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地方生まれの聖女様  作者: タタラ
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「私」と守護者

明かりに照らせら対照的に鈍く輝く鎧、その大きさは2メートルを超える様な巨体で自ら輝きを放つようにその存在感をいかんなく発揮すしていた。


遠目で見ていてもその異様な鎧が人が装着する為の鎧では無いだろう、板金鎧(フルプレート)とは全く違う分厚い装甲が重なり合う様に全身を固め、その重量から腰掛ける武器が異様なしなり(・・・)を見せていた、鎧と言うより…ロボット兵器?って感じだこれを装着して動ける人間は居ないだろう。


漆黒の鎧は中二病全開って感じの外装をしている、それに対し白銀の輝きを放つ鎧は細かな装飾が施された美術品と思わせる様な美しさが在った、が・・・


「これ見よがしですけどね…流石にコレは…どう思いますフィル姉さん?」

「ん~あんな魔物が居るなんて聞いたことないけどねぇ」

「流石に魔物でもアレを装着しては動けないだろう?」


私たちの意見が一致する、静寂の中で指先一つ動かさずただこちらを見ているだけの抜け殻の鎧だと、

「だよね~守護者(ガーディアン)なんて居ないよね~」

守護者(ガーディアン)?なんだそれ?」


気の緩んだ一瞬だった漆黒の鎧の姿が私の視界から消えたのは。


重鎧から解放された武器が「バンッ」と跳ねるような音を立て宙に舞った、

「ファナ上だ、避けろ!」


エル兄さんの声が聞こえたと同時に見上げると大剣を振りかぶり私に向かって跳躍する漆黒の鎧の姿が見えた。


「予備動作も無く飛ぶとか!」

私は全力で横に飛ぶ、少し遅れ爆発音を響かせ大剣が叩き付けられた。


体勢を整え漆黒の鎧に向き返ると土煙の中で地面に半分程埋まった大剣を引き抜く所だった、当然その様子を黙って見ている訳も無く纏う剣を漆黒の鎧に向けて次々に撃ち(・・)出す。

狙うは関節部の装甲の薄い部分流石にそれ以外の場所は弾かれるだろう。



魔力を込め弾丸並みの速度で撃ち出した剣が簡単に叩き落された。

「弾き落とすとか…嘘でしょ…」


フィル姉さんもエル兄さんも同じく武器を飛ばしていたが漆黒の鎧は飛んで来る剣を手甲で次々に跳ね飛ばす、何本かフィル姉さんの打撃武器が当たったようだが鐘でも突く様な音が響くだけで内部にはダメージは無さそうだった。



「効いてはいないかぁ…参ったねぇ…」

フィル姉さんの打撃武器でさえ鎧に傷一つ付けられない、漆黒の鎧はゆっくりと剣を引き抜くと無造作に剣を肩に担ぎ私達を見据えた。


「まぁ武器は山積みで有るけど…でもこれはキツイかなぁ退却も考えないといけないかぁ…」

勝てそうに無いなら一旦退却するのも手だが私は一つ試したい事があった。


「フィル姉さんエル兄さん少し鎧の足止めして下さい」

「何かするのか?」

「はい、効くかどうか分からないけど…」

「判ったわ、でもそれが効果が無かったら退却するからね二人とも、いい?」

「「はい」」


周囲に転がる武器を纏いながら私は魔法のイメージを構築してゆく、内部から破壊する爆発のイメージだ。


足止めの為に二人が身構え剣先を漆黒の鎧に向けると漆黒の鎧が大剣を横薙ぎに振り抜いた。

その距離から何をっと思った時、障壁が砕ける音と共にエル兄さんが跳ね飛ばされ反対側の壁際まで地面を転がり少し離れた場所に大剣が派手な音を立て落ちた、漆黒の鎧の手には大剣は無くエル兄さんめがけ投げ飛ばしていたのだった、剣を投げるとか…意表を突かれ反応できなかった。

