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パーティを追放されたので魔王になって復讐します  作者: 文字書きA


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船旅(前編)

ネージュの街から馬車で半日かけて、4人はユミスの港に移動した。潮の匂い。波の音。船の汽笛が聞こえてくる。


「出港はもう少し先ですよね。エルドレッド様はそれまで、どうなさいます?」


「市を見てくるよ」


「でしたら私もお供させて頂きたいのですが……よろしいですか?」


僧侶が杖を抱えて微笑む。エルドレッドは目を細めた。


「好きにすればいいだろ。わざわざ俺に断る必要はない」


僧侶が花のような笑みを浮かべて頷く。エルドレッドは彼女を無視して先に行った。露店が並ぶ市を、2人で歩く。


(ルーシャとも、よくこうして歩いたな。セラフィーナとロドニーが気を利かせて、2人きりにしてくれていた。……あいつらは、俺のせいで巻き込まれて人質になった。何としてでも助け出す。それが俺のすべき事だ)


エルドレッドは露店の品物を見ながら、そんなことを考えていた。僧侶が彼に声をかける。


「そろそろ戻りませんと、船が出てしまいますよ」


「……ああ、そうだな」


エルドレッドは思考を中断して、僧侶と共に船に戻った。勇者と盗賊は、先に船に乗っている。勇者がエルドレッドの姿を見て笑った。


「遅かったね。何をしてたの?」


「何もしてねえよ。露店を冷やかしてただけだ」


「そうですよ、グリズス様。(わたくし)は僧侶ですし、エルドレッド様は私を置いて足早に進んでいってしまいましたから……私達は、手を繋ぐこともありませんでした」


「そう。……エルドレッド。女の子を放って、先に行くのは良くないよ」


「余計なお世話だ。俺にはルーシャがいる。他の女に興味はない」


エルドレッドは真顔で言った。勇者が肩をすくめる。


「まったく……仕方ないな。手を繋げとは言わないから、少しくらいは気を使ってあげてくれ。彼女は僕たちの、大切な仲間なんだから」


「……分かったよ」


エルドレッドはため息をついた。盗賊が彼の腕を引く。


「なあ、そんなことより一緒に甲板(かんぱん)に出ようぜ。船旅の醍醐味(だいごみ)は、広い海を見渡すことだ!」


エルドレッドは抵抗しなかった。盗賊と共に、船の舳先(へさき)に立つ。汽笛がなって、船はゆっくりと進み始めた。青い波をかき分けて、大海原に出る。


「本当は大陸の向こう側に渡る船のがいいんだけどな。四方を海に囲まれた感じで。この船は北の街に向かうから、陸からそんなに離れねえんだ」


「海が好きなのか」


「海賊の仲間だったこともあるからな! 何なら泳ぎも教えてやれるぜ」


「俺も泳げるから、教わる必要はない」


「そうかよ。つまんねえの」


落ちないように気をつけながら、エルドレッドは盗賊と並んで話をしていた。船はトルペの港を目指して、海の上を進んでいった。

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