1515 *ミシニー* 24
魔力充填には二日かかり、ガーゲーで積めるものを積んだら出発することになった。
わたしは船橋に立たせてもらい、出発風景を見せてもらった。
「なんで海兵隊たちは甲板で敬礼しているの?」
「ガーゲーを守るエレルダスさんたちへの敬意を示しているんだよ」
「なぜ?」
「オレたち人間を戒めてもらうためさ。人間は百年と生きられない。学んだこともすぐ失う。それを補ってもらうのが長命のエルフってことだ」
コラウスでも同じことをしているが、タカトはなんかそれとは違うような気がする。なんだとは言えないが、なんか違うと思えてしまうのだ。
「ミシニーも長生きしてくれよ。真人がバカなことをしたら止めて欲しいからな」
「ふふ。甘やかさないんだな」
「この世界じゃないんなら人並みに育ててやりたいが、オレの息子ってことで貴族みたいな扱い方をされるかもしれない。自分は特別なんだと勘違いするかもしれない。そんな甘ったれたことしたらぶん殴ってくれ。ミシニーにはそれだけの地位を与えるから」
「地位はいらないが、甘ったれたことをしたら殴ってはやるよ。わたしは五十年先でも金印の冒険者として自由に生きているだろうからね」
まだまだわたしは現役。タカトの子が成人しても金印の冒険者の立場にいるはずだ。大の男でも負けたりしないわ。
「タカト。そろそろ潜るぞ」
「了解」
船長席に座るマベルクが海兵隊に船内に入るよう指示を出した。
「随分と気に入っているんだな」
わたしには普通の男に見えるが、それはタカトも同じだ。付き合いが薄いヤツはタカトのなにが凄いのかわからんだろうよ。
「ああ。理想の後継者だからな。教えてやれることはすべて教えてやりたいよ」
「そういうプレッシャーは止めてくれ。期待が重い」
「そのプレッシャーに打ち勝て。ギルドマスターになるんだからな」
「まったく、厳しい兄貴だよ」
ふふ。兄貴か。マベルクもタカトを信頼しているんだな。子供じゃなくて弟子を作ったほうがいいかな?
「あ、大陸に着いたらマベルクに魔法を教えてやってくれ。昔の駆除員が使っていた魔法の指輪を与えているんだ」
見せてもらうと、かなりの魔力が籠められているのがわかった。
「神代の道具か」
「ただの道具だよ」
タカトの悪いところは神代の武器や道具に敬意を払わないところだよな~。
「海兵隊が入った。クーズルース・ロクア、潜航せよ」
「潜航します」
船体が沈んでいき、海中へと潜った。
「船が潜るってのも不思議なものだ」
「すぐ飽きるさ。これと言って景色がいいわけでもないからな」
確かに。なんか通路を進んでいるだけだし。
「海に出るまで十五分くらいはかかる。コーヒーでも飲むか」
タカトもやることがないので台車を引っ張ってきてコーヒーを淹れ出した。




