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Notice-code:Ω -scientist-  作者: 霧島宇宙
STAND UP

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14/51

BRIEF RESPITE

 今回もよろしくお願いします。

 学園の構内は、出店に並ぶ生徒や外部からのお客さんで、平日朝の新宿駅くらい混雑していた。学生寮以外のほぼすべての建物で何かしらのイベントが有るため、そこかしこで歓声があがる。僕も今日は任務は非番だし、少しだけ青春を謳歌するとしよう。

 学園祭の最中は構内で私服を着用することが許されているため、皆カジュアルな格好で遊び歩いているみたいだ。

「昨日の試合、すごかったよ!」

 突然後ろから話しかけたのはラミィさんだった。

「ちょっと性格が明るくなりましたね」

「えへへ、そうかな?」

 きっとこっちが本来の性格なんだろう。内側に閉じこもることを強制されて、根暗な性格になってしまったのだと思う。ちょっとずつだが他人と話せてるようで良かった。

 それにしても、まだ不慣れな感じの満面の笑みが可愛すぎる。前髪の間からこっちを覗く大きな目がメッチャ可愛いんだが。なんでこの娘モテてないの?

「…ちょっと、髪切りませんか?」


 一旦二人で寮の僕の部屋に戻る。

「なんで突然髪の毛なんて?」

「いやいいから、任せてください」

「いつもそのままなんだけど…」

 この世界には床屋という職業がない。皆自分で切ったり、一部の貴族は使用人に切らせたりしている。ただ、ハサミではなくカミソリのような小さいナイフで髪の毛を整えるため、うまく仕上げるにはそれこそ職人のようなテクニックが要るのだ。

 ハサミの構造をイメージして創造神(ブラフマー)でサクッと鉄製のハサミを作り出す。多分これが、この世界で最初のハサミの発明だ。

「失礼します」

 そう言って僕は椅子に座ってるラミィさんにバスタオルをはおらせた。そして腰まで伸びた癖っ毛を水魔法で湿らせ、下から15センチほど切る。

「今回の大会は一回戦で負けちゃったけど、私、結構楽しかったな」

 ラミィさんが話し出す。僕は髪の切り口を整えて、櫛でとく。

「チームメイトの皆でどうやって勝てるか話し合って、たくさん練習して…結局勝てなかったけどね」

 切り口が自然に見えるよう、縦にハサミを入れて髪の長さに多少のばらつきを加える。

「でも、皆とやっとまともに話せるようになったかも」

 前髪を切り、左右に分けてちゃんと目が見えるようにする。最後に水魔法で髪の毛を洗い、軽くタオルで拭いて、炎魔法の熱風で乾かしながらブラシで整える。湿らせても癖っ毛が治らなかったので、後ろで髪を3つにまとめ、きれいに三つ編みにしてリボンで留め、左肩から前に流す。

「できましたよ」

 ラミィさんを鏡の前に立たせて、出来上がりを確認する。我ながら上出来だ。僕には床屋のセンスがあるのかもしれない。

「ふわぁ…」

 ラミィさんの感嘆のため息が漏れる。

「ありがとう、イスラフェルくん!」

「…イズで、大丈夫ですよ」

 正直、ラミィさんの明るい表情にドキッとした。

「ねえ、このあと学園祭一緒に回らない?」

「ええ、喜んで」

 ラミィさんの笑顔に応えられるように、僕も顔をできる限り微笑ませた。


 * * *


 ラミィさんは、出店の中でも特にクレープに目を輝かせていた。王族に近いレベルの権力を持つ貴族の出身だし、おそらく庶民の食べ物をあまり見たことがないのだろう。

「一つ奢りますよ」

 僕がそう言うと、彼女は迷わずイチゴのクレープを選んだ。僕はシンプルなパイナップルのクレープを選び、二人でベンチに並んで座って食べた。

 イベントを回っていると、アズラエルに会った。というか、僕の方でも常に位置は把握していたが、まさかあちらから声をかけられるとは思わなかった。

「はじめまして、お嬢さん」

 アズラエルはラミィさんに初対面の相手のように挨拶を交わしたが、すぐに過ちに気付かされるようになった。

「イズ、君にこんなに美しいガールフレンドがいたのかい?!」

「いや、ラミィさんですよ」

「?!?!?」

 アズラエルは驚きすぎて、もはや時が止まったかのようになっていた。

「良いですよね殿下、この髪イズが整えてくれたんですよ」

「ああ、あまりにも君が美少女過ぎて驚いてる」

 そう。前髪で隠れてわからなかったが、常に王宮で美しい女性を見ているアズラエルが驚愕するほどラミィさんは顔が整っていた。彼女自身は気づいていないが、ほとんどの通行人が振り返って彼女を見ていた。

