1516 *ミシニー* 25
船旅は暇だと聞いていたが、マベルクを鍛えるので充実していた。あと、運動不足も解消されている。
体は絞られたとは言え、腹部にはまだ肉が残っており、腕はプルンプルンだった。
まあ、誰に見せるということもないので放置していたが、船の温度は一定なので厚着していると暑くて仕方がない。自然と薄着になると肉が目立つようになった。
タカトはわたしの腹が出てようが、腕がプルンプルンだろうと、まったく気にしないだろうが、そこはそれ。わたしも女の端くれである。醜い体は見せたくないと思ってしまっても仕方がないじゃないか。
まあ、タカトはマンダリンで先に進み、ホームに入っているので腹の肉が見られることはない。監獄灯台まで引き締めるとしよう。
マベルク? こいつはわたしの腹に気を向かせている余裕はない。一瞬でも気を抜けば木刀の餌食となるんだからね。
「はい、そこまで」
限界がきたので木刀を振るうのを止めた。
実にいい相手だ。誰かに鍛えられたから辛うじて鉄印の冒険者くらいの強さになっており、剣術はそんなに得意じゃないわたしにはちょうどよかった。
「……あ、ありがとうございました……」
息を切らしながらも感謝を述べた。この辺はタカトに教えられたんだろうね。
「昼を食べたら魔法の練習だよ」
そう言い残して船内に入り、シャワー室に向かった。
「あーいい運動だった」
マベルクには申し訳ないけど、手頃な相手すぎる。強くはなく、激しくもなく、ただ体力はあるので三時間は動いてくれる。ありがたい限りだわ。
汗を流したら缶ビールで体内の熱を冷ます。カロリー消費が激しいから缶ビール一缶だけでは太ったりはしない。
「くぅ~! この一杯のために生きている!」
と言っても過言ではない。生の喜びを感じてしまうわ。
復活してシャワーを浴びたマベルクもやってきた。もう筋肉痛には慣れたようね。
……回復薬小を飲ませて強制的に筋肉痛を治しているんだけどね……。
余韻を楽しんだら食堂へ。専門の料理人が異世界の料理を作ってくれている。
パンと野菜汁、なんてものは出ない。五種類もの料理を作ってくれ、パンとシチューは食べ放題。まあ、節度を守って食べてますけどね。
「若いっていいね」
山盛りにした料理を飢えた魔物ように食べるマベルク。若いと代謝がいいから羨ましいよ……。
わたしはゆっくりよく噛んで食べる。暴飲暴食ダメ、絶対!
三十分かけて食べたらコーヒーで食休み。部屋に戻ってお昼寝タイム。あーこれはこれでダメにするわよね~。
でも、この幸せは捨てたくない。快適なんだもの。




