データの引継ぎ
「いらっしゃいませ! ご主人様!」
「ここはメイド喫茶か?」
駅娘の出迎えを受ける望たちは、東京メトロ銀座線の三越前駅に着いた。
「駅娘! ここの敵のレベルはいくらだ!?」
「さまよえる三越前人のレベルは50です。」
「やっぱり50か!?」
2時間を使いレベル上げをしてきた望たちであったが、自分たちよりもレベルが敵の方が上であった。
「もう、無理よ。諦めましょう。私たちにはLAWS国家試験に合格するなんて無理だったのよ。」
いつもは励まし役だった希の方が絶望に苛まれる。
「何か方法はないのか? 何か方法は?」
望は、必死で東京メトロ銀座線の路線図を血眼になって見る。
「こ、これは!?」
望が何かを見つけた。
「あったぞ! 突破する方法が!」
「え?」
「希、僕と一緒に死んでくれるか? 一か八かの賭けに出る!」
ゴニョゴニョと望は希の耳にヒソヒソ話をする。
「ほうほう。おおー! その手があったか!」
望の話を聞いて、納得して元気を取り戻す希。
「一人ではダメかもしれない。でも、僕と希の二人いれば、希望になる!」
共通目的意識を持った二人の表情に迷いはなかった。
「いくぞ! 希! 死ぬ時は一緒だ!」
「私は死ぬ気はないわよ! 生きて、生きて、ここに望と二人で戻ってくるんだから!」
望と希は、さまよえる三越前人レベル50に特攻していく。
「あいつら、死ぬことを選んだか? 敵のレベルを上げすぎたかな?」
その頃、LAWS国家試験の試験管たちは、望たちの様子をカメラを通して見ていた。
「自業自得だよ! 売れ残りの我々が見ている前で、イチャイチャするから悪いんだ!」
「アアー!?」
「どうした!?」
「あいつら、さまよえる三越前人レベル50と戦っていません!?」
「なにー!? スルーだと!?」
「敵前逃亡は銃殺だ!」
さすがのLAWS国家試験の試験管たちも、望たちが戦わないで逃げることは想像できなかった。
「神田駅、突破ー!」
望たちは、三越前から、隣の神田まで逃げてきた。
「この辺の敵のレベルは75くらいだろうな。絶対に刺激するなよ。」
「大丈夫よ。私は望と違って、おっちょこちょいじゃないもの。」
まだまだ望たちは全速力で駆けていく。
「僕たちは、必ずデータを引き継いで見せる!」
果たして望たちの目的の地とは。
LAWS国家試験2次が開始して、13時間。残り6時間。現在、18時。現在、11個目の日本橋駅を突破。残り8駅であった。
つづく。




