2.ペイント弾
(なっ、何故こんな所にホムンクルスがっ!)
吹き飛んだマニピュレータがぶつかり崩れた壁の奥に見慣れぬ二機のホムンクルスが見える。
ピンクの機体に乗った、シェイン・ラグリーは短めにカットされた赤い髪を苛立ち紛れに掴み引っ張っていた。
(新手?でも、まともな武装はないし、そもそも起動してない?)
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「コウ…ど、どうしよう。」
ミリヤから不安げな通信が届いた。
「落ち着け!とりあえず、起動はするな。気づかれてないかもしれないし、人が乗っていないと思って攻撃してこないかもしれない!」
「う、うん。」
しかし、二人の淡い期待は即座に崩れ去る。白い機体のうち一機がビーム砲の銃口をこちらに向けていた。
(300口径ビームライフル!あんなの一溜まりもない!)
「ミリヤ!起動だ!壁に隠れろ!」
コウイチは叫びながら機体を高速起動させ、壁の裏に向かって跳んだ。
コウイチの機体にビームライフルが掠めた。しかしなんとか二人とも壁に隠れる。
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(取り敢えず、共和国軍ではなさそうね。何だってこんなところに一般人がしかもあんなのに乗ってんのよぉ)
シェインはガシガシと頭を掻いた。
「でも、これがチャンスってやつでしょうね!!!」
ピンクの機体が、所属不明機に攻撃していた機体を目指し地をかける。
機体はこちらに銃口を向け直す。
そして白い機体が赤く染まった。
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「やぁりぃ!直撃3点だぜ!」
コウイチはペイント弾を放っていた。
高校の部活程度で火器を持つことはできない。
そのため、様々な高校の合同で行われる操縦技術大会ではペイント弾での模擬戦が行われ、コウイチはこの大会で優勝していた。
「やめなよ!そんなことしたら狙われちゃうよ!」
「どうせ気づかれてんだから、軍の機体に何とかしてもらうしかないだろ!」
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メインカメラを潰された白い機体はがむしゃらにビームライフルを放つ。
(いい腕をしている!あの距離でメインカメラを撃ち抜くなんて)
「もらったぁぁぁ」
がむしゃらに飛んでくるビームを躱し、シェインは超振動ブレードをコックピットに突き刺した。
白い機体はそのまま機能を停止した。