 そこに、赤いアネモネをメインにして作られた、大きなブーケを持ったクリスがやってきた。

「へ?!ラミィちゃんってこんなに可愛かったの?!」

 クリスがアズラエルと同じような同じようなリアクションをひとしきり済ませたあと、手に持っているブーケについて聞いてみた。

「これ?ジブがくれたの!」

 本人が気づいてないようだったので、小さいがとても大きな助言をすることにした。

「赤いアネモネの花言葉は、「君を愛してる」ですよ」

 クリスの顔が一瞬で真っ赤になった


 昼時になるにつれて構内も混んできたので、僕とラミィさんは外にご飯を食べに行くことにした。いつもお抱えの料理人の料理しか食べていないラミィさんは、とても喜んでいる。僕はといえば、コミュ障克服の一環として寮を抜け出して色んな大衆食堂を巡っているのが、最早半分趣味みたいになっている。なのでいくらでも美味しい店を知っているというわけだ。

 校門を出て街道を下り、漁港の近くまで行く。

「私、こういうふうに外にお食事を食べに行ったことなくて…大丈夫かな?」

「大丈夫ですよ、僕の行きつけの食堂があるので」

 漁港の近くの砂浜のそばにこぢんまりとした、しかし賑やかな食堂がある。そこが目的地だ。僕は色々王都の飲食店を巡ってきたが、この『ウミネコ』が一番うまい。

「イズくん、久しぶりだねえ!」

「こんにちは、女将さん」

 名物夫婦が二人で切り盛りしているこの店は、ハズレがないのではないかと思うほど全てのメニューが美味いのだ。特に日替わり定食は本当に一度も同じ料理が出たことがなく、なおかつその全てが絶品だ。

「女将さん、今日の定食何?」

「今日はいいイカと牡蠣が入ったから、海鮮スパゲティよ!」

 あまりにも通いすぎて、コミュニケーションができない僕が女将さんとフランクに話せるようになっているレベルだ。

「ラミィさんはどうしますか?」

 ラミィさんは、緊張のあまり固まってしまっている。

「おすすめは日替わり定食ですよ」

「じゃ、じゃあ、それで!」

 店内の空席に座り、料理を待つ。

「おお兄ちゃん、今日は彼女連れかい!随分とべっぴんさんやないか!」

「いや彼女じゃないって!」

 突然同じく常連の漁師たちからそんな話を振られ、僕は全力で否定する。序列6位の公爵家の娘を「彼女」だなんて、社会的に死んでしまう。

「おっさんたちこそ、昼間から酒ばっかじゃ体壊すよ!」

「俺は体が鋼鉄で出来てるから大丈夫だ!」

 そんな他愛もない会話を交わすうちに、料理が運ばれてくる。

「日替わり2つ、サービスで大盛りよ!」

「まじで?!やったー!」

 あまり学生が来るようなところにある食堂ではないので、女将さんや常連客にはとてもかわいがってもらえる。それにしても、かなりのボリュームだ。スパゲティが多い上に、でっかい牡蠣が3つも乗せられてる。

「じゃあ、いただきます…」

 以外にも、ラミィさんが先にパスタを口に運んだ。

「!!」

 直後、彼女の驚愕とも感動とも取れる声が響いた。

「なにこれ超美味しい!味付けも完璧なバランスだし、この牡蠣の火入れも絶妙だわ!」

「うれしいねえ、そんなに褒めてくれちゃって」

「これ本当に美味しいですよ!」

 女将さんとラミィさん、意外とすぐに仲良くなれそうだ。それにしても、普段から高級料理を食べ慣れてるラミィさんがここまで美味しいと感じるなんて。ウミネコ恐るべし。更にこの日替わりが400ペタ、日本で言えば800円くらいで食べられるなんて、本当に恐るべしだ。

 リアルでは女の子と接したことがなさすぎて、女の子の気持ちが全くわかりません。家で飼ってる犬(黒柴、4歳、超可愛い)の気持ちよりもわかりません。書くのが超難しかったです。


 ちなみに僕のタイプの女性はオーバーロードのアルベド、魔都精兵のスレイブの出雲天華、カッコウの許嫁の瀬川ひろ、水星の魔女のセセリア・ドートです。


 次回もよろしくお願いします。

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