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Notice-code:Ω -scientist-  作者: 霧島宇宙
ILLUSIORY SERENE

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JAPANESE HEART

 今回もよろしくお願いします。

 その後学校が休暇になりレイヴンでも特別に休みをもらえたので、今回新しく僕の領地になったアマルナまで一度行ってみることにした。

 テル・エル・アマルナ城までは馬の常歩でおよそ4日、王都から200キロ弱の距離にある。兄さんと荷馬車用に雇った二人の従者とともに王都を出て、途中の宿場町で宿に泊まりながら歩を進める。通り道のナハト・クリーフェン城でひとしきりの戦勝祝いをし、新たな旅支度をして翌日早朝に出発した。

 従者二人に馬車一つというのは、本来侯爵の旅支度としては異常なほど軽装だ。だが、僕の場合は大きすぎる武功が空回りして実際の経済規模はまだ一般的な下級貴族より少し恵まれているくらいだ。もちろん僕の懐には報奨金も含めてかなりの額が入っているが、いまだ使い道を見いだせていない。

 道中悪路というわけでもなく、あまり苦労をせずにテル・エル・アマルナ城までたどり着いた。今は時期的に何も植えられてはいないものの、田んぼの中にそびえる城と城下町は壮観という言葉だけでは表しがたいほど美しい。

 こちらでも城下町の住民にパレードのように出迎えられ、僕も馬上から手を振りながら城に入った。

「初めまして、テル・エル・アマルナ城の城主代理を務めさせていただいておりましたダニエル・ゴラン三等将校と申します」

「よろしく」

 ゴランの案内のもと、一通り場内を見て回る。城主に執務室や大浴場、そして最後には僕の一番の目当てとも言える米倉だ。

 大きな期待とともに高床式倉庫のはしごを登る。

「おお…!」

 そこには大量に積まれた米俵の山。

「ゴラン、中を見てもいいかい?」

「ええ、もちろんです」

 ゴランはそばにいたものに命じ、近くの俵を開けさせた。

「おお…おおお?!」

 流石にインディカ種の米だと思っていたが、まさかこれは…。

「ジャポニカ種?!」

 正真正銘、僕が前世で頬張っていた種類の「日本のコメ」だ。品種まではわからないがこの形状と大きさ、そして香りは間違いない!やばい、よだれが止まらない。

「これ、どうやって食べてる?」

「蒸して食しております」

 まだまだだな。ここにあるのは、もみ殻を取っただけの玄米だ。僕なら完ぺきを求める。

「3日間、部屋にこもらせてくれるかな?」

「ええ、全く問題ないですが…」

 こうなった僕は誰にも止められない。


 * * *


「で、できた…」

 3日後、僕は部屋に倒れ込んだ。眼の前には何やら大きな機械がある。魔法を使いすぎてクタクタだがなにせようやく最後の微調整が終わったのだ、早く使ってみるに越したことはない。


「すまない、、米を1俵分けてくれるか?」

「ええ、もちろんです」

 倉庫番に許可をもらって米を1俵もらい、倉庫のそばに収納魔法から先程作り終わった機械を取り出す。上部のろうとのような部分に米を流し入れ、脇のスイッチを押す。

 米が機械の内部に流れ込み、最初の部屋でふるいにかけられて米に混ざっていた異物や小石が取り除かれる。次の部屋に行くと米に圧力がかけられ、米同士が擦り合わされて糠が削ぎ落とされる。内部で吹き付けられる風によって削られた糠と白米が分離し、それぞれ別の出口から出てくる。

 そう、これこそ日本が生み出した究極兵器・摩擦式精米機だ…!

 うう、もう待てない。大地魔法で近くの土を制御して粘土を作り出して鍋と蓋の形に成形し、炎魔法で素早く焼き上げながら表面に釉薬としてガラス、アルミナ、ガラスの融点を下げるナトリウムを生成する。誰が見ても立派な土鍋だ。

 これまた大地魔法で風通しの良いかまどをその場に作って炎魔法で火をおこし、その間に水を持ってきて米を5合洗う。水魔法や創造神(ブラフマー)で水を生成しても良いのだが、基本的に魔法で作られる水はミネラルが少なく米に適さない硬水だ。この地域の水源は主に山岳地帯の雪解け水で、ミネラルが多い軟水のようなので井戸水をそのまま使える。このあたりの成分の調整は非常にめんどくさいし、何より米を炊くならその米を育てた水をつかうのが最も良い。

 5回ほどすすいだ米を土鍋に移し、米よりも水位が1.5センチほど高くなるように水を張る。今は冬で気温が低いので1時間ほど水を吸わせ、その後程よく弱まった炭火に土鍋をかける。強火で一気に沸騰させるよりも強めの中火でゆっくり沸騰させたほうが美味しく炊きあがるのだ。中の水が沸騰する音が聞こえたら炭火を減らして弱火に調整し10分ほど加熱する。鍋の中で「ふつふつ」という音が聞こえなくなったら炭火を取り除き、10分蒸らす。

「もうそろそろだぞ」

 物珍しさに見物に来た十数人の住民たちにそう説明し、皆で覗き込みながら土鍋の蓋を開ける。

 湯気が一気に飛び出し、やがて見えてきたのは粒が総立ちになったツヤツヤの米。これぞまさに究極完璧の白米だ…!見物人たちからも歓声が上がった。

「誰か、城の厨房から塩を借りてきてくれ!」

 そう叫ぶと、程なくして塩が持ち込まれた。僕はあらかじめ作っていたしゃもじを取り出し、切るように米をほぐして適量を手のひらに取った。ある程度にぎって形を整え、手のひらに塩をのせてもう一度塩をまぶすように握った。そう、米を使った料理で最も一般的な日本人の心、塩むすびだ。その場にいた人数分おむすびを作り、全員に配って一斉に口に頬張る。

「「「熱っ…うまあああああああ!!」」」

 僕を含めた全員がもれなくそう叫び、あっという間に手元のおむすびを平らげてしまった。17年ぶりの米だ!全く何も足していないただの塩むすびなのに、なんて美味いんだ…!

 「なあ、皆!…もう一度食べたくないか?」

 見物人の中からそんな声が上がった。その後、その日は街を上げて精米作業が行われた。

 久しぶりの休息回です。自分も書いてて(授業中に)お腹が空いてきました。スペクトルとかいいからはやく塩むすびを食わせてくれ…!


 ちなみに僕の好きなおむすびの具は梅干しとたらこです。爆弾みたいなサイズのおむすびに焦げる寸前までパリッパリに炙った海苔を巻いて食べるのが好きです。


 皆さんはどの具が推しでしょうか、感想で教えてください。

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