転生
しばらくフィオーネ視点です。
(そなたよ…今こそ全てを思い出す時です……$⁰๑"ತ様…リア様…セリア様!)
はっと目が覚めた。そして…
「そ、そうよ思い出した!わたしは…わたしはセリア。そうよ、セリアよ。」
ある日突然変な夢を見たことで自分のことを思い出した。
ビクトル家の次女フィオーネとして何一つ不満もなく、そして、可愛く育てられてはや5年が経とうとしていた。その日の夜に見た夢で思い出した。自分の運命や使命を…
「フィオーネ様?いかがなさいましたか?大丈夫でしょうか?」
わたしが大声をあげてしまったから執事のサルティーオが来てしまったようである。
「サティー、大声をだしてしまってごめんなさい。虫かと思って大声をだしたら、ただのペンのインクでした。」
「...フィオーネ様?…本当にどうしたのでしょうか…熱でも引いたのでしょうか?もしや流行の病でも…?」
「え、いや大…うるさい、しつこい、帰れ!」
「し、失礼いたしました。」
ああ、そういえば、フィオーネはわがままっ子でした。ああ、自分よ何故わがままに育ってしまったのか。
まぁ嘆いている暇などない。今の自分の身を思い返してみよう。
思惑通りナランダに転生できたようである。ひとまずホッとした。
ここは、ブランシュネージュ王国。平和で、豊かな国であることは間違いない。
ここではナランダの他の国と大きく違って奴隷制の禁止を謳っており、そして、王国と名が付いているが、王が政治を何でもかんでもできる国というわけではない。
簡単に言うと天皇みたいな?他国に赴いて色々と行なっているだけらしい。ああ、イギリスみたいな感じで伝わるかしら?
そしてわたしはビクトル家の次女フィオーネとして今ここに存在している。母の綺麗なツヤのある黒髪とと父の黄色みがかった綺麗な目を受け継いだわたしは自分で言うのはなんだが、結構可愛い…
また、ビクトル家とは名門の貴族である。王家とも一応政略結婚によって繋がっている…らしい。
ビクトル家では5歳からしか魔法を教えてもらえない。他の家では珍しいのよ。魔法は早ければ早いほど才能が開花すると言われているから。
ただ、小さい子供の魔法の暴走による事故は少なくない。そういった理由からビクトル家では教えていないのかもしれない。
つまり…今日から魔法の練習が始まる。ああ、だから目覚めたのか。
「フィオーネ、起きたかい?朝ごはんができたってよ。」
これはビクトル家の長男…つまりわたしの兄であるラシリアの声である。
「お兄ちゃん!ちょっとまって!すぐ行くからここで待ってて!」
「早くしないと先行ってしまうからね?」
はぁ…わがままっ子って大変だ。
まぁ五歳の貴族の子がおしとやかで無理一つ言わない子だったら逆にびっくりする。
しかし今のままだと幸せなんて掴めない。わがままっ子なんて変なところで恨みを買って殺されるのがオチだわ。
しかし突然わがままを言わなくなると、今日の朝のサティーの様な対応をとられるかもしれない。
いや、あれはまだいい方だわ。フィオーネが偽物になったと騒がれて、家から追放されるかもしれない。
とりあえず、少しずつわがままを減らすしかないなと思っていると。
「フィオ?まだかい?」
「えっ…あ、ごめ……終わったよもう。えへへー、食堂に行こっか。」
お兄ちゃんのことすっかり忘れていた。ごめん…
ちなみにお兄ちゃんは半年ぶりに帰ってきたのだ。わたしに魔法を教えるために。
魔法を使えないことにしなきゃいけないのに、お兄ちゃんが教えるとか…ふっと使ってしまいそうで怖い。
まぁそれは頑張るしかないか。
そんなことを考えていると食堂についてしまった。
「おはよう。愛しのフィオ。」
「おはようございます。お父様。」
いつものように挨拶して朝ごはんを食べ始めた。
「フィオ。いよいよ君も5歳になった。魔法を習う日が来たね。」
「フィオ。魔法は僕が教えるよ!だから頑張ろうね。」
「フィオ。大丈夫よ。魔法は危ないものではないわ。大丈夫。きっとフィオにも使えるわ。」
まぁ5歳の誕生日といえばビクトル家では魔法の話で持ちきりになる。
「ありがとうございます。お父様、お兄様、お母様。」
両親と兄には申し訳ないが魔法を封印することにしているので、期待を裏切る形になることに胸がちくりと痛んだ。
仕方がない。魔術で実力を見せればいいのだ。
多分大丈夫。と自分に言い聞かせていると。
「フィオ、魔法教えるの午後からでいい?」
「わかりましたわ。お兄様。」
午後から教えてもらえるらしい。
つまり午後までにこれからどうするか作戦を立てなきゃいけないのね。
少し時間がないかもだけど仕方がない。自室に戻って作戦会議だ!
ナランダについての補足説明
ナランダとは一つの惑星だと思って構いません。
ただ、地球とは交われない、異世界ですね完全に。
そしてここでは魔法が使えます。国によって得意な魔法とか、そもそも魔法がどの程度発達しているのかは違います。
ちなみにブランシュネージュ王国では氷と水の魔法が盛んです。また、民のほとんどが魔力を多く持つため、魔法が盛んな国です。
そして魔術はほとんど発達してない国です…。
読んでくださってありがとうございます!これからも頑張っていきますので、コメントなどぜひお願いします。