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パーティを追放されたので魔王になって復讐します  作者: 文字書きA


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32/86

味方

荷物の位置が変わっている。その事に気づいて、エルドレッドは目を細めた。


(盗賊の仕業だろうな。……そういう性格だってことは知ってたが、それにしても早すぎる)


周囲を見る。他の3人は、まだ起きていない。


(……少し、外に出てくるか。これからどうするか、考えねえと)


宿を抜け出して、人が行き交う大通りを歩く。目的のない散策の途中で。


「よおエル! 久しぶりだな!」


エルドレッドは突然、頭上から声をかけられた。驚きと困惑で、一瞬だけ固まる。その声を、彼はよく知っていた。


「……アラベラ。お前、こんな所で何してるんだ」


上を見上げる。塀の上。そこに居たのは、人の言葉を話す1匹のリス。獣の姿を取っている、獣人だった。


「別に何もしてないよ。オレに命令出来るやつはオレだけ。お前も知ってるだろ?」


「……ああ、そうだったな」


エルドレッドは遠い目をした。アラベラがそれを見て、首を傾げる。


「おいおい、どうしたんだ。……そういえば、ルーシャたちがいないな?」


「…………なあアラベラ。協力してくれないか。理由は聞かなくていい。断ってくれてもいい。……悪魔を1匹、預かっておいてほしい」


エルドレッドは彼女の目を見て、真顔で言った。彼女が目を丸くして、次いで真剣な顔になる。


「どうしたどうした。オレたちのエルが珍しく、本気になって言うなんて。オレのことを知っているのに、そんな頼みをするほどに……お前は、追い詰められているのか?」


彼が無言で頷く。彼女はそれを見て、低い声で告げた。


「――いいよ。お前はオレの友達だ。それに……ルーシャたちに頼まないってことは、頼めない理由があるってことだろ。お前の宝を預かって、守ってやる」


「……すまない。この恩は、いつか必ず返す。待っていてくれ」


エルドレッドは懐から魔石を取り出した。アラベラが塀の上から下りてきて、その石を頬袋に入れる。


「恩なんて感じなくて良いって。……けど、理由は知りたいな。ルーシャに頼めなかった理由」


「……今、ここには居ないんだ。あいつらは」


獣と目が合う。彼女はじっと、エルドレッドを見つめていた。


「それで。お前、それだけでいいのか? 本当に?」


「これ以上のことを頼むわけにはいかないだろ。ただでさえ、アラベラたちは……人間から、迫害されているんだから」


「うんうん、そうだな。オレたちは人間が嫌いだよ。……でも、エルは好きだ。ルーシャたちも。だから言っているんだよ。エル。エルドレッド。……人間を頼れないんなら、オレたちを頼ってくれ」


彼女は本気だ。そして。その言葉は今のエルドレッドにとって、1番欲しかったものだった。


「……そうか。本当に、ありがとう。ここでアラベラに会えて良かった。…………ルーシャたちを、探してほしい。多分、どこかに捕らえられていると思う。それも、1人ずつ。別々の場所に」


「分かった。オレたちに任せろ。必ず見つけてきてやる。だから諦めるなよ、エル」


リスはそう言って、素早く街中を駆けていく。その姿はすぐに見えなくなった。エルドレッドはそんな彼女を見送って、心の底から安堵した。

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