1511 *ミシニー* 20
魔力がごっそり持っていかれるのがわかる。
基本、マジン・ガーに充填された魔力を使うのだが、自身の魔力も流し込める仕様になっていた。のだが、割合を間違えると、命まで持っていかれそうだ。駆除員が死ぬのもよくわかるわ……。
自身の魔力を保ちつつ、土魔法を使いながら河に橋をかけていった。
稼働時間がそう長くないので、要塞に帰って魔力を充填。充填したらまた河に戻るを繰り返していると、なんか丸みが減ってきた。
……寿命まで減らしてないよね……?
まあ、長いこと生きたのだから寿命の十年や二十年惜しくはないか。こうして楽しく生きていられるんだからね。
橋も完成したので、次は護岸工事だ。河に溜まった泥を解しながら上流に向かい、土魔法で護岸していった。
「うーん。さすがにこれ以上は無理か」
自身の魔力を使っても要塞から十キロが限界っぽい。拠点防衛用だから仕方がないと言えば仕方がないんだろうね~。
要塞に帰り、マジン・ガーを壁に立たせ、オフしたらそのままお風呂に向かうとする。ここ最近のわたしのルーティンだ。
「こんな暮らしも悪くはないわね」
お風呂から上がればキンキンに冷えたビールを飲むと、さらに幸福感が湧いてくる。
毎日、魔力消費が激しいからかわたしの駄肉もかなり減った。いや、引き締まったかな? つかむ肉もちょっとだけ。体を動かして筋肉に変えるなら頃合いかもしれないわね。
わたしは基本、魔法で戦うが、剣で戦うこともあり、小剣は持っていたものだ。
「あ、ミシニーさん。アイスソードが届いたのでどうぞ」
休憩室で考えていたらタイミングよくミリエルがホームから出てきた。
「魔王と戦っている人で造ったの?」
あちらもあちらで大変よね。魔王と戦わされるんだから。
「はい。五十本は造ってもらったので二本くらい持っていきますか?」
「一本でいいわよ」
二本もあったところで使い道もない。ヒートソードも渡されているんだからね。
「必要になったらいつでも言ってくださいね。わたしは、主要な方々に配ってきますので」
なんか安く扱っているわよね。それ、神代の武器って忘れてない? もらえた人は名誉なことだと言っているわ。
「あ、そろそろタカトさんが戻ってくると思います。ガーゲーに向かうなら送りますから」
「へー。もう帰ってくるんだ」
「魔力充填と食糧を運ぶためです。あと、移住するドワーフも運びますね」
「ドワーフたちは納得しているの?」
端から見たら未開の地に放り出すようなものなのに。
「ドワーフたちは望んでいきたがってますね。タカトさんの役に立ちたいと考えていますから」
「タカトも種族を纏めるのも大変ね」
どこかの種族を優遇するわけにはいかない。平等に扱わないと不平不満が上がるからね。
「タカトさんなら大丈夫ですよ。種族の違いなど髪型が違うくらいにしか見てませんから。気をつけないといけないのは連れ込まれないようにすることだけですよ。強い女はたくさんいますから」
あはは。確かにそうね。タカトも男。体は正直だ。子をこさえらる方法を持っているの女に狙われたら逃げられないでしょうよ。
「わたしも気をつけておくわ」
わたしはタカトを襲う気はない。大切な友達だからね。
「お願いします。タカトさんが望めば別ですけど」
「タカトはしないでしょうが、タカトは溜め込むからね。発散させるためなら女を用意するわ」
タカトを失ったら困る者ばかり。それを身に染みてわかっているからシエイラも許しているのだ。
「ありがとうございます。わたしたちでは慰められませんから」
ミリエルたちは家族だ。手を出すなんてことは絶対にしないでしょう。出させるなら媚薬でも飲まさせないといけないでしょうよ。
「では、いってきます」
「いってらっしゃい」
ミリエルを見送り、二本目のビールに手を伸ばした。