騎士が剣を投げ飛ばすか?って私達もか…


エル兄さんが小さく身を震わせ血を吐き出すのが見えた。

「ファナちゃん!エルゼルをお願い!」

「はい、エル兄さん!」


フィル姉さんが武器を飛ばし魔法で土壁を作りながら漆黒の鎧の動きを牽制する。

私がエル兄さんの元に駆け出そうとするのと同時に漆黒の鎧がエル兄さんに止めを刺そうと地面を蹴り飛び出した。


「しまった、止まれ!!」

フィル姉さんの土壁はあっさり砕かれた、慌ててフィル姉さんが障壁を張るが体当たりで砕かれ勢いを止められない。


エル兄さんは地面に横たわって動かないこれじゃ間に合わない、私もエル兄さんと漆黒の鎧の間に全力で障壁を張り続ける。

「くそぅ、止まれぇぇ!!」


漆黒の鎧は流れ星にでもなったように赤い輝き引き速度を落としてエル兄さんから数メートル手前で地面に足をつけた。


「この鎧がぁぁエルゼルから離れなさい!」

フィル姉さんが叫びエル兄さんと鎧の間に立ちはだかり漆黒の鎧に次々に武器を叩き付けると衝撃で少しずつ後退した、私はエル兄さんの周囲に障壁を張りながら駈け寄り"治療術の奇跡"を発動させた。


エル兄さんの体を光が包み青白かった顔色が戻り意識を取り戻したエル兄さんが何度も瞬きし私を見た、身体強化と魔法障壁のおかげで致命傷にはならなかったが重症だったようで髪先の色が少し白くなった。


「うぐっ…ファナかありがとう助かった…」

「痛みは無い?大丈夫?」

「ああぁ不甲斐ない所を見られたな…鉄臭いよ…」

そう言って血を吐き捨てた。


「ならすぐに動いて、あの鎧とんでもない強さだよ」

頷き立ち上がるエル兄さんと漆黒の鎧から少しでも離れる、(とど)まるとフィル姉さんの邪魔になる。



フィル姉さんと漆黒の鎧が攻防を繰り広げている、数十の途切れない武器の打撃が漆黒の鎧に襲い掛かり打撃音と弾き飛ばす甲高い音と火花が交差する、武器の山を背にし前面で武器を弾き飛ばすが流石に化物みたいな漆黒の鎧も動けず立ち止まっていた。


額に汗を滲ませフィル姉さんはこちらを見る余裕すらない

「武器の制御で手いっぱいだからファナちゃんよろしくね!」


はい!私はイメージを強く念じ魔力を集め練り上げると髪が輝き赤く輝く。

漆黒の鎧を爆発させる…爆ぜろ燃えろ四散しろ燃え尽きろ!両手を広げ大の字になる。

「漆黒の鎧よ爆ぜろぉぉ!!」


《《バガンッ!!》》周囲の空間を震わせるような音が轟き漆黒の鎧が全身を大きく震わせ空を見上げた。


「きゃぁ」

爆発音と衝撃波に驚いたフィル姉さんが悲鳴を上げる、漆黒の鎧の関節部や兜から火の粉と黒煙をあげ両膝から崩れ落ち鎧とは思えない音を立て倒れた。


漆黒の鎧は地面に少しめり込み倒れたまま動かない、爆破は成功した様だが…

「倒した?倒した!やったなファナ!」

「ファナちゃん凄い!」


エル兄さんとフィル姉さんが歓声を上げる…いや…そんなフラグは…無いよね?

何かがじんわりと体に入って来る、これは魔力?倒したのか?



…ギギギ…ギギ……


金属の擦れ合う様な嫌な音が空洞内に響く。

その音のする方を振り返ると剣と盾を構えた白銀の鎧が立ち上がり私達を見ていた。

鎧は2体だ1体だけ何て事は…無いよね…やっぱりフラグ…

「ですよね……」




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