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Notice-code:Ω -scientist-  作者: 霧島宇宙
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BRIGHT BIRD

 今週もよろしくお願いします

 数日後、状況が動いた。念の為トレースしていた憲兵たちの動きが急に変わったのだ。突然大量の憲兵が東の市場に集結し始めたのだ。何か重要な情報を掴んだに違いない。そしてこのアケメネスで今最も注目される情報は間違いなく王女クリスタの居場所だ。

[憲兵が動いた。東の市場に向かってる。そちらに急行してくれ]

[[了解]]

 すぐに無線で指示を送り、僕自身もすぐに隠れ家を飛び出す。こんな町中で大規模なソニックブームを起こすわけには行かない。速度を搾らないといけないから、僕がどれだけ速くてもアズラエルが先につくだろう。ならば、まずは彼らに任せてこちらはこちらの準備をしたほうがいい。

 するとセンサーからアラートが入った。規定の波長の魔力が検出されたのだ。間違いない、クリスタは市場にいる。

[おそらく現着はアズラエルが先だ。現場の判断に任せるからクリスタ殿下の安全を確保してくれ。私は少しやることがある]

 そう指示を出して急いで地下室に駆け込み、完成した新装備に最後のシステムチェックをかける。万が一の場合は、一か八か掛けるしかない


 * * *


「殿下、奴らに見つかりました!ここを脱出しましょう!」

 まさに青天の霹靂だった。市場の隅の薄暗い部屋で本を読んでいたクリスタは、ダゴン王国弓術将軍アレウロ・フォン・ナッジスパロウのその言葉ですぐに椅子から立ち上がった。

「数と配置は?!」

「正確には分かりかねますが、300以上かと。すでにここは包囲されつつあります!」

 本気でクリスタを殺しに来ている。すぐに2人は裏口から外に飛び出たが、時既に遅し。アーディル派の兵士数十人が待ち構えていた。

「弓の一本さえあれば…!」

 アレウロが愚痴をこぼしながら剣を抜く。ダゴン最強の弓使いたる彼ならばこの程度の敵は弓さえあれば瞬殺であるが、今は剣しか持っていない。もちろん非凡な剣才の持ち主ではあるのだが、さすがに敵がこの数では無理がある。

 雄叫びを上げて切りかかってきた兵士の鎧の隙間に剣を突き立てて薙ぎ払い、その後ろから姿を現した第二の兵を剣でいなして前腕の腱を切り無力化する。その後もまたたく間に数人を制圧するが、もう限界が近づいていた。

 クリスタから離れた場所に誘い出され、彼がそのことに気づいた時には既に敵兵がクリスタに向けて刃を振りかざしていた。

「アズラエル…!」

 クリスタはとっさに目を瞑りながら想い人の名を呟く。

雷帝の槍(グングニル)

 その瞬間光り輝く稲妻が空を裂き、兵士の心臓を正確に貫いた。続いて飛び出した仮面をつけた人影が死体を蹴り飛ばし、両手に構えた剣を構えて次の呪文を唱える。

雷帝の鉄槌(ミョルニル)

 巨大な落雷が周りの敵兵を吹き飛ばし、人影はクリスタを抱えてその場から離脱する。それを見たアレウロもなんとか敵を振り切り、わけも分からぬままついてきた。

「協力に感謝する。だが、貴方は一体誰で何のために殿下を救出した?」

「自己紹介は後でする!今は敵を撒くのが先だ」

 2人は民家の屋根を走り抜け、細い裏路地で足を止めた。

「突然の介入すまない、私は…」

「会いたかったわ!」

 仮面を外そうとクリスタを下ろそうとしたアズラエルにクリスタが熱いキスを交わす。

「!!」

 とっさにアレウロは手で顔を覆った。弓だけで生きてきたため、色事に耐性が無いチェリーボーイなのだ。

「…、アスターテ王国皇太子のアズラエルだ。よろしく。あと、コレ」

 アズラエルはなんとかクリスタを引きはがし、仮面を外して名乗った。そして背中に背負っていた弓矢を手渡した。

「無礼な口利き大変失礼いたしました、殿下!この弓は…?」

「ほんの贈り物だ。まずは仲間と合流しよう。サイエンティスト、聞こえてるか?」

 無線でサイエンティストを呼び出す。

[ああ、こちらでも君の位置を補足している。クリスタ殿下を保護したようだな。でも余り状況は芳しくないようだ]

[どういうことだ?]

