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1265 ミルズガンにダストシュート

 マンダルーガーやルースミルガン、カロリーバーなどを出したら夜中になっていた。


 汗を流したらシエイラと子供のところに向かう。


 子供は眠っていたが、シエイラは起きていたのでホームに入るよう促した。


「久しぶりに風呂に入るといい」


 体力は完全に回復しているので一人でゆっくり入るといい。ビールも飲む……わけにはいかんか。母乳を与えなくちゃならないんだから。


「上がったらすぐ出るわ。子供といたいから」


「オレもいこうか?」


 是非、いきたいのだが。


「明日もあるんでしょう。ゆっくり休んで」


 それはオレのセリフなんだが、父親として少しでも育児に参加したいのですが……。


「しっかり稼いできてね」


 これがここでの当たり前なのか? 父親は育児に参加できないのか? 絶対、子供の記憶にオレは残らないよね……。


 仕方がないのでホワイトラベルを半分くらい空けて眠りについた。子供のためにも毎日ウイスキーを飲むためにもがんばろうっと。


 起きたら雷牙が中央ルームで眠っていた。どした?


「徹夜でミジャーの粉を撒いていたみたいよ」


「そんな張り切らなくても」


「マサトのためにってがんばっているみたいよ」


 ハァー。それなら父親たるオレはもっとがんばらないといけないじゃないか。今が子供といれるチャンスなのに……。


 ミリエルが起きてきたので、九時くらいにダストシュートしてもらえるように伝え、朝食はシエイラと子供と一緒にいただくとする。


「なんか肉が増えたな」


 野菜の種類も増えている。春野菜か?


「ゴブリンがいなくなったから家畜が襲われたり野菜を盗られたりしなくなったそうよ。街道の往来も増えたから魔物も近づかなくなったみたいね」


「そっか。食糧問題は解決した感じだな」


「まだ余裕はないみたいよ。麦の倉庫は空だからね」


 そう簡単に解決はしないか。食糧自給率って、そう簡単には上がらないものなんだな。すぐにどうこうできるもんじゃないんだな、農業って。


「じゃあ、いってくるよ。なるべく帰ってくるから」


 海を渡らない限り、一日二日で帰ってこれる。子供に忘れられないよう帰ってくるとしよう。


「無理しないでね。こっちは大丈夫だから」


「ああ。無理にならないていどに帰ってくるよ」


 ラダリオンによろしくと頼み、ホームに入ってミリエルにダストシュートしてもらった。


「ここがミルズガン公爵領か」


 魔王軍の侵略から逃れただけあって領都はそのまま残っている。かなりの規模の街だな、こりゃ。


 ダストシュートされた場所はセフティーブレットの支部前。城壁の外だ。


 ルースカルガンやルースミルガンなどが離発着しなくちゃならないから領都の中に築くわけにはいかない。近くに建物があっても困るから二、三キロは離れてそうだ。


「結構な数を雇っているんだな」


 別に空港を造っているわけでもないのに、二百人くらいの人が地面を均していた。


「雇ってくれと集まってくるんですよね。追い返すのもなんなので、カロリーバーを報酬として出しています」


 出てきたミリエルが教えてくれた。


「こっちも畑が元どおりになるのはまだ先のようだな」


「そうですね。今年は無理でしょう」


 巨人を連れてきても暮らす場所の確保やら食料の確保でさらなる問題を引き起こす。それならミルズガンの民にやらせたほうがいいだろうよ。


「土地はどこまで借りられたんだ?」


「とりあえず、見える範囲はセフティーブレットが借り受けました。とりあえずガレージにある手押しの耕運機を使って畑を耕しています。あそこです」


 指を差す先で確かに耕運機が地面を耕していた。


「人の手よりは早いとは言え、さすがに広大すぎるな」


「まあ、今年は耕すのをメインにして、豆でも蒔こうと思います。家畜も増やさないといけませんから」


「家畜、いるんだ」


「サオリさんたちが時間を稼いだようで、近隣の村からかなりの家畜を運び入れたそうですよ。わたしたちも羊と鶏を買って飼育しています」


 案内してもらうと、柵に囲まれたところに羊が十匹くらいおり、その横には鶏の小屋があった。


「おー。健康そうだ」


 カロリーバーを砕いたものを食べさせているようで、なかなか毛並みがいい。鶏も元気に丸々と育っており、これなら増えるのも早いのかもしれんな。


「マスター。新たに雇った職員たちです」


 ロイスが雇い入れた職員を連れてきた。


「結構な数を雇ったんだな」


 二十人くらいだろうか? なかなかの数を雇ったものだ。仕事あんのか?


「実は、生け捕りしたゴブリンを各地に放っています。将来のために雇い入れました」


「ゴブリン、いたんだ」


「はい。領都の裏の山に千匹近くの群れがいました。カロリーバーを食べさせて肥えさせたので増えるのも早いと思います」


「お、それは助かる。来年には豊作になりそうだ」


「はい。エサもばら撒いているのでもしかすると秋に収穫できるかもしれませんよ」

 

「害獣がいまや資源か。女神が怒らなきゃいいが」


 まあ、ダメ女神としたら知的生命体が一万年(残り五千年か?)生き抜いたらそれでよし。ゴブリンを全滅させなくても問題はないと思っているんだろうな。根絶やしにしろとか言ってなかったし。


「じゃあ、サオリさんのところにいきますか」


「そうだな。じゃあ、仕事を頼むよ。安全第一、命大事に、だからな」


 そう言ってそれぞれマンダルーガーに乗り込み、領都に向かって発車させた。

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