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Notice-code:Ω -scientist-  作者: 霧島宇宙
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DOGFIGHT

 今回もよろしくお願いします。

 皆がそれぞれシートに座りベルトを着けたのを確認し、全力で加速する。コックピット内部はアルクビエレ・ドライブの応用で重力負荷を打ち消しているが、それでも多少のGには耐えてもらわないといけない。

「マズい、追いつかれるぞサイエンティスト!」

 コックピット内部の全天周モニターを見ていたアズラエルが叫ぶ。

「分かっている!」

 僕はさらに加速して高度5000フィートまで上昇し、人間が呼吸できない領域まで突入する。しかし、よく見るとドラゴンの肩甲骨のあたりにまたがっているヴィーヴルは透明な殻に覆われている。昔本で読んだきりの話だが、ドラゴンは心を通わせた人間に合わせて肉体の構造を変えることができるらしい。

「衝撃が来る!舌をかまないように!」

 コックピット全体にアナウンスをかけ、その直後に後部スラスターにさらに推進剤を送り込んで一気に音速の壁を破る。機体温度に気を付けながら進路を定めアスターテを目指すが、なおもしぶとく翼が発光したドラゴンが追ってくる。どうやら翼から魔力を放出し、それを翼膜で整流して後方に流すことで莫大な推進力を得ているらしい。おそらく最高速度でもこれは振り切れないだろう。ならばアル=イスカンダリーヤにこんな怪物を引き連れて乗り込むわけにはいかない。ここで墜とす。

「今から敵と戦闘状態に入る!シートから離れないで!」

 僕はそう言って翼を機首を上げ、急減速してドラゴンの後ろに回り込んで機体左右のミサイルハッチを開き、誘導魔力弾(ミサイルブリッツ)を十数発一気にばらまく。

 ドラゴンは突然の攻撃に面食らったようだが、すぐに翼を閉じローリングしてミサイルをすべて叩き落した。おそらく翼表面の魔力でミサイルを弾いたのだ。ならば魔力で守られていない、なおかつ鱗の薄い関節を狙うしかない。

 ドラゴンはポップアップして上昇し、僕が通り抜けたのを見るとすぐにトリムを水平以下に戻して下降する勢いに乗って僕の背後にピタリと追従する。その時突然、ホログラム表示の計器類が異常を示した。

”Notice: MAGNETIC ANOMALY”

「磁気異常だと…?」

 周囲に強烈な磁場が展開された。それと同時に、ドラゴンの口腔がピンク色に光りだす。

「まさか…!」

 急いで翼をクロースカップルドデルタ翼から前進翼に変形させ、全力でドラゴンの射線上と思われる領域から逃げ出す。その直後に先程まで僕らが飛んでいた空間をピンク色の光線が切り裂いた。

 光線が通った部分の大気がプラズマ化している。間違いない、磁気で超高温のプラズマを収束させて光線として放射しているのだ。基礎理論としては小さな太陽をそのままぶつけに来ているのと変わらない。あんなのを食らったらこの機体は跡形もなく蒸発してしまう。

 前進翼はデルタ翼よりも安定性に欠け、機動性に優れる。なんとか追撃のプラズマを躱し、すぐにデルタ翼に戻して弧を描くように左に旋回する。予想通り、敵も真後ろを同じような軌道で追尾してきた。

 機体上部のハッチを開いて、ミサイルをばらまいた。超至近距離の発射だ、確実に何発かは翼で防ぎきれずに被弾するだろう。

 爆発に巻き込まれてドラゴンが姿勢を崩し敵から目を逸らしたのを、僕は見逃さなかった。


 今だ。

 

 計器上の”FIGHTER”の表示が”HUMANOID”に変わり、各部ユニットが音を立てて形を変える。左右の兵装ベイとエンジンのユニットが伸縮して2本の足のような形状になり、メインスラスターが単発エンジンからかかとの位置に来た補助スラスターに変わる。機体内部に収納されていた腕が展開し、胴体が機首とエンジンと垂直に起き上がる。最後に機首が折りたたまれ、コアユニットが露出して頭部に変形する。アンテナが変形してあらわになった目のような頭部センサーが眩しい光を放ち、眼前の敵を見据える。0.5秒あまりで変形を終えた”それ”は尾翼が合体して変形した両手剣を掴み、ドラゴンとのすれ違いざまに大きく斬りつける。

 これがブライトバード・モードのもう一つの力、超音速近接格闘形態”ブライトホーク”だ。

 そう、本当にロボに変形する戦闘機が作りたくて描いていただけの設計図なのだ。武装類は全部ダゴンに来てから描き込んだ後付けのものだし、新理論をもとにした新型魔導モーターを使った設計だからまともに動くかわからなかった。一応今の変形を見た感じ設計通りの性能は発揮できそうで安心した。

 僕はそれまでの戦闘機形態と比べ物にならないほどの機動力でドラゴンの間合いに入り、その爪を躱してもう一度背中の傷を切りつけた。二度に及ぶ大質量の強烈な斬撃を受けてアダマンタイトの鱗も流石に限界が訪れ、傷口から出血するのが見えた。戦闘機で言う外装に傷をつけたのだ。もう長時間の音速飛行はできないだろう。

 カウンターを狙って打ち込まれてきた尻尾をよけ、一度後退して牽制でミサイルを撃ちながらもう一度切り込む隙を狙う。プラズマが発射される前兆があれば戦闘機に変形し、回避する。

 次第に向こうも適応してきたのか、かなり近接戦を仕掛けてくるようになった。鉤爪は大きな脅威だし、太いムチのような尻尾で打ち付けられれば大きく跳ね飛ばされてしまう。どうにか…思いついた。

「ベレーヌ!シートを通して結界を張れるか?!」

「できると思います!」

「それじゃあ、僕が指示したら頼む!」

 ローズの結界ならばいけるはずだ。

 次にドラゴンがプラズマのチャージを初めたとき、僕は一気にドラゴンに距離を詰め始めた。それと同時に胸部を展開して魔力を集中させた。

「今だ!」

 左前腕部に盾のように結界が展開され、それでプラズマを防いで接近して翼を掴む。

「もう逃さない…!」

胸部の中央から青い光が迸る。

獄炎魔力砲インフェルノ・ブリッツ

 かつてオウル要塞を吹き飛ばした凶光がドラゴンに直撃し、そのまま地面に叩きつけた。ドラゴンは動いていないが、どうやら息はあるようだ。

「君の親友を傷つけてしまったことは謝罪する。だが、我々にも大義があるのだ」

 低空でホバリングし、ヴィーヴルに外部スピーカーで呼びかける。

「いや、戦いに身を投じる以上覚悟はできているしこの程度の傷なら1ヶ月もあれば回復する。お主も凄まじい戦いっぷりだった。もう引き止めはしない。名を聞いてもいいか?今度あったときは旨い酒を奢ろう」

「サイエンティストだ。再開を楽しみにしている」

 潔くて気持ちがいい。僕は機体を高速飛行形態に戻し、アル=イスカンダリーヤにむかって飛び立った。

 読んでくださり、ありがとうございました。


 マクロス、好きですねえ。本編に関係があるとは限りませんが。好きですねえ。推しはVF-0Sフェニックス(ロイ・フォッカー機)、YF-29デュランダル(早乙女アルト機)、Sv-262HsドラケンⅢ(キース・エアロ・ウィンダミア機)です。でも、ブライトバードのモデルはVFじゃなくてデルタプラスなんです。


 アダマント・ドラゴンが吐いた熱線には一応「プラズマトルネードブラスト」って名前があるんですけど結局使いませんでしたね。

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