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Notice-code:Ω -scientist-  作者: 霧島宇宙
ILLUSIORY SERENE

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SKY SEARCH NET

 今回もよろしくお願いします。


 最低限の準備を終えてレイヴン本部をでた時には、もうすでに月も沈んだ深夜だった。急いでラミィに1カ月ほど王都を離れる旨を伝える手紙をしたため、寝ているラミィの隣においておく。

 事前に決めていた集合場所でローズをピックアップし、学園に向かう。

「時間が無い。手短に説明する」

 学生寮の窓からアズラエルの部屋に忍び込み、急いでアズラエルを起こす。

「あ、あなたは2年前の…?!」

「そういうのはいい。あなたにとっては私はよく分からない存在かもしれないが、私がアスターテのために動いているということは信じてもらいたい。今回も王命で行動している。あなたを連れて今夜中にアケメネスに飛び、1カ月以内にクリスタ殿下を救出する。ついてくるのなら今すぐに準備をするんだ。あなたの創造の5倍は過酷な仕事だ、覚悟してほしい」

「…わ、わかった。何を用意すればいい?」

「武器と戦闘服だけでいい。それ以外は現地で調達する」

 アズラエルは5分ほどですべての準備を整え、剣をひっつかんで腰につけた。

「かなり飛ばす。しっかりつかまっていてくれ」

 窓辺で待機していたローズとアズラエルを抱え上げ、空中に飛び出す。

「結界、OKです」

 ローズが耐熱・耐衝撃用の結界を張ったのを確認し、スラスターを展開する。

極超音速加速ハイパーソニック・ブースト

 アケメネスは正確に南西1512キロの位置だ。寸分の狂いもないように進路を定める。

 彼らにも一応身体強化魔法をかけたが、耐えられる負荷は高くて10Gだ。いつものように最高約350Gの機動をすることはできない。緩やかな加減速で、マッハ1ほどの最高速度で1時間半かけてアケメネスを目指す。

「殺人的な加速だ…!」

 アズラエルがうめき声を上げる。まあ、普通に生きてたら10Gなんて一般人は一生に一度も感じることはない重力加速度だ。強化魔法を使ってもかなりきついだろう。


「サイエンティスト殿、あなたはなぜ私を助けてくれるのだ?」

 速度が安定して少したったとき、アズラエルが聞いてきた。

「2年前の事故の時もそうだ。私を助けて、何かあなたにメリットが有るのか?」

「特にない。強いて言えばある人に()()()()からだ。だが個人的な感情を言うのであれば羨ましいから、かな」

「羨ましい…?」

「ああ。気のおけない友に囲まれて青春を過ごせているこの国の若者たちが羨ましい。だからこそ、この平和を守りたいのだ。アスターテに限って言えば、あいにくここ20年程はそうとも言えない状況に置かれているけどね」

「そうか…」

「私にも私の世界という物がある。常に対応できるわけではないが、君が呼ぶのならいつでも私は飛んでくる」

「…感謝する」

 すると、眼下の風景が山岳地帯を抜けて平野部に入ってきた。

「もうすぐアケメネスに着く。クリスタ王女はまだ王都の中にいるはずだ。我々も正体を隠しつつ、捜索を始めよう」

「「了解」」

 二人が答えた。

 

 アケメネスの城下町の片隅に、2階建ての空き家がある。ところどころ傷んでいる様子だが、住むには申し分ない建物だ。ここはレイヴンが世界各国の主要都市に構えている拠点の一つで、1,2週間前までは調査員が駐留していたはずだが今では無人になっている。おそらく、混乱を避けて拠点を変えるか脱出したのだろう。

