あのこ
あの子はたまに、うつろな目をする。
そのたびに私は、なぜかと不思議に思うのだった。
その子は大きな想像力を持っていた。
私が持っているようなマイナーな知識なんて遠く及ばないくらいたくさんの知識を持ってて、
普通の人なら好き好んで聞かないような曲を聴いていることもしばしばあった。
その子の描く絵は独特だった。
デフォルメ化されたアニメ絵が好かれる中、彼はあえて無機質な絵を好んで描いた。
そのことをその子に聞くと、描けないことはないけど疲れるから書かないかな、とぼやけた声で返してくれた。
その子は話すのがうまかった。
その子曰く昔はあるゲームで管理する側にいたそうで、そこでいろいろなことを学んだそうだ。
もう二度とやりたくない、とも言っていた。
あの子はたまに、うつろな目をする。
そのたびに私は、なにか不安めいたものを感じるのだった。