モンスター招喚をこっちの世界で出来るか否か…
吉田は液晶画面に映る異世界の様子を凝視していた。
それこそ、Iパッドを穿つかのように。
「ねぇ、早く逃げた方が良くない? うちらを連れにやって来るかもよ?」
松山沙良が危惧する。
「確かに」
「……もしかしたら出来るかもしれない」
「は? 何言ってんのおにーさん」
松山は女性らしい長い髪を揺らし、首を傾げる。
「この魔法陣を描けば、僕らもモンスターを召喚できるのかもしれない」
吉田のまさかの発言に巨漢:石本と、美女:松山は絶句した。
「いやいやいやぁ~。そんなまさかぁ~」
ははは。と、松山は苦笑。
「あのモンスター招喚の儀式はあの世界で、あの世界の住人だからこそできることじゃないのか?」
「そうそう。このデッカイおにーさんの言う通り!」
しかし、吉田は真剣な表情を崩さないし、憤慨もしない。至って冷静だ。
「その考えは一理あるね。でも、それだって根拠はない。試してみなければ分からないことじゃないか」
吉田の考えもまた一理あるものだった。
石本&松山は困惑した表情で互いに見合う。
吉田は立ち上がり、
「よし。とにかく、やってみよう。試してみない事には何も始まらない」
「おにーさん、正気? んまー、試す価値はあるかもだけどさ……」
「とりあえず、離れて広い場所に出よう」
一同は別の場所へ移動を始めたのだった。
果たして、モンスター招喚はこちらでも可能なのか? 果たして……?