うまい話
旅行客たちはガイドに導かれ、ゲートへと入って行く。
吉田と石本はこっそり茂みへと隠れる。
「よし。まずはこいつだ」
吉田がリュックから取り出したのは箱。その箱を開けるとドローンが入っていた。
「これはもしかしてドローンか? 実物見るのは初めてだ」
「こいつを使って偵察させます。その上で異世界に行くかを判断しましょう」
「お、おぅ。吉田君、準備いいな……」
ドローン、異世界ゲートに向かって飛び立つ。
「行け!」
そして、吉田はIパッドを取り出し、電源を入れる。
「ドローンのカメラで捉えた映像をこれで見れます」
「そっか。どれどれ……」
石本、吉田の持つIパッドを覗いてみる。
「うわっ!?」
石本は驚愕。絶句した。
吉田も険しい表情で沈黙する。
なんということか。旅行客は巨大なモンスターに拘束され、連れていかれる。
その次は球場ドームのような巨大な鍋の上に放り投げられる。
なんとも凄惨な光景。旅行客は次々と鍋の中で調理され、巨大な箸に掴まれる。
あとはもう察しが付くだろう。巨大なモンスターもとい、異世界の住人にペロリと食われたのである。
旅行客というエサは次々と鍋の中で命を失うか食われて消化されるか。
惨たらしい最期を送った。
「な、なんてことだ……。俺たちは危うくエサになるところだったのか」
「やはり、うまい話はないってことですかね……」