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Notice-code:Ω -scientist-  作者: 霧島宇宙
ILLUSIORY SERENE

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48/51

GLOWING UP

 今回もよろしくお願いします。

「とにかく、間違いなくこの情報は他国よりも魔術分野でアスターテを一つ先に推し進める重要なデータだ。わかってると思うがこの件は口外無用、国家機密案件とする。私に預からせてもらうぞ」

 レーレライは冊子をデスクの脇においた。

「それはそうと、私の方でも近々君を呼び出そうと思っていたんだ」

 レーレライは改めて僕に向き直った。

「イズ、もっと強くなりたくないか?」

「と、いいますと…」

「現状、君はその年ではいまだかつてないほど強い。だが将来を見据えたとき、例えばここ数年以内にまたなにかあるだろうと思われる”トランティーロ”とやらの襲撃とか、それを考えると君は少々力不足に感じる」

「私自身、将軍方とまともに戦って勝てるとは思っていませんよ。私なら外堀から埋めていきます」

「頭脳戦もこなせるのが君の強みでもあるんだが…、私が見る限り君はまだ剣の技術・経験が圧倒的に足りない。魔物大戦での傷もまだ癒えぬ今、我々の急務は次世代をできるだけ早く育てることだ。そこで…君の師を紹介しようと思う。入ってきてくれ」

 扉を開けて入ってきたのは、赤い髪を後ろに流し、銀色の鎧に白いマントを羽織った20代前半くらいの男。

「キリル・プリヴァス・ホードヌイだ。よろしく」

 現在アスターテ最強と謳われる、前衛将軍・砕剣のキリルだった。

「どうだ、アスターテ最強の師を連れてきたぞ」

「歴史を見れば僕よりも強い人なんていくらでもいるだろ?あと、君自身の仕事は終わったのかい?」

 レーレライとキリルが雑談を交わす。一見するとそこらの街角のワンシーンのようにも見えるが、多分二人が力を合わせたらそこそこの国が一つ滅びるレベルの戦力だろう。

「というわけで、彼をこの後少し借りてもいいかな?」

「もう始めるのか?」

「うん。早いほうがいいからね」

 いつの間にか二人の間に話をつけられていた。

「じゃ、行こっか」

「は!」

 わけの分からぬままキリルに釣れられてレイヴン本部を出る。その足でキリルの馬車に乗り込んで彼の屋敷に向かう。

「さてと、イスラフェル」

 キリルは口を開いた。

「堅苦しいのは苦手だから、僕のことは先生と読んでくれ。君にも僕にも軍での立場はあるが、この際僕らは階級に関しては無視して教え子と教育者という関係に割り切ろう。まあもうすぐ僕の屋敷に着くわけだが、まずは僕と手合わせしてもらおう。君の現状を知りたいからね」

 30分ほどでキリルの屋敷についた。かなり大きな土地だ。

「大きなお屋敷ですね」

「なに、先祖代々の土地を相続しただけだよ。70年ほど前までウチは商人をやってたらしくて、その時に買った土地だそうだ」

 馬車は本館ではなく、離れのそばにつけられた。

「ちょっと待ってて。着替えてくるから。そういやイスラフェルにも道着を選ばなきゃ。そこの建物で背丈と合うのを選ぶといい」

 僕は言われるがまま離れに入り、そこで僕の背丈を測った執事が黒い道着を持ってきた。少しくたびれてはいるが、着心地は悪くない。

「準備はどう?」

 そう行って顔をのぞかせたキリルは私服そのものだった。動きづらくはないのだろうか?

 

「君の得物は確か片刃の両手剣だったよね?じゃあ、これかな」

 キリルは広い庭の隅に立てかけてある大小さまざまな木剣の中から二振りを手にとり、片方を僕に投げてよこした。

「それじゃ…全力でかかっておいで」

「はい!」

 僕はいつものように低い居合の姿勢をとり、下半身に力をためて一気に解き放った。木剣を回転させて勢いを増し、キリルの大腿部めがけて回転斬りを放つ。しかしキリルは片手剣型の木剣を低く構え、僕の剣が触れる瞬間僅かに切っ先に傾斜をつけた。木剣同士が触れた瞬間僕の剣はキリルの剣に沿って左側に流され、僕はそのままバランスを崩して地面に転がってしまった。

「速度が上がったときに切っ先がブレてる。君の身体が華奢すぎて剣に負けているんだ」

 すごい、今のを認識強化魔法無しで見切ったのか。化物かこの人は。

 僕はすぐに姿勢を立て直し、キリルの死角に回り込んで回転斬りを仕掛ける。しかし今度は剣を絡め取られ、空中で数回回った末に地面に叩きつけられてしまった。

「肩と腰に無駄に力が入って姿勢が崩れてる。そんなのじゃすぐに弾かれちゃうよ」

 おかしいな、ちゃんと見えない角度から間合いに入ったつもりなんだけど。

 それからも数時間みっちりしごかれ、身体中あざだらけになってしまった。


「うん、なんとなくわかったね。君には根本的に膂力が足りない」

 バテてしまった僕をつつきながらキリルが言う。身体強化だって僕の身体の限界ギリギリまで起動してたのに、それでも足りないのか。

「イスラフェルは身長はそこそこだけど、全体的に細すぎる。そのせいで振るうときに大きく重心が傾く長剣にパワー負けして切っ先のブレが出てきて、精度が落ちてる。明日から毎朝20キロ走って、この剣で素振り1000回してね」

 キリルが僕の眼の前においたのは金属製の大剣だった。刃が潰してある訓練用のものだが、そのあまりの自重で半分くらい地面にめり込んでいる。

「先生、いくらなんでもきつすぎませんか…」

「ああ、たしかに軍の訓練の数倍きついが耐えてくれ」

 見た目優しげな好青年なのに、何なんだこの脳筋お化けは。前衛科ってみんなこうなのか?

「イスラフェルが素振りに慣れてきたら筋トレも追加するよ。それまでにまずはこの剣をマトモに振れるようになること。今日はここまでにしとこう」

 そう言ってキリルは水が入った水筒を渡してくれた。飴のような言動とムチのような訓練内容、まさに鬼だ。


 * * *


「ちょっと、イズ大丈夫?」

 ボロボロの僕を見て、思わずベッドに寝かせたラミィがあざの量に悲鳴を上げる。というか、ドン引きしている。

「大丈夫、ちょっと先生に剣の稽古をつけてもらっただけ」

「それ誰よ!イズがこんなになるまで練習させるなんて、ちょっと文句つけてくる!」

「ホードヌイ前衛将軍だよ」

「うっそ…本当に…?」

 流石は泣く子も黙る前衛将軍。

「明日も早いからもう身体洗って寝る…」 

「うん、お疲れ様…」


 前世を含めても、トップクラスで今が最もきつい。

 読んでくださり、ありがとうございました。


 数カ月ぶりにガンプラ作りました。HGローゼン・ズールEp.7ver.です。無印は成形色がほぼ茶色でしたが、各所で言われているようにこちらはだいぶ改善されてていかにもローゼン・ズールな感じになっていますね。もともと造形は恐ろしくかっこいいキットなのでこれでようやく持ち味が完全に発揮された気がします。


 フウ、エングレービングの塗装か…。

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