「私」と転生
コスプレ女と見つめ合う「俺」、探してたって?「俺」の事知っている?
「探してたってどういう事なんだ?、君は何者なんだ?ここは何処なんだ?何で「俺」こんな場所に??」
「んーどう説明すればいいのか、簡単に言うと「女神」です、それと此処は天界と呼ばれます」
眉間に皺が寄る、何を言ってるんだお前は?っと声に出そうになった。
自称女神は汚れを払いながら立ち上がる、背はそんなに高くない160㎝位か、近くで見ると髪はすげぇサラサラしてて綺麗だ、歳は同じ位か?少し垂目な所も可愛いいのが悔しい。
「私が可愛いからってそんなに見つめないでください」
フリフリしながら照れる自称女神、今語尾に音符が見えたような、、。
しかし「女神」とか自分でいうか?残念さんなのか残念さんなのか?そこで。
「女神様なら「俺」のこの状態なんとかしてくれませんかね?服ください服!」
キョトンとした顔でコスプレ女は「俺」の頭から足元まで視線を流し真っ赤になって吠える。
「何で女神の前で裸でいるんですか、バカなんですか、変態なんですか!」
さっきからこの状態なんですが・・。
そういうと自称女神が杖を振るう、俺は自分の目を疑った!
杖の先からカラフルな文字のような物が溢れだし俺を包んでいく。
一瞬輝き光が収まっていくと俺は簡素な服を着ていた。
あーあれだ村人Aみたいな感じの服、やっと裸から解放されたよ。
「あ、ありがとうございます…。」
正直驚いた、やっぱり夢か夢見てるのか!?ホントに女神なのか!?。
「ふふー夢じゃないですよ、私の力に驚きましたか!(大橋 隆)さん。」
心読まれたし!
「私はこの世界の管理を任された新人女神なのです!」
腰に手を当てふんぞり返る、コスプレ女
「実はあなたをこの世界に呼んだのは私なんですが、座標の設定を間違えてしまって、初めてだから仕方ないですよね。」
まさかのテヘペロ
「この空間初期設定で、草原しかなし広いしで探すのに苦労したんですよ」
そういうと自称女神はさっさと歩き始めた。
「どこに行くんだ?」
少し遅れて自称女神の後を追いかけながら問うと。
「転生の扉ですよ?、あなたが生まれ変わる世界への扉です」
「生まれ変わるって?え?俺死んだの?」
「はい、入浴中に気を失い浴槽で溺死したようですね」
「その時こちらに呼び出したのでイメージが裸だったんでしょう、まぁ裸は召喚時の設定ミスなんですけど」
さらりと爆弾発言したよ自称女神が!
「俺死んだのか・・」
魔法みたいなの使うし、この訳の解らない空間そっか・・呆然とし言葉が出なくなる、その俺の姿を見て、
「召喚には反応しないんですね、まぁ、タイミングが良かったのでこちらに魂を召喚しました」
自称女神はパチパチと適当な拍手をしながら、
「おめでとうございます、新女神の転生システム第一号になれますよ!」
嬉しいよね、嬉しいよねって期待を込めた視線を向けてくる。
いや嬉しくないから、おめでとうじゃないから!くそ、家族や友人と…色々話しとけばよかった…そう思うと泣けてきた。
うずくまり落ち込んでいると新人女神は俺の肩を優しく叩き、
「ドンマイ」
いい笑顔でサムズアップしてやがった。
(精神に枷をつけたので酷い混乱は起こしませんね)
「あまり時間もないので急いでください、歩きながら補足説明します」
そう言うとまた歩き出す、説明された内容は、
1、前任女神が色々やらかして世界が崩壊しかけた事
2、左遷された女神の代わりに世界を管理することになった事
3、俺が召喚システム改め、新転生システムの第一号に選ばれた事
4、転生先は所謂ファンタジーな異世界である事
5、生まれ変わる先は選べない事
そこで、拒否権は…?と聞くと、
「とーぜん無いですよ」
ですよね~。
後悔してても戻れないし前向きに行こうと考え直す。
そうなるとファンタジー異世界に転生か、ん、これはあれか、異世界チート能力で人生バラ色か!
「転生というとすごい能力貰えた「そーゆーの無いですから!」・り・・。」
え、無いの?砕かれた淡い期待。
溜息交じりに自称女神が説明を始めた。
聞くと前任者が勇者召喚魔法を世界にばらまき問題が起きた。
他の世界で使用されていた、世界を救う為の勇者召喚魔法をそのまま流用したかららしい。
呼び出された転生者こと勇者が何故か大暴れし世界が崩壊しかけたのだとか。
「いきなりぼろぼろの世界を任されてどれだけ苦労したかぁあ!」
イキナリ叫ぶ自称女神、かなり苦労したんだろう一瞬で目が死んだ。
その為、転生システムから世界から逸脱した能力は省かれたそうだ、
「おのれ、、勇者め、、俺の第2の人生が、、。」
立ち直りかけた気持ちが沈む、つか何世界滅ぼそうとしてるんだ、どんだけチートなんだよ、、。
そうこう話しているうちに草原に小奇麗な扉が現れた。
扉には見た事も無い文字のような物が彫られたプレートが架けられていた。
「この扉が転生先に繋がっています、この扉を潜ればどこかの夫婦の子として生を受けます」
「ちなみに、転生先の体は奪うとかじゃ無くて、あなたの為の体なので安心してください」
誰かの為の体じゃ無いという所にはホッとした。
「記憶は・・・そうですね、残しておきましょうか、いろいろデータも欲しいですから。」
え、記憶消す気だったの?
訝し気な顔で自称女神を見ていると、
「転生システムは使いようなんですよ、失敗した原因が記憶だけとは限りませんし、他の情報が残ってないんですよ」
っと頬に手を当て困った顔をする。
この世界は寿命を終えた魂を”魂の大河”に集め、転生する際、魂の保有する魔力等を回収し世界のバランス維持修正するシステムが存在する。
転生者の魂の情報は普通の魂より膨大な魔力が取れるらしい。
前任者がなぜ膨大な魔力を必要とした理由は不明だが、より多く魔力を集める為、勇者召喚魔法を使い|異世界転生者を集めようとしたようだ。
「そろそろ時間なので!」
扉の前に押し出される。
「異世界転生ですよ、すごく幸運だと思ってがんばってください」
ポンと背中を押されると、扉が開き足元から光の粒子のようになって吸い込まれていく。
「え、え、、いきなりかよ、まだ聞きたいことがーーー!!」
慌てて自称女神に手を伸ばすと、自称女神はその手にそっと手を添えると淡く輝く。
「まぁ第一号さんですし、私の加護を与えておきますね」
笑顔でひらひらと手を振る自称女神の姿を最後に「俺」の意識はぷっつり途絶えた。
見送りを終えた女神は小さく溜息をつくと、
「さて、これから忙しくなります、まずは世界のパラメータを調整して...後...」
怪しい笑みを浮かべながら小躍りするのであった。