1512 *ミシニー* 21
アイスソードを配り終えたミリエルに、ガーゲーへと送ってもらった。
話しには聞いていたけど、なんとも凄いところよね。要塞より発展しているわ。まるで別世界ね。
……マイセンズを見ているから冷静でいられるんでしょうね……。
「ミシニー・ロウガルドです」
「エレルダスよ。名字も役職もないわ」
ちゃんと挨拶するのはこれが初めて。都市の長をやっていただけに威厳があるわ~。
「タカトがくるまでお世話になります」
「ええ。ミシニーは、バーリング系なのね」
「わかるものなのですか?」
バーリングって名前は古くからある系譜だ。ミシニー・ロウガルド・バーリングが正式な名ね。
「ええ。エルフ種は髪の色でわかるものよ。マイセンズは駆除員の血が混ざったようだけどね」
確かに、黒髪のエルフは珍しい。マイセンズ系のエルフの髪は青だからね。ちなみにバーリング系は緑だ。ずっと昔に海を渡ってきたと言われているわ。
「まあ、わたしたちはもうマイセンズだ、エウロンだと言ってられないところにきているわ。今ここでエルフ種を一つに纏め上げなければ滅ぶのは間違いない。これが最後の機会でしょうね」
エルフが減らしているのは誰でもわかっている。まだコラウスに集まっているから減ったようには見えてないが、子供が産まれないのだから自明だ。百年後、エルフはもっと少なくなっているでしょうね。
「故に、タカトが重要となる、ですか」
「ええ。これから先、種族を纏める者が出てはこないでしょう。奇跡みたいな人ですからね」
それはわかる。タカトやサオリを見ていと、あの性格はニホンジン特有のものでしょう。
誰もが持っている特有のものだとしても能力まで一緒とは限らない。タカトとサオリの間には覆せないほどの差がある。いや、サオリを貶めているわけじゃないわ。サオリもかなり優秀なほうだ。あれがニホンジンの標準なんだと思う。
けど、タカトは違う。優秀の方向性がまるで違う。いや、いろんな方向に優秀というべきでしょう。ただ、戦闘面に優れてないだけだ。
「わかります。男女種族に関係なく、タカトの人間性に惚れた者はいますからね」
あんなのが他にもいたらニホンジンは恐ろしすぎる。けど、そんなニホンジンはいなかった。五年以上生き残ってないのがいい証拠でしょう。
「タカトさんをここで亡くしてしまえばエルフだけではなく、他の種族まで滅ぶでしょう。絶対に死なせてはならない人なのです」
エレルダスだけではなく、タカトを思う人が持つ、当然の認識でしょうね。
「そうね。敵がタカトの前に現れる前にわたしが焼き払ってやるわ」
わたしにできるのはそのくらいしかない。なら、ゴブリンの一万や二万、骨すら残らないほど燃やしてやるわ。
「ふふ。タカトが信頼するだけはあるわね」
「そちらもでしょう」
かなりエレルダスを信頼しているのは行動からも見て取れる。タカトのことだから自分が死んだあとのことを考えてエレルダスを信頼しているのでしょうよ。
「お互い、がんばりましょう」
握手を求められたので、しっかり握り締めてやった。もちろん、ってね。




