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パーティを追放されたので魔王になって復讐します  作者: 文字書きA


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離反(前編)

クセルの町の東には、なだらかな平野が広がっている。皇国の軍隊と帝国の軍隊は、平野の中央で戦っていた。平野の端、廃墟となった砦の壁に穴が開く。その穴から、白いネズミが顔を出した。ネズミはそのまま穴を広げて、人間がギリギリ通れる大きさにする。


「繋がったよ」


「ボクたちはここで待ってるね」


「おう、ありがとな」


エルドレッドはネズミたちに頭を下げて、ネズミの道を通り抜けた。その後から、マリオンが無言で付いてくる。崩れかけた砦を出て、2人は南西の方向を目指して走った。剣戟(けんげき)の音が近づいてくる。


「そろそろかな。オレは予定通り、嵐を呼んで軍隊を足止めする」


エルドレッドが足を止めて、空に向かって手をかざした。マリオンは無言で頷いて、彼を置いて先に行った。黒雲が空を覆って、雨が降り始める。マリオンは雨の中を走って、戦場の只中(ただなか)に飛び込んだ。次第に雨脚(あまあし)が強くなって、横殴りの強風が吹き付けてくる。兵たちの間に、動揺が走った。


「空が急に……?!」


「先程まで晴れていたのに……!」


「こりゃダメだ、サッサと帰ろうぜ」


「だな。こんな天気の中じゃ、戦えねえよ」


雨風に打たれることを嫌って、帝国の兵たちが退却していく。兵とは名ばかりの、荒くれ者の寄せ集めなのだから当然だ。けれど皇国の軍隊はそうはいかない。命令が出ていない状況で、退()くことは出来なかった。


(こんな状況だというのに、すぐに退却命令を出さないとは。指揮官は何を考えているのやら。……私にとっては助かるが)


水煙で視界が悪い。横殴りの雨で服が濡れて、体温が奪われていく。雨脚は更に強くなって、とても戦えるような状況ではない。にも関わらず、皇国の将軍は退却を命じなかった。皇国の兵たちが、戸惑いながら前進する。その中に見知った顔を見かけて、マリオンは小さな声で話しかけた。


「……バーニー。無事だったのだな」


「その声は……。コートネイ将軍? どうしてここに……」


「話せば長くなる。今は事情は聞かず、私についてきてくれないか?」


「それは構いませんが、俺だけですか? 他にも将軍の旗下(きか)にいた者はいますが……」


バーニーと呼ばれた男は、戸惑ったような様子を見せた。周囲がよく見えない状況で無理に進軍したことで、隊列はバラバラになっている。どこに誰がいるのか、彼には分からないのだろう。マリオンは方位磁石を渡して告げた。


「その者たちは私が見つける。可能な限り、全員に声をかけるつもりだ。お前はとにかく、北東を目指して進め」


バーニーは何が何だか分かっていないようだったが、それでも方位磁石を受け取って頷いた。そして彼は、北東に向かって歩を進めた。

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