バスの中には危険があるのか否か
信じられないが、バスは4~5台ほど来て、来客者全員をあっさりと収納したのだった。
吉田は緊急時の協力が出来るよう、石本の隣の席に座った。
そしてついにバスは発車する。異世界への旅へ誘うべく。
吉田は険しい面持ちのまま、ふと石本との反対側を見やる。20代前半ぐらいの女性が2人。うち、窓際の方は概に睡眠中で、内側の方の女性だけが目を開いていた。
「彼女にも一応声を掛けておこうか。あのー」
吉田の声に女性は反応する。
「はい?」
「正直、異世界なんてあると思いますか?」
「異世界? テーマパークみたいなもんじゃなーい?」
「テーマパーク?」
「そ。あたしは遊園地行くような気持ちだけど?」
吉田、顎を摘まんで考え込む。
「遊園地……かぁ。そういうオチもあり得るかもしれないな。興行成績のよくない遊園地へ連れて行くのだけはタダっていう……」
「おいおい。そいつは拍子抜けだろ」
石本が話に割り込んで来た。
「で、お兄さん、あたしに話したい事って何?」
「いやぁ、胡散臭く思わないのかなーと……」
「まぁ、ヤバくなったらけーさつに電話すればいいし。イチイチ気にしたってしょうがないんじゃなーい?」
さばさばとした様子で彼女はそう笑った。
「ま、楽しもうじゃないの。お兄さん、名前は?」
「吉田知也。僕の隣のは石本……」
「石本健蔵だ」
「君は?」
すると、彼女は陽気にポーズを取り、
「あたしは松山沙良。遊園地マスター目指している女さ」
これにはちょっと苦笑いする吉田&石本であった。
「あはは……。遊園地マスターねぇ……」
「だが、吉田くん。彼女の生き様は楽しそうだ」
「確かに……」
バスは普通に道路を進んでいく。
バスの中も会話している人らや大人しくしている人など、ありふれたバス旅行客たちの姿しかない。
しかし、バスガイドなる人物はいない。
両腕を組んで吉田は顔を訝しむ。
「どうした吉田くん?」
「石本さん。バスガイドがいない点を変だと思いますか?」
「バスガイド? あぁそう言えば。なんでだろう?」
そこへ松山がひょろっと話に入って来る。
「経費削減か人材確保できなかったとかじゃなーい?」
「かなりのバスを用意して来たからなぁ。バスガイドを出すコストまで回らなかったと考えれられなくもない」
無理矢理な得できなくもないが――。吉田はどうも腑に落ちないでいるのだった。