表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パーティを追放されたので魔王になって復讐します  作者: 文字書きA


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/86

奇跡(前編)

エルドレッドが姿を消した。その報告を受けた司教は、すぐさま軍を退却させた。それまで押されていた帝国が、それをきっかけにして少しずつ盛り返していく。押し返された皇国は、部隊を編成し直した。大陸の中央を挟んで、東西の国が争い合う。その光景は、見るに堪えないものだった。神聖国に生きる、心ある人々にとっては特に。彼らは日々、神に祈りを捧げていた。そんな彼らの目の前に、白い鳥に乗った人間が現れる。太陽を背負った彼は、大神殿の前に降り立った。それを見た人々が騒ぎだす。


「……エルドレッド?」


「彼は死んで、悪魔に体を奪われたと聞きましたが」


「見た目は変わっていませんね。以前のままです」


「おや、そうなのですか? 彼は悪魔の力に(おか)されて、別人になったと聞きましたが」


街の片隅。ネズミの道に身を隠したルーシャたちが、彼らの会話を聞いている。セラフィーナが声をひそめて、ルーシャに話しかけた。


「うまくいってるみたいだね」


「今の所はね。場所が場所だから、司教はすぐに気づくでしょ。問題は、彼が大神殿から出てきた後よ」


ルーシャは真剣な顔をして言った。エルドレッドは白い鳥を連れた状態で、神殿を見つめて立ち尽くしている。


「エルドレッド様?! どうしてここに……いえ、それよりもそのお姿は……?」


神殿の中から、ラディが飛び出してくる。彼女はエルドレッドに駆け寄って、その体に触れた。


「元に戻られたのですか? どうやって?」


「……仲間の力を借りて、霊山に戻ってな。神の泉で水を浴びて、悪魔の力を抜いたんだ」


エルドレッドは事前に用意していた言い訳を喋った。その様子を隠れて見ていたルーシャが、少し不機嫌そうにする。


「なによあの子。ベタベタしちゃって。エルもエルよ。もっとしっかり拒絶してよね」


「まあまあ。今のエルには、ああいう子がいてくれる方がいいじゃない。今もエルの話、全部信じてくれてるし」


セラフィーナは、苦笑を浮かべて彼女を(なだ)めた。そんな彼らには気づかないまま、ラディはエルドレッドとの話を続けている。


「でも、エルドレッド様はお亡くなりになったはずですわ。それがどうして……」


「ユラ様が、オレの魂を(すく)い上げてくださったんだ。人が争い合うような世界を(うれ)いて、あの方はオレに争いを止めるように仰られた。オレはそのことを伝えに来たんだ」


「そうだったのですね。……ええ、そうでしょうとも。ユラ様は、このような世界を望まない。そんなことは分かっていました」


ラディが心底から納得したような様子を見せる。周囲に集まった人々が、戸惑いの表情を浮かべていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