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初めての連載小説となります。文構成、誤字、脱字ありましたらコメントなどで教えて下さると有難いです。
今回はキャラ紹介に近いものとなっています。
どうぞ温かい目でご覧下さい。
私は、和泉小花。鷲並高校2年生。
只今の時刻、AM8:00。
「い、行ってきまーす!」
「気を付けるのよー?」
母の返しに返事をしている暇も無く、私は慌てて玄関を飛び出し、猛ダッシュで学校へと向かった。
――――キーンコーンカーンコーン
私はチャイムの音が聞こえたと同時になんとか教室に滑り込んだ。
ふーっ、間に合った…!
安堵し額の汗をシャツで拭う。それから自分の席にバッグを置いたところで背後から声を掛けられた。
「ふふっ。小花、今日もギリギリだったね」
「うるさいなぁー。いつものことでしょ?」
「全く、小花がまともに登校してくる日なんて来るのかしら」
「マッキーひどーい」
マッキーこと槇佳鈴ちゃんは、今年からクラスが一緒になった子。眼鏡を掛けていて、髪は低い位置にツインテールをしている。細身でスタイルもいい。たまたま席が近かったし一人で本を読んでたから私から話しかけてみたのがきっかけ。初めは、眼鏡の性か真面目だなぁっていう印象が強かったけど、打ち解けると一緒に居て面白い人だなぁに変わった。実は学校内の情報通だったり、虫がもの凄く嫌いだったり。それはそれで私的には新鮮だった。彼女とはすぐに打ち解けることができた。
「皆ー、席に着けー」
担任の先生が教室に入ってきた。出席簿を開き、一人ずつ出席をとっていく。
「瀬戸内…」
「はい!」
ドアを勢い良くバシンと開き、息を荒らしながらも返事をして教室に入ってきた男子生徒。
ワックスで立たせた赤髪、ボタンの開き切ったワイシャツ。中から見える赤いランニングがよく映えている。
見た目からしてどう見てもヤンキーだ。
「ふぅー、間に合った!」
いやいや、間に合ってないだろこれっぽっちも。脳内でのツッコみよりも先に担任の怒号が響いた。
「また遅刻か、瀬戸内。今月これで何回目だ!」
「はあ?何言ってんだ?ちゃんと間に合ったじゃねーか!」
「これのどこが間に合ったと言えるんだね?」
「今日はちゃんと先生が俺の出席とる前に来てやったじゃねーかよ!」
「来てやった、とはなんだ!口が悪い!後で職員室に来なさい!!」
「行くかよバーカ」
瀬戸内は担任に向かってあっかんべーをし、一番後ろの席にわざとらしく音を立てて座った。
担任は大きく溜息を吐いた。彼に呆れきっているのだろう。
まぁ、気持ちは分からなくもないよ、先生……。
―――――ある日の昼休み
マッキーが唐突にメロンパンを齧りながら訊いてきた。
「ねぇ、小花。この学校の6大イケメンって知ってる?」
「6大イケメン…?」
「そ。学校内で絶大な人気を誇る、超イケメン達。私達のクラスにもいるでしょ?帰宅部の…」
「瀬戸内蓮!?」
「ちょっ!?小花、声おっきい!」
「あ、やば……」
教室を見回すと、ほとんどの目線がこちらに向けてあった。そして何故か、女子の目線が異様に刺さるんですが…。
私達は即座に体を縮こませて顔を近づけ、最低に近いボリュームで会話を続けた。
「でもなんで?あいつ人気なんてあるの?ただの問題児じゃん」
「それは小花が蓮君と幼馴染で昔から一緒に居るからそう思うんでしょ?」
「そうかな~?確かに顔はイケメンの類に属してるとは思うけど…」
「顔が良いのは勿論。ほら、蓮君ってスポーツ得意じゃん?そこも人気のひとつかな。あ!あとこれは一部の女子からだけど、いつもは男気全開だけど、たまに見せる優しさが良いんだって」
ほぅ~、世に言う『ギャップ萌え』というやつか。
「それともう一人、古館一。小花知ってる?」
「知ってるも何も有名じゃん!直、生徒会長でしょ?」
「その通り!現生徒会副会長、古館一。成績優秀、眉目秀麗、質実剛健のまさにパーフェクトヒューマン。人にも自分にも厳しく、付けられたあだ名は鷲並高校の土方歳三!そしてその美貌は他校でも噂になる程で―――」
これ以上聞いていてもマッキーの一愛は治まりそうに無いので、私は話を切ることにした。
「はいはい、マッキーが古館君のことが大好きなのは随分前から知ってるから」
そう言うと、マッキーはムスッと頬を膨らませた。
「今度一緒に遊びに行ったときに散々語ってやるっ!」
「はいはい、その時はちゃんと聞いたげるからね?で、他の4人は?」
話題を戻した時には、マッキーの機嫌はすっかり良くなっていた。
立ち直り、早っ!?
「えっとね、残りは他学年だから小花は知らないかも…」
「そっか~。んじゃあ、どんな人達なの?」
尋ねると、マッキーは一人一人分かりやすく説明してくれる。
「まず、3年の亜咲凜太郎先輩。優しくて頼りになるし、いわゆるお兄さん的存在だね。人助けが趣味って聞いたことあるよ?」
人助けが趣味とか…。いるんだな、そういう人って。
「1年 猿ノ下裕貴。まぁ、一言で言えば『変人』。顔は良いんだけど残念なイケメン君。でも運動神経は半端ないって噂の子」
素材良いのにもったいない子だなぁ…。
「1年 桜庭湊。女子以上に可愛すぎる例えるなら『うさぎさん』みたいな子!男の子すら堕ちるらしい」
彼がイケない恋に走らないことを願おう……。
「あっ、2年生もう一人居た! 御田和成。まあ…いわゆる不登校児。私はまだ本人見たこと無いんだけど、とにかくカッコいいらしい!!」
マッキーすら見たこと無いなんて、どんな人だろう?
「そして彼らはこの学校の七不思議の一つにもなっているのよ」
「どういうこと?」
「彼らの共通点は『イケメン』の他にもう一つあるの」
「もう一つ?」
「そう。それは『全員が帰宅部』だってこと」
「確かに。イケメン君達全員が帰宅部ってのは奇妙な話だね」
――――キーンコーンカーンコーン
「ほら、次移動教室だよ!行こ!小花!!」
「ま、待って!」
そう言って私は残りの牛乳を急いで飲み切って後を追った。
この先、実に個性的な6人のイケメン騎士達に守られることになるなんて今の私には知る由も無かった。