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パーティを追放されたので魔王になって復讐します  作者: 文字書きA


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33/86

皇帝

宿に戻ったエルドレッドは、宿の1階で朝食を食べている勇者たちを見つけた。彼らは、金色の鎧を着た男と同席している。


「おはようございます。何をやっているんですか、こんな所で」


「貴様が来ていると聞いて、会いに来てやったんだ。少しは嬉しそうな顔をしろ、エルドレッド」


鎧姿の男……この国を統治している皇帝は、不敵な笑みを浮かべて告げた。勇者が笑う。


「エルドレッドは、皇帝陛下とも仲が良いんだね。流石は英雄だ」


「そんなんじゃねえよ。皇帝陛下は単に、強い人間が好きなだけだ。ですよね?」


「ああ。俺と真正面から戦って、俺を打ち負かす人間。そういうヤツがいるのなら、気を配ってやってもいい。最も……そんな人間は、お前以外に居ないだろうが」


僧侶が顔をしかめる。


「力で人を判断するなんて。やはり皇帝は、野蛮な東の民ですね」


「出身地で人を差別するのは良くないぞ。ユラ様の教えでは、人はみな平等なんだろ?」


エルドレッドはそんな言葉をかけながら、僧侶の隣に座った。僧侶は不満そうにしている。


「ですが……帝国は力のない者が生きていくことの出来ない国です。そんな国に世界を任せてしまえば、旧時代より恐ろしい混沌の世が訪れてしまいますわ」


皇帝が僧侶の言葉を鼻で笑う。


「くだらん。旧時代の混沌と、この国の活気は違う。貴様らが追い出した者たち。どこにも行けなくなった民。この国は、彼らにとって最後の希望。神殿の奥で何不自由なく育った小娘に、どうこう言われる筋合いはない」


エルドレッドはため息をついた。皇帝の言葉は正しい。だが。


「弱者は帝国に住めない。それも事実だ。……どこまで行っても同じだろ。神聖国と帝国は、まるきり主張が違う。どちらかが勝つということは、負けた方が滅ぼされるということだ」


「それなら尚更、皇国に任せるべきだとは思わないかい?」


勇者が話に割り込んでくる。エルドレッドは目を細めた。


「こんな事になる前は、皇国のことを信じていたけどな。今はもう信じられない。先に裏切ったのは、お前たちだ」


「……エルドレッド様は、自分から望まれてここにいらっしゃるのでは? 私、そうお聞きしましたわ」


僧侶が困惑した様子で、口を開く。エルドレッドは低い声で告げた。


「違う。……司教様から何と聞かされたかは知らないが、俺は……好きでこんな所にいるわけじゃない」


僧侶が絶句した。勇者と盗賊が、笑いながらそれを見ている。皇帝が口角を吊り上げた。


「エルドレッド。俺を頼りたくなったら、城に来い。歓迎する」


エルドレッドはその言葉には答えず、朝食を食べることにして店員を呼んだ。

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