BRIGHTNESS AND DARKNESS
今回もよろしくお願いします。
小鳥のさえずりが聞こえる。
窓から差し込む冬の朝日が僕の顔を照らし出し、僕は目覚めた。傍らには一糸まとわぬ姿のラミィが寝ている。
じっとラミィの顔を見つめていると、ラミィが目を覚ました。
「うふふ、おはよう」
昨夜のことを思い出しているのだろうか、ラミィは赤面しながら僕と軽くキスをした。
「うん、おはよう」
僕もそう答え、上半身を起こした。
「体を洗ってくるよ」
僕はバスローブを羽織り、軽く寝癖を手櫛でとかした。
「じゃあ、私も入るわ」
ラミィもベッドから起き上がり、バスローブを着て二人で部屋を出た。
レラティビティ邸の大浴場は本格的な城塞ほど大きくないが、それでも大の大人が20人は一度に風呂に入れるくらいの広さはある。しかもこの屋敷の風呂は、温度を設定すると魔法式で自動でお湯を沸かしてくれる便利機能付きだ。元の持ち主はかなり魔導具に凝っていた人物らしい。
脱衣所でバスローブを脱ぎ、ラミィと手を繋いで湯気の揺らめく浴場に入る。身体を流し、僕の膝の上にラミィが座る形で湯船に浸かる。
「それにしても広いお風呂よね、この家の浴場」
「うん。不動産屋で聞いたのは前の持ち主が魔法の研究者だったってことくらいだな。もしかしたら結構有名な人だったのかも」
「それに…これだけ広かったら…」
ラミィは身体を回して僕に向き合うような姿勢になり、耳に顔を近づけた。
「…何でもできるね」
「お手柔らかに頼むよ」
僕らはもう一度、体を洗う羽目になった。
浴場を出て体を拭き、魔術学院の制服に着替える。そういえば、手足の丈がかなり短くなっちゃったなあ。そのうち手直ししてもらわないと。
「ねえ、これで大丈夫かしら?」
着替え終わったラミィがその場でクルッと回る。あ、そうだ。良いこと思いついた。
僕は床に片膝をつき、ラミィの左手をとった。
『物質創造』
白銀の原子構造を想像し、リング上に構築する。銀河のように渦を巻いたような指輪の中央にラウンドブリリアントカットのダイヤモンドを配置。大小一組の、婚約指輪だ。僕は小さい方を空中で操作してラミィの左手の薬指にはめた。
「え、なにこれ?!魔法で金属を生成したの?!どういうこと?」
「誰にも言わないでね。二人だけの秘密だよ」
あらためてラミィは指輪を見る。
「きれい…」
「僕にも、つけてくれるかな?」
僕は大きい方の指輪をラミィの手のひらに載せた。
「ええ、もちろんよ」
ラミィは僕の薬指に指輪をはめた。
「デザイン、どうかな?」
「最高ね!」
僕らは支度して、家を出た。
また今日もいつも通り学院の一日が始まる。そう思っていた僕はどうやら楽観しすぎていたようだ。
「ちょっと待ってイスラフェルくん、この指輪何よ!」
「そうよ、ラミィちゃんも!」
クラスメイトの目ざとい女子たちがいち早く僕らの指輪を見つけ、教室は瞬く間に阿鼻叫喚の渦になってしまった。
「なんで?!この前はつけてなかったのに!」
「今からでも大丈夫、私を側室に…」
「私も、私も!」
人々の波に押しつぶされそうになる。モテすぎるのもあまり良いものじゃない。
「ちょっと皆、私の夫に手を出さないで頂ける?」
いつの間にか隣に来ていたラミィが僕をグイッと引っ張り、キスをした。
「「「「?!?!?」」」」
突然の出来事に、皆阿鼻叫喚を通り越してその場で固まってしまった。
「そういうことだから! イズ、行こう!」
ラミィは僕を引っ張りながら群衆の前を通り過ぎて、そのまま席に着いた。
昼休みまでにはもう他の学年にも噂が広まっていたらしく、3年Aクラスの教室の前には様々な色のローブを着た野次馬たちが集まっていた。そのたびにラミィは僕とともに固有魔法を使って通り抜け、ローズ先生は不可視の結界を教室に張るのだった。
だが、今日やるべきことはこれで終わりじゃない。僕は授業が終わるとすぐに教室を抜け、人通りのない路地裏で収納魔法から転送用の魔法陣が描かれた紙を取り出して魔力を流した。次の瞬間には僕はレイヴンの本部に立っていた。
僕はカラスの羽のバッジをつけてレイヴンの制服に着替え、隊長室の前に立って扉をノックした。
「レラティビティ一等将校です」
「入れ」
扉を開けると、いつも通りデスクに向かって仕事をこなすレーレライがいた。
「ただいまお時間よろしいでしょうか」
「ああ。急にどうした? 緊急か?」
「緊急です」
僕は収納魔法から1冊の本を取り出した。
「4日ほど前に私の屋敷で謎の魔導具が見つかったのを覚えておられますでしょうか」
「ああ、行く先々で厄介事に巻き込まれるお前も大変だよな」
「その魔道具の魔力コア近くにその本が埋め込まれていました」
レーレライはパラパラと数枚ページをめくる。
「これは…!」
1ページごとに記されているのは人体、主に前腕と顔の解剖図。生半可な書き込み量じゃない。それにこの世界には存在しないはずのギリシャ文字が使われた数式。
「かなり難解な内容でしたので、時間はかかってもこちらを作成したほうが良いと判断しました」
かなり厚い冊子をレーレライに渡した。
「現状8割ほどの解読率ですが、わかっている範囲で解説書を書きました」
レーレライは冊子を開く。
「簡単に説明しますと現状ブラックボックスだった魔力の根幹、固有術式と肉体の関係、そしてその移植の可能性についての内容です。魔法とはこの前腕部の三重らせん型の「魔力器官」とも言うべき器官から生じる魔力を手のひらからアウトプットしたもの、固有術式とはそれを横切る細い魔力器官が立体の魔法陣の役割を果たして肉体に刻まれるものということのようです。そして何より一番問題なのは…」
僕は裏表紙を指す。
「この非人道的・残虐極まりない研究にアルフェラッツ家が関わっているということ」
そこにはまごうことなきアルフェラッツ家の花押があった。
「我々の闇は、案外深いのかもしれないな…」
レーレライは呟いた。
期末テストのため更新が遅れちゃいました…すみません…
そういえば、皆さんはコトブキヤのDNT版ヒューベリオンは予約しましたでしょうか。私はブリュンヒルトもヒューベリオンも初回限定盤を予約できました。とは言っても1万円のキットをポンポン買うわけにも行かないのでブリュンヒルト、ヒューベリオン、バルバロッサ、トリグラフ、ユリシーズあたりが出たら一度節約にシフトしようと思っていますが…。旧アニメ版に出てきた艦艇だとパーツィバルが一番好きなので、DNT版が出てくるのが楽しみです。




