本を並べる(料理編)
料理の本を集めていたら、塔ができました。おいしい塔ですが、難攻不落です。本のサイズがいろいろありすぎる。
「コロッケ、コロッケはいらんか」
「え?」
「うまいコロッケのレシピが載ってる本があるのだ」
「現物じゃなかった!?」
「コロッケをお探しのあなたに。
LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん。シリーズです。
以下引用
「かもめ食堂」のフードスタイリスト飯島奈美がおくる、ほんとうにおいしい22のレシピ。
コロッケはLIFE2のほうだけど、どれもまじでおいしい。ただし、ちゃんと手順抜かさないで書いてある通りにやるなら、である」
「どのレシピでもそうなのでは?」
「そうなんだけどさ、集めるのめんどくさい食材とか調味料とかあるでしょ。そういうの省きがち」
「まあ、わからんでもないけど。
で、なんでコロッケを押し売りされた?」
「世の中のコロッケがじゃがいものペーストでもう仕方ないから自作するしないじゃないと泣く人向けに(とても早口)」
「いるの?」
「私がそうだっ!」
「……そー」
「ごろっとした部分と粉々のところがいいんだっ!」
「世の中の大半の人は自分で作らないと思うよ。レシピも本じゃなくて検索で済ますと思うよ」
「しってる。検索とかだけじゃなくてもYouTube便利すぎる。お料理チャンネルぼんやり流してるときある」
「しかし、作らない」
「なんかもうレシピとか見るのが趣味みたいなやつなので」
「そんな奴が進めるのって上級者向け?」
「このlifeは初心者向けというともうちょっと上かなと思うけど、いつものご飯をおいしくという意味ではとてもおすすめ。3冊+副菜本2冊出てる。新生活のお供にもどうぞ」
「初心者向けってないの?」
「ないなぁ。私が料理に求めてるのって非日常だから、日常使いとかじゃないんだよね」
「日常じゃない料理とは」
「ローストチキン一匹とか」
「は?」
「毎年クリスマスには丸鳥を焼きます。
参考としているのは、アメリカ南部の家庭料理。ほかにもケンタッキー的フライドチキンがうまいっす。あー、食べたいから誰か作って」
「非日常なら自分で作れ」
「揚げたそばから食べたい」
「揚げてる人は?」
「えへへへ」
「……ケンタッキー買って食え」
「うっ。
ま、まあ、それはさておき、こちらの本、現地の素材紹介や調味料の紹介もあって興味深いです。
コーンミール、グリッツ、フラワーの違いとかも書いてあるんですよ」
「そもそもこーんぐりっつって?」
「乾燥トウモロコシを粉砕したやつ。イングリッシュマフィンの上についてるなんか黄色いもののほうがピンと来るかも」
「おお、あれか」
「そうあれ。ほかにもいろいろ載ってまして、結構面白い」
「意外とレシピ以外の情報載ってる?」
「コラムみたいなのはよくついてる。最近の本だと最初に使う道具紹介あるし、巻末に食材の紹介が多い、気がする」
「じゃあ、そのコラムが面白いやつは?」
「シネマ厨房の鍵貸します。なんだけど、絶版本っぽい。私が買ったときもすでに中古だったし」
「そんな古いわけ?」
「1996年出版。30年近く前になると寿命が長い料理本にしてもさすがに絶版している……。
私はこれで、そば粉のブリニスとキーライムパイとフライド・グリーン・トマトを覚えました」
「トマトをなんだって?」
「フライというけど、輪切りにしてタネの部分を抜いて、そこにパン粉を詰めて焼くんですって」
「なぜ伝聞調」
「現物見たこともなければ、出てくる映画も見たことがないからです……。アマゾンプライムでやらないかなぁ……」
「ブリニスは?」
「そっちはバベッドの晩餐会という映画に出てくる。こちらは最近リマスターされて各地を上映している模様。なんとウミガメスープ(本物)が出てくる」
「偽物があるのか」
「あるの。偽ウミガメスープ。こっちは子牛で作るんだって。ほら、ウミガメ貴重だし」
「ん? ということはアリスの偽ウミガメとは牛か? あれは牛なのか?」
「言葉遊びから生まれた合成物らしい。甲羅背負ってるし」
