↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
EDGE LIFE  作者: 如月 巽
Case.02 雨
26/98

【Unknown】

息子が三歳になるまでは、二人目は作らないようにしようと約束していた。

「あなた、あの...私......」

千尋が一歳を迎えた年、青褪めた顔をしたアイツは、俺に二人目が出来たことを告げた。


何があったのかを話したアイツは、泣きながら俺に謝った。

宿った命に罪はない、妻を責めるのは筋違いだ。

俺は二人目も【自分の子】として、家族を養っていくことを決めた。

いけない事だと知りながら、主治医のDNA検査の結果を書き換えさせて、【父親】の痕跡を消した。

アイツや子どもたちと暮らせるならそれで良いと思った。


だが、俺たちのささやかな幸せは、崩された。


俺を苦しめた、身内を苦しめた、アイツを苦しめた、あの野郎が壊した。

泣いて縋る子ども達を引き剥がし、泣いて嫌がるアイツを無理矢理連れて行った。

野郎は、アイツに書かせた離別承諾票を送りつけてきた。


乗り込みたい気持ちはあった。

それをやれば危害を加えられる事は見えていた。


突きつけられた選択を抗うことを選べず、書面へ記名して国役所に出した。

帰り道、俺のグチャグチャな感情を表すかのように、空から滝のように水が降り注いだ。


ふつふつと煮えたぎる怒り。

胸を握り潰してゆく悲しみ。

不甲斐ない自分への悔しさ。


俺の中の黒いモノは、全身を打つ水へと溶け出したのだろう。

纏わりついていたそれは、俺の思いに反応するように、雫からナイフへと形を変えた。


歪み捻れきった思いから手にした力。

俺はそれに過信した。溺れた。縋った。

止める声を振り払い、請負人の真似事に興じた。


この体が壊れても構わない。

アイツを取り戻して、また、四人で居られるなら。




── コノ怨ミ 晴ラサデ オクベキカ




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。