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1280 有機情報脳うんたらかんたら

 マーダ村は順調のようなので、ドワーフの町となったミロイドに向かった。


 道を作るようにお願いしていたので、パイオニア六号が通れる幅はあり、快適に走らせていたらドワーフの一団と出くわした。


「うん? 確か、ミリエルの護衛をしてた……」


 その中にP90を装備した女性がいた。見覚えはあるが、名前が出てこなかった。


「ライカだよ」


 そうそう! そんな名前だったわ。カメラの名前みたいとか思ったっけ。


「どうしたんだ? 里帰りしたって聞いてたが」


 ミリエルがそんなこと言っていたはずだ。


「休みをもらって帰るところさ。一度、残してきた仲間や家族に会いたいっていうんでその護衛を頼まれたんだよ。ルースミルガン改は館に置いてあるから」


 ざっと三十人か。随分と多いな。


「それならマーダ村でルースブラックに乗せてもらえ。歩きだと大変だろう」


「あたしらはその大変を乗り越えてきたんだよ。こんないい道ができて苦労なんてないさ」


 言われてみればそうだった。ほんと、よく越えてきたもんだよ。


「足りないものがあるなら持ってくるぞ。EARの予備があるから持っていけ」


 いつもミリエルを守ってくれているからな。お礼をしておこう。


「大丈夫だよ。ミリエル様に稼がせてもらっているからね」


「遠慮するな」


 ホームに入り、EARを四丁とカロリーバー、薬を一箱持ってきた。


「もし歩くのが辛ければマーダ村でルースブラックを待て。連絡を入れておくから」


「ありがとよ。無理なときはそうするよ」


「ああ。ミリエルを頼むな」


「あいよ。任せな」


 ライカたちとはそこで別れ、十六時前にミロイドの町に到着した。


 去年か? ミロイドの町にきたのは? 一年は過ぎてないと思うが、前のような景色は残っていなかった。砦もなんか変わっているよ。


 家もバラック小屋から家と呼んでも差し支えないくらいになっており、道と側溝まで作られていた。


「変わるときは一気に変わるものだ」


「使徒様!」


 え? ここでも使徒呼びされんの? 前は……なんて呼ばれていたっけ? まったく記憶にないや。


「暮らしはどうだい?」


 集まってきたドワーフたちにどんなもんかを尋ねてみた。


「快適です! 毎日食べられないて、屋根のある家でぐっすり眠れるんですから!」


 概ね不満はなさそうだ。ただ、酒が飲めないのが辛いそうだ。あとでワインを巨大化させてやるとしよう。


「ゴブリンは出ているか?」


「いえ、まったくです。請負員たちが嘆いていました」


 やっぱりか。まったく、ゴブリンはいてもいなくても迷惑な存在だよ。まあ、無軌道に請負員を増やしたオレにも責任はあるけど!


「タカト」


 と、ルスルさんがやってきた。


「お久しぶりです。町の暮らしはどうですか?」


「まずまずですね。今年の冬までが勝負でしょう。今、急いで畑を広げていますよ」


 その畑は要塞の裏にあるそうだ。芋やら豆を植えまくっているそうだ。


「なにか、巨人のところまで麦が行き渡っているみたいですが、なにかありましたか?」


「都市国家からだと聞いていますよ。なんでも船で運んでいるそうです」


 もう一隻のクーズルースか? あれはガーゲーに任せているからどうなっているかよくわからんのだよな。マリットル要塞に移民を乗せる話はあったが、オレは関わってないのでどうなっているかわからんのよね。


「じゃあ、毎日パンは食べられているんですね」


「ええ。城の倉庫にも集まっているそうです」


「王都から寄越せとは言ってきてないんですか?」


「ミヤマランが高く売りつけているそうですよ。あそこの公爵様は狡猾ですからね」


 あの人なら上手くやってそうだ。それでさらに権力を高めているんだろうよ。王都には娘さんもいるしな。


「しかし、ミロイドにいながら情報収集を欠かさないのはさすがですね」


 セフティーブレットの支部はあるとは言え、集めようと思わなければ情勢を知ることはないだろうよ。


「わたしもプランデットを覚えましたから」


 頭がいい人はなにをやらせてもそつなくこなすよな。羨ましい限りだ。


「それなら各地の情報を検索できる機能を教えますよ。一応、館の情報収集体に情報を送っていますので、各自のプランデットから集めた情報を閲覧できますんで。ただ、ここからだと魔力をかなり必要とするので発信器を三つくらい打ち込んでおきましょう。マナック切れに注意してくださいね」


 要塞周りに発信器を打ち込む。最初に打ち込んだ発信器と合わせたらマガルスクやロンレアまでたなら届くんじゃなかろうか?


「設定を教えますね」


 エルフ語なので戸惑いはしたが、それでもメモしながら教わっている。ほんと、頭のいい人は集中力も高くて嫌になるよ。


「……よし。繋がった。おー! 凄い! 情報が綺麗に収められている!」


 それは人工知能のお陰です。有機情報脳うんたらかんたらってヤツが情報を精査して記録分けしている。


 古代エルフは都市によって技術が違ったりするからマイセンズの記憶(記録)にはないんだよな。だからオレもその有機情報脳うんたらかんたらに手が出せないんだよな。


「まあ、各地の情報を見てください」


 世界状況に詳しくなれる人はいくらいてもいい。オレのキャパはそんなに大きくないんつなわな。

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