作戦会議2(後編)
「ネズミの道はどこにでも繋げられるから、顔さえ分かればネズミたちが迎えに行けるんだけどな」
鳥の世話をしながら、アラベラが呟く。マリオンが前に出て、口を開いた。
「私が王都に向かって、直接確認するというのはどうだろうか」
「うーん、アタシはあんまり良くないと思うな〜。マリオンさんが危険な目に遭うだけじゃない? あの王が、自分に逆らう人間を都に残すとは思えないし。絶対前線に送り込まれてるでしょ」
セラフィーナが冷ややかな声を出す。ロドニーが地図を取り出して、地面に置いた。
「ネズミさん。今の戦況はどうなっているか、分かりますか? 帝国がどこまで侵攻していて、どこで皇国と戦っているのか。それを把握しておきたいのですが」
「どこだっけ」
「エルドレッドがいた所って、どの辺り?」
しゃがんだ彼の周囲に、ネズミたちが集まってくる。彼らは地図の上に乗って、ロドニーを見上げた。ロドニーはクセルの町がある場所を指差して、話を続けた。
「エルドレッドがいたのはここです」
「ここからだったら、ちょっとこっちに寄ってるかな?」
「そうそう、隣の町かその隣の町くらい」
ネズミたちがクセルの町の東に移動する。ロドニーはそれを見て、目を細めた。
「皇国の方が優勢なのですね。分かっていたことではありますが」
「クセルの町の北東に、旧時代に使われてた砦があったよな。そこに道を繋げられるか?」
エルドレッドがロドニーの側に腰を下ろして、地図の上で指を動かした。ネズミたちはその言葉に頷いて、揃って地下に潜っていった。そんな彼らを見送って、ルーシャがエルドレッドの横に来る。
「古い砦を拠点にするの? 塀も崩れてるし、直さないと使えないわよ。そんな時間は無いんじゃないの」
「今回は、長く戦うわけじゃねえ。少し顔を見せて、ついでにマリオンさんの部下を見つけてくるだけだ。ルーシャたちはここで待っていてくれ。すぐに戻ってくるからさ」
「は? あんたは何を言ってんの? 戦場には出ないとしても、砦までは付いていくわよ。神聖国で何もなかったからって、気を抜かないで。……私たちは今度こそ、あんたと最期まで一緒にいるんだから」
ルーシャがエルドレッドに鋭い視線を向ける。エルドレッドは言葉に詰まって、目をそらした。そのやり取りを見て、アラベラが笑う。
「心配するな。聖都の時と同じだ。行き先が分かっているのなら、ネズミの道を通すだけ。どうせ人間たちは、オレたちのことなど気にもしない。人目につかない小さな道は、誰にも見つからないだろう」




