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今週もよろしくお願いします。
ナハト・クリーフェン城と王都アル・イスカンダリーヤは2日もあれば馬車で往復できる。普通の馬ならもっと速い。レーレライが「昇進祝いだ」と言って5日間だけくれた休暇を利用して、スーツの改造も含めて城に戻った。
南国のリゾート地のような気候と風景を前面に押し出して観光客を誘致しているこの地方にとって、冬から春にかけては実質オフシーズンだ。しかし中心部の市場は地元住民たちで1年中活気があふれている。
「旦那様、おかえりなさいませ」
城の十数人の使用人たちが、入り口で僕を迎えてくれた。
「いつも留守にして、悪いね」
「いえ、私達はいつでも旦那様をお待ちしております」
執事から今季の報告書を受け取る。
「先月季節外れの嵐がやってまいりまして、それに伴う高波や瓦礫などで漁港やそこに停泊していた船に多少の被害が出ております。また、その雨で増水した近隣の川で中規模な洪水が発生し数十戸の民家が被害に遭いました」
「被害に遭った漁師や住民にはできる限り低利息で手当てを出してやってくれないか。家を完全に流された者には城の空き部屋を一時的に貸そう。天候はどうすることもできないが、高波と洪水に関しては僕がある程度何とかできるかもしれない」
「何か策がお有りなのですか?」
「まあね、昔取った杵柄ってやつだよ」
「有難うございます」
1時間ほどで一通りの事務処理を済ませ、自室に入った。おもむろに本棚の特定の本を手前に傾けてロックを解除し、本棚に見せかけた隠し扉を開ける。
「だいぶ埃がたまったなあ」
思い立ったが吉日、風魔法で埃を吹き飛ばして集め、水魔法で埃もろとも床の表面を撫でて掃除を終わらせる。
「さて、次はお前のメンテだ」
部屋の中央にある巨大なカプセルに入った、転送待機状態のスーツに話しかける。スーツを取り出して空中に浮遊させ、ブースターを取り外す。事前に作っていた幻影の立体映像と重ね、創造神の術式を起動する。映像に沿って出力されるように術式をコントロールして少しの間置いておく。この程度なら、プリントにはもう1分と掛からない。
『物質創造』
呪文を唱えて術式を起動し、装備が出来上がるのを待つ。青い光を放ちながら、円筒形の魔法陣の内部で本体色と合わせた白い装備が構築されていく。
「これを前世でも使えたらなあ…」
そんなことを呟いているうちに装備が出来上がった。城にはもともと休暇で戻ってきたのだ。今日はもう仕事をしたくないので、ちゃちゃっと本体とブースターの改造も済ませて追加で創った転送カプセルに押し込む。
後のことは明日で良いや。半日馬に乗って疲れたし今日は休もう。
「さて、嵐のときの高波をどうするかだったかな?確かこのあたりは火山の地層が多かったはずだ。ちょっと土木系のエンジニアを連れて付いてきてくれないか」
僕は執事と土木工事の現場監督者を連れ出し、火山の中腹まで馬で登った。
「始めて見た時は僕もびっくりしたよ。なにせ、古代ローマのロストテクノロジーと言われていたものが見渡す限り広がっていたからね」
僕はそこに落ちていた白い砂を一掴み拾いその場にあった砂利と混ぜ、水魔法で水を生成して砂と混ぜた。十分に混ざったら魔法で水分を抜き、ちゃんと硬化しているか確認した。
「ほら、固くなった」
現場監督に砂が固まったものを手渡した。
「砂が水を混ぜただけで石のように固く...!!」
大層驚いている様子だ。
「ポルトランドセメントを使ったセメント・コンクリートと比べて採算性では大幅に劣るものの、水中でも硬化できたり自己修復する能力があったりするんだ。火山灰を混ぜたらもっと固くなるし、性能だけで見たらこっちのほうが上だよ」
「これは、一体...」
「発明は1世紀から2世紀頃のローマ帝国。パンテオンやローマ水道などのローマ建築の根幹を担い、その重要性からこの砂の採れたポッツオーリという小さな町を大規模な都市に変えた。この建築素材の名は”ローマン・コンクリート”だ」
僕は砂を2トンほど魔法で巻き上げて運び、海岸に移動した。海水と砂利、砂を混ぜたものをマキビシのような形に整形し、水分を抜いて乾燥・硬化させる。
「波っていうのは、壁に当てても反射してしまう。つまりシンプルな壁じゃ相殺できないんだ。しかし、その壁に複雑な形状の空洞を作ると波がその中で反射し、弱まって最終的には消えてしまう。こいつは一つじゃなんの役にも立たないけど、たくさん作って堤防のように積み上げることでその内部に複雑な空洞を作り出し、荒波をほぼ完璧に相殺してしまう」
「すごい、こんな方法で波を落ち着かせられるのですか」
「ああ。こいつの名前は”消波ブロック”だ」
翌日から消波ブロックを使って港湾部に堤防を作るプロジェクトがスタートした。港を囲うように1000個ほどの消波ブロックを置き、高波から船を守るのだ。僕も現場責任者になってくれと言われたが、仕事が忙しいから質問に答えるだけなら手紙でやり取りできるよと言って断った。
馬で山から砂を運び、海岸で砂利や海水と混ぜて型に流し込んで固め、完成したら小舟で海に沈める。この繰り返しだ。
「川の蛇行してる部分の外側に消波ブロックを置けば、堤防が完成するまでの応急処置になるよ」
現場を見ながら監督者にそう話す。これで、少しは嵐の被害が軽減されるはずだ。僕が砂利を全て魔法で運んでも良かったのだが、住民達が自分で造ってみないと僕が居ない時なにかトラブルが合ったときに修理ができない。住民と合わさってこそ、建築物は長持ちするのだ。
読んでくださりありがとうございます。最近投稿が遅れがちな男、霧島宇宙です。
Xでもボソっとつぶやきましたが、カンボジアに旅行に行ったり春期講習だったりで春休み中全く余裕がなく、続きを書けてません。すみません。
そうなんです、今年僕受験生なんですよね。それも美大志望なので、普通の勉強に加えてデッサンも勉強してるんですよ。そんなこんなで毎日クッソ忙しいので、この一年投稿頻度が確実にガクンと落ちると思います。大変ご迷惑おかけしますが、これからも「Notice-code:Ω -scientist-」をよろしくお願いします。
今回はカンボジア旅行記でも書きますか。
今回はアンコールワットに行きたいと思ったので、カンボジアの首都プノンペンにはいかずアンコールワット最寄りのシェムリアップ・アンコール国際空港まで、途中ベトナムのハノイ・ノイバイ国際空港で飛行機を乗り継いで合計10時間かけて移動しました。
カンボジアはもう、到着してすぐに「暑すぎんか?!」って声が出るほど暑かったです。あと何故かしらんけど2時間半遅延しました。
多分続きます。




