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第2話 アリスとサリーシャ

 「テレポート」というこのチート過ぎる能力には使用にも条件がある。

①このイベントで使えるのは3回まで

②サリーシャも含めて一度行ったことのある場所に限定される


まず来たのが「サリーシャの部屋」だ。

ここは捜索の手が伸びるので今日しか来れない。


「ここは!?わたくしの部屋ですね。送って下さってありがとうございます」

サリーシャは不安げな顔で微笑んでいる。


「サリーシャ様!送ってきたのではなく私と一緒に8日間逃げるんですよ。貴方1人では逃げ切れないのです。えーと、私の力が必要と先読みで見えました」


「でも、アリス様は逃げる必要もないのに巻き込むなんて……それにアルト様にあんなことを言われるなんて私……」

サリーシャは涙をこぼし始めた。

泣いている元私(サリーシャ)を見るとなんだかイライラしてしまう。私はこんなに弱かったっけ?今はグズグズしている時間はない。


「サリーシャ様!いえ、サリーシャ!!貴方はそんなに弱い人だった?混乱してるのはわかる!でもね、お父様もお母様も遠方にいて貴方を助けられない。陛下もいない今は第一王子に逆らえる人はいないの!」

私はサリーシャの肩を掴みしっかり目を合わせて叫んだ。


目をパチクリさせたサリーシャだったが

「そうですわね!泣いてばかりでは何も出来ないわ。アリス様、力を貸して下さい!」


私はニッコリと微笑んだ。そう、サリーシャは強かったはず!


私たちは旅行用のトランクを引っ張り出すと、着替えや食料を詰め込んだ。小さなカバンにはお金も忘れずに入れておく。


「さて、次はどこに飛ぶんだったかな?」

真理の記憶を思い出してみる。いくつかの選択肢から選んだはず。


「公爵家の別荘はどうですか?つい最近使用した別荘があります。あそこなら色々揃っているはずです」


「それだ!」

乙女ゲームの中でも最初はサリーシャがヒントを与えてくれるんだ。


「テレポート!!」

王都から遠く離れた公爵家の別荘へと飛んだ。



公爵家の別荘は手入れが行き届いており、今日はここで休むに申し分ない。

何かあったときに困らぬよう主寝室は使わず客間のツインのベッドルームで就寝することにした。


――――――――


 その頃卒業パーティーの会場では


「アリスたちを探すんだ!優しいアリスはサリーシャを助けようとして逆にサリーシャに攫われたに違いない!!」

アルト王子は衛兵たちに指示を出している。


ふうっとアルト王子がため息をつくと

「アルト殿下、こちらをお飲みになって下さい。気持ちが落ち着きますよ」

どこからか現れたアルトの乳母がワインを手づから飲ませる。


ワインを飲み干したあと焦点の合わないアルトの耳元で乳母が何か囁く。 


「サリーシャは処刑しなければならない。アリスは守らなければならない。アリスは時間……」

アルトがブツブツと呟いている。


それを聞いた乳母はニヤリとほくそ笑んだ。



「サリーシャを探すんだ!急げ!陛下が帰ってくる前に全てを終わらせるんだ!」

アルトは焦点の合わない目で指示を出したあと、乳母に支えられながら王城に帰っていった。


――――――――




 逃亡2日目〜4日目、公爵家の別荘の周りに結界を張ってすぐに逃げられる準備をして潜伏する。

ここで日数をかせぐ。5日目に追ってが現れたら王都へテレポートだ。


ここまでは真理のときにやっているからわかる!

あとは、どうしたものか??


3回目のテレポートで王都に戻り、今までアリスが誑かしたじゃなくてイベントクリアで増やした攻略対象たちに匿ってもらうのだ。この攻略対象たちはイベントクリアし、その後さらに好感度をあげておりほぼ攻略済だ。


攻略対象のところを訪れる順番で、イベントクリアできるか衛兵に捕まってしまうか決まるはずだ。


別荘での生活でサリーシャと私はだいぶ打ち解けられたと思う。

サリーシャはアリスがアルト王子に手を出したという認識だったはずなので、今回の件も含めて丁寧に誤解を解いた。

こういうふうに話を持っていけば自分なら納得できるとわかっているのでやりやすい。


アリスの記憶を思い出すと嫌がらせの黒幕にサリーシャがいると思っていたらしい。サリーシャはもちろん嫌がらせも階段から突き落とすなどしていない。

でも、それをアルト王子に言ったことで事が大きくなってしまったと思っていたのでそれをサリーシャに伝えた。


お互いごめんね合戦になってしまった。

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