「物資もそのままじゃないか。これを使わせてもらおう」

 タンスをあさると衣服や食料、いくらかの金が入っている。食料さえ買い入れれば3人でも3ヶ月はしのげるくらいだ。

「君たちはこれを着るといい」

 適当に服を見繕ってローズとアズラエルに手渡す。ローズは結界で見かけの顔の作りを変えているので、服だけ変えれば問題ない。アズラエルには茶色の塗料を渡し、髪の色を変えるように指示した。ダゴンでは金髪はかなり少なく、人混みの中にいても結構目立ってしまうのだ。

「とりあえず今後の方針だが、これを使おう」

 僕は収納魔法からいくつか十字型の物体を取り出した。

「…?これって…」

 ローズが興味深そうに十字の先についているプロペラをくるくる回す。

無人航空機(ドローン)だよ。クリスタ殿下とは一度お会いしたことがあってね、その時に彼女の魔力の波長を覚えたんだ。特定の波長にに同調して遠くから検知するセンサーを開発した。とりあえず4機作ってきたけど、こいつのセンサーで観測できるのは対象が屋外にいるときだけ。何かの遮蔽物越しには観測できないから、君たちは街の中を見て回ってなにか異変や引っかかる点を探してほしい。些細なことでもいい、なにか気づいたらこれで連絡してくれ」

 二人にスコーピオン小隊に渡したものと同じ耳飾りを渡し、一通り使い方を説明する。

「とにかく、こいつがあれば半径50キロ以内のどこにいても会話できる。それじゃ、任務に出てくれ」


 ローズとアズラエルはそれぞれ街に繰り出していった。

「さてと、…やりますか」

 僕は天窓から手を出してドローンを置き、順番に飛ばしていく。ドローンの視界と観測データは常にスーツの内側の網膜投影機にとって瞳に直に映し出される。僕はこれを見て脳波でドローンを操縦するのだ。これがかなり難しく、僕でも同時に8機が限界だ。ただそれだと操縦に集中しなければならず、どうしても注意力が落ちてしまうため半分の4機に抑えるしかなかった。

 ドローンのうち1機ずつは何かあったときのためにローズとアズラエルを追尾させ、残りの2機で上空を飛び回ってクリスタを探す。

 それにしても、アケメネスはでかい都市だ。都市圏全体で見ると、数字上ではアル=イスカンダリーヤよりも人口が5万人程多い。港はないが大陸における5つの主要な街道がすべてアケメネスで一度交わるため、昔から大きく栄えていた。数百年前の統一帝国時代には統一帝国の首都でもあった。その後帝国に内乱が起こり、帝国第2の都市アル=イスカンダリーヤを根拠地とする勢力とアケメネスにとどまる勢力に別れ、それが今のダゴンとアスターテの原型となったのだ。この頃の時代の歴史書はかなり興味深いものが多く、僕もよく王立図書館で読んでいた。

 こちらの存在をアーキム派にこちらの存在を悟られるのはかなりまずいので、噂を流したりして指定場所に集まってもらうことは厳しい。とにかく、こればっかりは虱潰しに探すしかない。

 とはいえ。


「フウ…」

 ようやく一人になれた。網膜ディスプレイのヘッドギアだけ残してスーツの他のパーツを送り返す。服を着替えて体を伸ばし、隠れ家の外に出て周りを色々見て回る。憲兵隊の警備の穴となっている場所はワケアリの流れ者が溜まりやすく、そういうところは往々にして治安が悪い。隠れ家はそんな地域にあるため道端では物乞いがたむろし、少し歩けば違法風俗店の娼婦が腕を引いてくる。

 スラム街というものはどの国でも必ず生まれてしまう。アスターテだってそうだし、世界的に見てトップクラスに治安が良かった日本も例外ではなかった。

 屋台の並ぶ表通りに出て、夕食を調達する。大きなソーセージと新鮮な野菜を挟んであるホットドッグを購入し、高台の公園に移動して食事を済ませる。それにしても、久しぶりに一人で食事をするなあ。もうラミィが恋しくなってきた。

 読んでくださり、ありがとうございました。


 今コミケの待機列で編集してます。朝飯家に忘れました、ぴえん。

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