[君の周りに考えたくもない量の追手が迫っているということだよ]

[!]

 クリスタとアレウロも突然彼らには認識できない誰かと会話しだしたアズラエルを怪しんでいたが、何か周りの空気が変わったのを感じたらしい。

 直後、左右の建物の屋根から大量の暗殺者たちが飛び出してきた。

「もう隠密部隊まで揃えたのか!」

 アズラエルは両手を帯電させて攻撃に備える。だが次の瞬間左右の建物を突き破って半透明の結界が伸び、暗殺者たちの体を上下真っ二つにしてしまった。

「時間がない!急いで!」

 ソフィはアズラエル達をせかして路地を走り出す。その後も彼らを追う暗殺者は結界で首をはねられ、力なく路地に倒れていった。

「えげつないな…」

 アレウロがつぶやく。ソフィが暗殺者をしていた時には戦闘スタイルから「首切りソフィ」という物騒な二つ名がつけられ、同業者ですら恐れるほどだったのだ。

 しかし、簡単に姿を見せるほどダゴンの隠密は弱くない。

「間に合わない!」

 ソフィが後ろを振り向いたとき、剣を構えた兵士が5,6人最後尾のアレウロの背後から切りかかっていた。

「大丈夫、今なら…」

 周囲の一般人はもう逃げた後だ。それを確認したアレウロは瞬時に弓を構えて振り返り、矢を同時に3本引き絞って撃ち出す。

『エアロブレス』

 風属性の魔力を鏃に込め、強烈な竜巻をまとったそれを後ろに向けて撃ち出す。渦となった矢は周りの家屋ごと敵をすべて吹き飛ばし、一行の後方に更地を作ってしまった。

「叔父上に何の断りもなく家出とは、感心しませんねクリスタ殿下!」

 上から低い女の声がした。一行が屋根の上を見ると、身長の低いショートヘアの女性が高らかに笑っていた。

「…誰だ?」

 アズラエルは弦廻眼で女性の魂をいろいろと探ってみた。確かに身体能力は驚くべきものであるようだが、これならばアレウロと同じくらいだ。

「逃げましょう、彼女はまずいですよ」

 冷や汗をかいているアレウロがアズラエルに耳打ちする。

 すると少女はその肩に留まっていたトカゲのような生物を空中に放り投げた。

[だめだアズラエル、今すぐそこから逃げろ!そいつは…!]

 焦ったサイエンティストの声が聞こえた。

 トカゲは空中で全長30メートルはあろうかという巨体となり、その黒光りする巨大な翼を広げて威嚇するように大きく咆哮した。

 魔力鉱をも容易に破壊する究極物質アダマンタイトの鱗、長い尻尾と鋭い爪、そして禍々しい角。まさしく生態系の頂点(ドラゴン)だ。

[そいつは地上最強の生物、アダマント・ドラゴンだ!]

 サイエンティストが叫ぶ。

「彼女はヴィーヴル・フォン・ドラグナイア、またの名を前衛将軍”鋼龍(こうりゅう)”のヴィーヴル…!」

 アレウロがつぶやく。

[用意できた!上に跳べ!]

 サイエンティストからの指示に従って、アズラエル達は身体強化を使って建物の屋根に跳びあがり、さらに高く跳躍した。


 * * *


転送開始(アクティベート)

 僕はスラスターをふかしてアズラエル達のもとに向かいながら再度両手首のブレスレットに魔力を通し、装備を呼び出す。僕の周りに巨大な転送魔法の魔法陣が展開され、転送されてきたたユニットごとに分割された装備がだんだん組み合わされていく。僕自身はコアユニットに入って機体中央に組み込まれ、その周りにどんどんパーツがドッキングされていく。アズラエルのもとにたどり着くときにはすでに戦闘機の形になっていた。僕は機体前方下部のハッチを開いて空中でアズラエル達をキャッチし、そのまま全速力でその場から逃げ出した。

 これがラディウスモードともストレイフモードとも違うパワードアーマー”吹雪”の新らしい力、領域支配・制空戦闘形態”ブライトバード・装備(パック)”だ。

 読んでくださり、ありがとうございました。

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