魔法】も『無属性』に分類される。
『時空間魔法』は才能が無いと無理らしい――けど、『無属性』は基本、誰でも使えるようになる魔法だ。『生活魔法』がいい例だね。
書庫にあった『無属性』の魔法書に、攻撃魔法以外の魔法が載っていなかったら、攻撃魔法以外の魔法が載っている魔法書の有無を『魔術師ギルド』に問い合わせみないとかなぁ。
魔術師さんに訊くのは、そのあとだ。
『無属性』の魔法書を手に、書庫を後にする。
魔法書を子供部屋に置いて、お昼を食べたら――――水遊び、ダァー!
運動、大事!




