1517 *ミシニー* 26
魔法の訓練は剣の訓練より楽だ。小さな火球をぶつけ合うだけ。
「無理無理無理! 燃える! 燃えるわ!」
「燃えたくないのならグローブで受ける。魔法の指輪で撃つ。それだけよ」
サオリのほうで当たったグローブは魔法を吸い取る機能もある。なら、敵が放った魔法も吸い取れるってこと。魔法使い相手なら最強の盾となるでしょう。
魔法の指輪も装着者の魔力を吸い、溜める仕様だ。なら、まずわたしが装着して魔力を最大まで溜め込む。溜め込んだらマベルクに渡す。わたしは魔力を消費できてマベルクはその魔力を使える。これがウィンウィンってヤツでしょうよ。
「無理だって! 死ぬって!」
「しょうがないわね」
限界みたいなので止めてあげた。
「うーん。魔法戦はダメね」
剣は根性を見せたのに、魔法は一時間としないで音を上げてしまった。
「ミシニーの攻撃が速すぎるんだよ! 銃弾を浴びているかのようだわ!」
さすがに手加減はしているわよ。矢を射るくらいの速さじゃない?
「なら、わたしが受けるからマベルクは撃ちに専念しなさい。防御、苦手そうだしね」
わたしも魔法を受けるなんて久しぶり。撃たれる前に殺しちゃっているからね。
「わ、わかったよ。反射的に撃ち返さないでくれよ」
「大丈夫よ、安心しなさい」
マベルクの攻撃で慌てるほどわたしはマヌケじゃないわよ。勘も戻ってきたしね。
水を飲んで一息したらマベルクに攻撃をさせた。
魔法の指輪もグローブも精神力を使うので、一時間も続けると限界がやってきた。
それも慣れだと、午前は剣術。午後は魔法と、マベルクを鍛えた。
七日くらい続けていたら大陸の中間にある監獄灯台が見えてきた。
「案外、大きな島なのね」
「土魔法で大きくさせていったからな。今もタカトがホームを通して石を出しているはずだ。土魔法が得意な巨人も乗せてきたからさらに大きくなるんじゃないか」
あー、そう言えば、巨人も連れてきたんだったわね。小さいと人間にしか見えないから忘れていたわ。ドワーフも百人くらい乗っているし。
……思いの外、海を渡るドワーフがいて選別するのに苦労したとか言ってたわね……。
「タカトだ」
マベルクの声に空を見たらマンダリンが飛んでいた。
「タカトも忙しそうね」
「そうだな。子供と一緒にいてやりたいだろうに」
こんなことを素で言えるのがマベルクのいいところよね。タカトが気に入るのもよくわかるわ。
「何日か滞在するの?」
「三日くらいはいると思う。ドワーフたちも船の揺れで寝込んでいるからな」
そんなに揺れてはいないと思うんだけど、ドワーフたちには辛いようで、半分以上が寝込んでいたわ。
「航海って大変ね」
まあ、わたしも揺れない大地が恋しいわ。




