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僕と騎士様の異世界転生  作者: ちひろ
いざ! 異世界転生!
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第一話

初投稿です。

よろしくお願いします。

 「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」


 電気を消した暗い部屋の中央。

 その床には、白の絵の具で直径1メートルほどの大きさで二重になった円が描かれており、円の中には同じように白い絵の具で描かれた、字とも絵もつかない模様が見て取れる。

 これはいわゆる、魔法陣(まほうじん)というやつだ。


 「エロイムエッサイム、エロイムエッサイム、我は求め訴えたり」


 魔法陣の中心部分には、一本のロウソクが立っており、現在この空間の光源(こうげん)は、そのゆらゆらと揺れる頼りない炎のみ。

 魔法陣の前に立ち、オレンジの灯りに照らされながら右手を振り上げた。

 召喚魔法(しょうかんまほう)の本を持つ左手に力が入る。

 振り上げた右手を魔法陣の中心にあるロウソクに向かって振り下ろしながら、さらに言葉を(つむ)ぐ。


 「いでよ、悪魔(あくま)よ!」


 アパートであれば隣人から壁ドンが来そうな程には大きめの声が響き渡ると、ロウソクの火は風も無いのにふっと()き消えた。

 これが成功であれば、ロウソクの火から悪魔が出てきていたはずだ。


 「やっぱりダメか...」


 ため息とともに吐き出される(つぶや)きは、今回の失敗が初めてではないことを伺わせる。

 一度目の失敗から、もう何時間もひたすら試行(しこう)を重ねたが、出た全て同じであった。

 それでも、ここまでムキになったように繰り返したのにはのっぴきならない理由があるからだ。

 それは、この(こころ)みがまさに失敗してしまう(・・・・・・・)からであった。


 何を言ってるか分からないと思うが大丈夫、これはこの通りの意味で正しい。

 そもそもこんなの失敗するはずがないのだ。

 というか、本来は成功とか失敗とかそういうことじゃないだろう。


 だってここは、ファンタジーの世界でもゲームの中でもない現代日本であり、ロウソクの灯りも消えた真っ暗な自室で、気分を出すために黒いパーカーのフードをかぶった僕は、ただの高校生なのだから。

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