ストーカー
頼子は困っていた。まただ、またあの男がいる。
数日前から、行く先々で同じ男を見掛けるようになった。
最初のうちはただの偶然かと思ったのだが、どこへ行ってもまるで先回りしているかのごとく、その男がいるのだ。
もしかするとストーカーだろうか。最近、ニュースでよく見るストーカー事件を思い浮かべ、頼子は怖くなった。
男が何か妙な動きをしたらすぐに警察を呼ぼう。
そんな事を考えていると、不意に問題の男と目が合ってしまった。
男が険しい顔付きで頼子をにらみ、近付いてくる。頼子は息を呑み、慌てて携帯電話を取り出そうとした。
頼子の手をガシッとつかみ、男は叫んだ。
「おい、なんで俺の後を付け回すんだよ! さてはストーカーだな!」