終電
「上野まで行くわよ!」
望は、まだ治安がマシであろう上野まで行きたいと主張した。
「そのためには、さまよえる日暮里人レベル70を倒してくださいね。」
日暮里の駅娘がクエストを告げる。
「クソッ!? なんでも、さまよえると名前に付けると良い思っているんだから!?」
そろそろレベル99の望と差が縮小してきたので、望の戦いも過酷さを増してきた。
「皇帝斬り! 天皇斬り! 英語にしたら、どっちも、エンペラー・斬り!!!」
「ギャアアアー!?」
望は日暮里のクエストを突破した。
「急いでください! もうすぐ終電ですよ!」
「ありがとう! 駅娘!」
望たちは、日暮里の駅娘に感謝の別れを告げて、電車に乗って次の駅を目指す。
「いらっしゃいませ! 鶯谷へ!」
望たちは、14個目の駅、鶯谷に着いた。
「駅娘、ここの課題は、さまよえる鶯谷人レベル75を倒すでいいんだろう?」
「違います! 勝手に決めないでください!」
「え? 違うの?」
「さまよえる鶯谷人のレベルは90です!」
「おお!? インフレしてるな!?」
鶯谷の駅娘は、鶯谷人のレベルは、90だと告げる。
「僕に倒せるか? レベル90の鶯谷人!?」
望と敵の戦いは熾烈を極める、かに見えた。
「あれ? 望。アナタのレベルが100になっているわよ?」
「え?」
僕は自分のステータスを見た。なんと最大レベル99を突破して、いつの間にかレベルが100になっていた。
「駅娘!? このLAWS国家試験の最大レベルは99じゃないのかよ!?」
「レベル制限は、特にありません。ニコッ。」
駅娘は、笑って誤魔化すのだった。
「なんだとー!? ということは、無事に山手線を一周して渋谷にたどり着いても、渋谷のハチ公のレベルが1000とかで、絶対に勝てないとかいう、オチが待っているということか!?」
望は、最悪の場合を考える。
「どうでもいいですけど、鶯谷人に勝たないと、終電を乗り過ごしますよ?」
「それも困る!」
望は、目の前の最悪の場合に備えるために鶯谷人と戦う。
「た、た、倒したぜ、ガクッ。」
望と鶯谷人のレベル差は10しかないので、勝っても望は傷だらけである。
「良かったわね。終電でゆっくりと眠れるわね。」
望は終電に乗って上野に向かうのであった。
LAWS国家試験、開始から15時間経過の24時。望たちは、現在14個目の鶯谷駅を突破。残り時間は14時間で15個の駅を突破しなければいけない。
つづく。