「なんか豚っぽいと思ってたんだが……」
「個性的な見た目なんだけど、偽ウミガメ、アニメでも映画でも見た記憶がないんだよな。モブ過ぎて記憶から消えてる?」
「食べられちゃうカキの赤ちゃんは覚えていなくもない」
「あったっけ? 読み直そうかな……」
「最近ガチャでよく見かけて、微妙な気持ちになる」
「たべられちゃう」
「そう。たべられちゃう」
「……さて、ほかの本ないかなぁ。
色々な国の料理紹介なら、地球の歩き方 世界のグルメ図鑑がおもしれー」
「なにその、おもしれ―女みたいな言い方」
「ガイドブックの会社が本気で出した料理図鑑だよ。きっとそうだよ。知らない料理が山ほど載ってる。異世界のお食事のご参考にどうぞ!」
「珍料理ってとこ、芋虫の丸焼きが普通に見えてくる不思議……」
「アリの卵とかすごい。モルモットの丸焼きとかあるんだ」
「あと、ハギス。イギリスの本を読んでいたりするとたまに遭遇するあいつ。こんな見た目だったんだという衝撃よ」
「羊の胃に羊の内臓を詰めるのになにかサイコ的なものを感じる……」
「日本にもきっとあるよ。他国から見たら狂気の食べ物」
「むしろ日本人の食欲が狂気と見えてるんじゃないかと……」
「魔改造上等の精神がさ。冷静に考えると他国の家庭料理をおうちで作っちゃおという発想がやばい気がする」
「一から作らなくても○○の素とか普通に売ってるし……」
「中華系の充実っぷりはすごいと思うのよ。
というわけで、北京の小麦粉料理: 餃子・焼麦・ワン飩・麺・餅・饅頭・包子をどーんと」
「料理名しか並んでないが本のタイトル?」
「そう。
昔、肉まんをすごく作った。嫌なことがあると肉まんを夜に……」
「……普通、夜中に肉まんつくらんだろ。ほかのかわいいもの作れよ」
「パンを作る技量があれば、パンを焼いたかもしれません。
でも、この本も調べたらかなり古い本で今売ってないかも。
ウー・ウェンの100gで作る北京小麦粉料理
こちらもよい本です」
「世の中のどのくらいの人が皮から肉まんとか餃子を作りたいと思うんだろ」
「私も作ったことあるけど皮は面倒だから買う。でも、餃子の皮や肉まんなどの作り方とかは意外とオレンジページ発行の本にも載ってたりする。あれは簡単そうな顔をして、特殊技術の本も出してるから侮れない」
「簡単とか○○料理の本、みたいなのばかりではない?」
「そうそう。ESSEの本とかもすごい。
子供のころの買ったお菓子本で、ウェルシュケーキの作り方のってたの」
「なにそれ」
「ここ数年、名前を聞くようになってきたイギリスのローカルなお菓子です。なにこれーと思って作った。フライパンで焼くから作りやすかったのもあるけど、思い立って作れちゃうレシピがすごい」
「それはどのレシピもおなじでは?」
「あー。それはー、同じじゃないかなー」
「なぜ?」
「あらかじめ○○しておいたものを入れますとか、時々書かれる」
「うん?」
「レシピの1が始まる前に、事前準備という項目があったりするんだ。それ見逃したりする。よく。ちょっちゅう。うおぉおとか思いながら、慌てて準備したり手遅れだったりする」
「なぜ手順1とかにいれないんだ?」
「わからぬ。大体、材料リストの下とかに書かれたりする(偏見)」
「見逃す、かも?」
「できれば、あらかじめ何とかするという本はやめたほうがいいかなぁ。バターを室温とかならいいけど、乾燥したなにかを戻しておくとかさ……ほんとやめて。
さて、今日は、やっぱりコロッケを」
「あらゆるフライとかじゃダメ?」
「それもいいけど、揚げるの私」
「おいしいところ食べて食レポするよ」
「くっ、揚げてるそばから一人で食べてやる」
「キッチンで立ち食いも悪くない」
「お前は座ってろ。邪魔だ」
「はぁい」
本日の本棚
LIFE なんでもない日、おめでとう!のごはん
アメリカ南部の家庭料理
シネマ厨房の鍵貸します
地球の歩き方 世界のグルメ図鑑
北京の小麦粉料理: 餃子・焼麦・ワン飩・麺・餅・饅頭・包子
ウー・ウェンの100gで作る北京小麦粉料理
片付けをしていたはずなんですよ。ほんとですよ。