1514 *ミシニー* 23
わたしに与えられた部屋はとても綺麗な部屋だった。
ベッドと机と椅子、物入れがあるだけだが、長いこと冒険者として生きていたら貴族の部屋並みに優れたものだ。
「窓がないのが唯一の欠点ね」
まあ、安宿にも窓がなかったりする。なのに、蝋燭代とか取られるんだからあこぎよね。
「このライトってのは目に優しいわよね」
昼のように明るく、目がチカチカしない。蝋燭や焚き火の明かりってあまり目によくないんだよね。
やることもないのでクーズルース・ロクアの中を探検することにした。
戦闘能力はなく、ほぼ輸送船というので、ほぼ倉庫──船倉のようで、そこにいってみたら空っぽだった。
「広いわね~」
馬車何台分になるのかしら? 寝そべれば巨人でも運べるんじゃない? 何十日と寝っ転がっているのは苦痛だろうけど。
ガコンと音がして、なにかが開いている音がした。
どこだと奥に進んだら壁と天井が開いていた。そこから入れるのね。
バルビーがぞろぞろと入ってくると、天井から荷物が降ろされてきた。なにかしら?
邪魔にならないように見ていると、タカトが階段から下りてきた。
「なにしてんだ?」
「荷物が運ばれているのを見てた。なにを積んでいるの?」
「マナックと発電機だな。ガーゲーで造ってもらったものだ。人も増えるからな」
「楽になるのはいいけど、楽に慣れるのは怖いわね」
「まーな。だからこそエレルダスさんたちには活躍してもらわないと」
タカトは技術を進めることに躊躇いはない。生きることを優先しているから、ってルシフェルが賛同してたっけ。
「まあ、冷たいビールを飲めるのはありがたいわね」
わたしはアイスソードをビールを冷やすためには使ったりはしないわよ。女神には敬意を払っているからね。
「そう言えば、酒を飲んでないみたいなこと聞いたが、またなんで?」
「う、運動不足で体が鈍ったからね。勘を取り戻すまで禁酒してるのさ」
どうやらタカトにわたしが丸くなったことは伝わってないようだ。ほっ。
「それならトレーニングルームがあるからそこで鍛えるといい。航海に出たら空に魔法をぶっ放すのもいいぞ。誰にも迷惑かけないからな」
「あ、ああ。そうするよ」
「じゃあ、オレはホームから食糧を運び出すから好きにやっててくれ」
忽然と消え、しばらくしてフォークリフトに乗って出てきた。
しばらくタカトの作業を眺め、トレーニングルームに向かった。
「え? モニス?」
トレーニングルームにきたら巨人のモニスがいた。いつの間に!?
「ここにくる途中で下ろしてもらった」
その腕にはラダリオンが使っている腕輪が嵌めてあった。
「あなたも海を渡るの?」
「ああ。山黒の別種がいたようで、退治を頼まれた」
山黒の別種? 海の向こうにもそんなのがいるんだ。ゴブリンだけ駆除していればいいってわけではないか。まあ、いい運動にはなりそうね。
「山黒なんていつ振りかしら? ちゃんと綺麗に倒せるかな?」
「エルフは恐ろしいな。巨人でも倒すは命懸けなのに」
そうなの? 巨人のほうが大きいのに。
「あれは燃やしてやれば簡単よ。呼吸できなくなるからね」
山火事にならないよう気をつけなくちゃならないけど。
「殲滅の魔女は恐ろしいよ」
巨人に恐れられるわたし。なんだかな~。




