作戦会議(前編)
霊山に戻った5人は、そこで待っていたアラベラと合流した。アラベラはエルドレッドの様子を見て、張っていた気を緩めた。
「……エル。帰ってきたんだな」
「ルーシャたちに説得されてな。……アラベラもオレのこと、心配してくれてたんだろ? ごめん、オレ全然分かってなくて」
「知ってるよ。お前はそういう奴だ。ルーシャに指摘されるまで、気づかなかったオレが悪い。最初から、全力で引き止めておけば良かったんだ」
アラベラは真顔で告げた。エルドレッドが苦笑を浮かべる。セラフィーナが彼の後ろから顔を出して、アラベラに声をかけた。
「あのさあ、アラベラ。どこか落ち着ける場所ってないかな? 作戦会議がしたいんだけど」
「ああ、そういうことなら小屋がある。お前たちがエルを迎えにいっている間に、力自慢の奴らが建ててくれたんだ。急いで建てたから、多少作りは荒いだろうが……。倒壊するようなことは無いから、その心配はしなくていい」
アラベラはそう言って背後を見た。生い茂る草木が折れ曲がって、獣の道が作られている。その道の先に、彼女が話に出した小屋があるのだろうと。そう察して、セラフィーナは手を叩いて喜んだ。
「やったぁ! じゃあ、そこで作戦を立てよう。アラベラも一緒に来て。そっち側の意見も聞きたいからさ」
アラベラが笑顔で頷く。5人は彼女に連れられて、獣道を進んでいった。しばらくして、土と木の枝で作られた小屋が見えてくる。自然にある物だけで作られた建物は、とても人が住めるとは思えない見た目だ。けれどそれに文句を言うような人間は、ここには1人もいなかった。垂れ下がった蔓草をかき分けて、彼らは建物の中に入る。床には藁が敷かれていて、座りやすくなっていた。エルドレッドたちがその藁の上に、輪になって座る。アラベラはその輪の中心に入って、エルドレッドの方を見た。
「作戦を立てるという話だったな。戦う相手は?」
「司教と神聖国だ。まずはあの国の戦力を削ぎたい」
エルドレッドはアラベラの目を見返して断言した。アラベラが目を細める。
「確かに僧侶は戦いに向かない職業だが、神殿兵はそうではない。戦士や騎士で構成された、神の庭を守る兵士たちだ。獣たちの力添えがあっても、彼らと戦うのは厳しいだろう」
「……そうでしょうね。僧侶も神殿兵の方々も、信仰を守るために迷いなく命を懸けられる方々ですから」
ロドニーが目を伏せる。セラフィーナは困ったような顔をして、彼を見つめた。




