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第7話 続アリスの謎解き

 「アリス嬢よ!どういうことだ!?」


「1年前のことです。とある者が側妃様の実家である侯爵家に侵入しました。侵入したことは褒められることではありませんが、あることを聞いてしまいそこで閉じ込められたそうです。それは、【アルト王子を後継者争いから蹴落とす計画】です」


「そんなことあるわけないわ。根拠もなしに我が家を陥れるとは聖女の名が聞いて呆れるわ!」

バロン侯爵家を実家に持つ側妃のコーネリア様が、アリスを睨みつけている。


「私はどちらの側妃様とは言っておりませんけど」

アリスがニッコリ笑った。


「それに証拠がないとも言っておりません。こちらをご覧ください」

アリスが1枚の紙をポケットから取り出して陛下へ見せる。


「これは!!」

陛下は目を見開いている。


あの手紙はアリスがトムから受け取った切り札だ!


アリスが陛下に渡したのは「御父様へ」とタイトルが書いてある紙。

内容は……第1段階は成功した。第2段階はアルト王子の乳母に似たアンを王子の宮に送ること、油断しているであろうところで人の心を操ることのできる毒を紅茶に入れさせること。そして、王子を操りランドマーク公爵家のサリーシャを処刑させることで王子を後継者争いから外し、ランドマーク公爵家と王家の関係を悪化させ、自分の息子を王太子にすることが書いてある。

侯爵家の秘薬「信頼している者を強く信じる薬」を届けさせるように、この手紙は読んだらすぐに燃やすよう指示していた。

差出人のところはコーネリアと記されている。



「そんな紙が存在するわけない!」

バロン侯爵は目を見開き怒鳴っている。


「侯爵家に侵入した者が火を入れる直前の焼却炉から拾ったそうです。拾った時にはインクがこぼれており、内容がわからなかったそうですが、私が浄化するとこの通りです。浄化は私が汚れと認識したものを除去することもできるんですよ。インクがこぼれたからといって大事な手紙をそのまま捨てるのは不用心ですね!」


「そ、そんな……」

バロン侯爵は膝を付き頭を垂れている。


「御父様!!手紙はすぐに燃やすように書いていたではありませんか!!」



――――――――


 それからわかったことだけれど、「信頼している者を強く信じる薬」は心が非常に弱っている者にしか効かないそうだ。アルト王子の心が弱った原因は乳母の死だ。それさえもコーネリアの計画だったらしい。


側妃コーネリアとバロン侯爵は王子に毒薬を飲ませる指示を出した罪と乳母の殺害教唆で処刑された。側妃コーネリアの息子である王子は母たちの企みを止めることが出来なかったとして王籍剥奪、臣下に下ることとなった。



浄化され目が覚めたアルト様は心身が弱っていたところに毒薬を飲まされ、情状酌量の余地があると罪には問われなかったがサリーシャとの婚約は解消されることになった。


王家とアルト様本人からもきちんとした謝罪はあったが、私がアルト様が怖かったのだ。冷たい目、あの言動、1回処刑されているという恐怖………無理でしょう!

アルト様有責という形での解消ではあるが、婚約解消の傷物の私ではこの国での婚姻は無理かもしれないがまあどうにかなるかな。



アルト様は将来王になるには弱い!!と、陛下に叱咤され騎士団長に預けられ色々と鍛え直すこととなった。


「アリス!!私の呪いを解いてくれてありがとう。それに乳母の敵まで!私は君のために強くなるよ。君の隣に立てる男になる」

アルト様の目がキラキラと輝いている。なにか目標を見つけたようで何より。

アリスは死んだ魚のような目をしてアルト様を見ている。





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